無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

きっと、うまくいく

2013-05-30 | 2015以前の映画評


「きっと、うまくいく」 ラージクマール ヒラニ監督 インド ○ ☆

 物語は離陸直後の機内にかかってきた1本の電話から始まります。実は10年前の今日、再会を約束していた4人の卒業生がいたのです。約束の場所に現れない行方不明の一人を探しに3人は車で出かけます。彼らは10年前、未来のエンジニアを育てるインドでも超エリート校で出合ったのです。成績は優秀だけど学長とトラブルが絶えないランチョー、父親の命令でエンジニアをめざしていますが本当は動物カメラマンになりたいファルハーン、貧しい家庭の希望の星ラージューです。3人に対抗するのは成績2番のウガンダ出身の学生です。彼らの面白おかしい学園生活を描きながらも、学生の自殺が多い現状や「何のために学ぶのか」といった問題を提起しています。そして決まり文句は、「Aal izz well」(きっと、うまくいく)です。インド映画には欠かせない歌と踊りもあり、笑って泣いて考えさせられる秀作です(☆)。原題は「3idiots」ですが、邦題「きっと、うまくいく」の方が内容を的確に表していると思います。 難をいえば、ヒンディー語がわからないウガンダ出身の学生がヒンディー語でスピーチをする場面で、いたずらをされて「奇跡」という単語を「強姦」と入れ替えて笑いをとるという場面があります。スピーチで「強姦」という言葉を何度も聞かされるそれが笑のネタになるのはいい気持ちがしませんでした。もう少し笑えることばに意訳してほしかったです。
 タバコはなし。無煙です。優秀な学生たちが喫煙するわけはないですね(☆)。

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天使の分け前

2013-05-30 | 2015以前の映画評


「天使の分け前」 ケン ローチ監督 英仏ベルギー伊 ××

 社会のはみ出し者の青年ロビーは、父親になったことがきっかけで「このままではまずい」と考えるようになります。刑務所へ入る代わりに社会奉仕活動を命ぜられます。それがきっかけで、ウィスキーの好きなハリーや社会奉仕活動の仲間3人と仲良くなります。ロビーにはウィスキーのテイスティングの才能があることに気づきます。そして、超高級ウィスキーのオークションがあるというので、ある計画を実行するのでした。「天使の分け前」というのは、ウィスキーが熟成中に樽の中で蒸発して失われてしまうことを指します。
 恋人の父親から「お前のようなクズは娘から離れろ」といわれたロビーですが、尊敬できる大人ハリーと出会ったことや、自分の隠れた才能を開花させてくれたことで「人生はやり直せる」と自分を変える物語です。ハリーのように面倒見のいい大人になりたいものです。
 タバコはロビーに対抗している不良たちが喫煙(×)。その一方、ローチ監督なりのジョークなのかわかりませんが、なんとウィスキーのテイスティングの第一人者が会場を出るとタバコに火を点けます(×)。タバコで舌の味蕾細胞が汚れている人がウィスキーの微妙な味を判断するのってありえませんよね。スコッチウィスキーなんてその程度のものと思っているのでしょうか。すり替えられた樽の中身でも満足するのも笑えます。

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体脂肪計タニタの社員食堂

2013-05-29 | 2015以前の映画評


「体脂肪計タニタの社員食堂」 李闘士男監督 △ 禁煙マークたくさん!!

 社員食堂のメニューが一般でも人気なだけでなく、レシピ本も売れているというタニタの物語です。
 新製品である「体脂肪計」を売り出すための取り組みとして、まず社員がダイエットをし、その経過を公開するという計画を立てました。その中心となったのは体脂肪率が40%もあり、「あと5年で死にますよ」と医者から脅された社長の息子(浜野謙太)でした。高校時代の同級生で管理栄養士の春野奈々子(優香)に助けを求めます。高校時代はぽっちゃりだった彼女も、今ではみちがえるほどの体型をしていました。彼女がダイエットに成功した秘訣はいったいなんだったのでしょうか。
 それぞれの「自己との戦い」でもあるダイエットのゆくえを通して、ちょっと大げさに言うと「生きる意味」まで問いかける結構哲学的な内容です。名前と顔が一致する俳優さんは草刈正雄くらいですが、出演者が特殊メイクにもめげず好演し、楽しく勉強できる作品となりました。
 タニタさんは私が使っている調理用のハカリが壊れ時の部品交換の対応がすばらしかったです。結局、次に調理用温度計を買うときもタニタにしました。いい会社です。映画とは直接関係ないけど・・・。
 タバコは大変残念なことに居酒屋の場面で奥のカウンター席の客が吸っているのが映ってしまいました。体脂肪も問題ですが受動喫煙も問題ですよ。なお、社内のシーンではあちこちに禁煙マークがあり「禁煙マークが映っていた最長時間記録作品」でもあります。

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2012年度無煙映画大賞授賞式のご案内 

2013-05-28 | 2012年度無煙映画大賞受賞作品
 
   
☆この賞は次のようなことを目的に設けられました。
➀ 映画に携わる俳優及びスタッフなどすべての働く人々をタバコの能動喫煙の害、受動喫煙の害および残留タバコ煙の害から守ること。
➁ 映画俳優の喫煙シーンがきっかけでタバコ依存症などになる人が多いので、喫煙シーンをなくすことで当事者だけでなく観客もタバコの害から守ります。
➂ 2004年に日本も批准し、世界175以上の国や地域が批准している国際条約「タバコ規制枠組条約(FCTC)」を遵守することを促します。
④ ①、②、③により、映画に関わる人々が末永く元気に活躍され、そして、いつまでも映画を楽しむことができるよう願います。また、タバコのない健康な社会となることを願うものです。

無煙映画大賞作品賞   「しあわせのパン」 監督=三島有紀子  
無煙映画大賞主演女優賞 綾瀬はるか  主演作品「ひみつのアッコちゃん」「ホタルノヒカリ」              
無煙映画大賞主演男優賞 松坂桃李  主演作品「ツナグ」「今日、恋をはじめます」
無煙映画大賞監督賞   斉藤玲子  「よだかのほし」
無煙映画大賞特別賞   「ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳」 
            「よみがえりのレシピ」
            「スケッチ オブ ミャーク」
無煙映画大賞特別アニメ賞 「アニメ・ジュノー」
 
授賞式日時 2013年6月1日(土) 13:30~16:00(13:00開場)
会場 渋谷区文化総合センター大和田さくらホール (渋谷駅徒歩5分)
<入場無料> どなたでも参加できます。お子様連れ歓迎です。

なお、この授賞式は「世界禁煙デー記念イベント2013」の一環として行われます。
*授賞式の他は、以下のような内容になっています。
・特別講演:「PM2.5と健康」大和浩 産業医科大学教授
・パネルディスカッション:「タバコと健康」について
・制服向上委員会ミニライブ *脱原発の歌もあるよ。

授賞式に出席される監督は以下のとおりです。
・作品賞の三島有紀子監督
・監督賞の斉藤玲子監督
・特別賞の長谷川三郎監督
・特別アニメ賞の木村真一郎監督
是非、この機会に受賞者の監督たちに声援を送ってください。

また、17時からは、「Smoke-Free Walk 2013 in Tokyo」があり、渋谷駅周辺を歩きます。こちらも、どなたでも参加できますので、ぜひ一緒に歩きませんか。

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俺俺

2013-05-27 | 2015以前の映画評


「俺俺」 三木聡監督 × (PP)

  家電量販店に努める永野(亀梨和也)はふとしたことがきっかけでオレオレ詐欺をしてしまいます。その後、自分と同じ顔をした「別の俺」が次々増殖され現れてきます。好みも同じ「俺たち」との生活は気安く楽しかったのですが、ある時から増殖でなく削除に変わってしまいます。はたして「本当の俺」を取り戻すことはできるのでしょうか。
 「日常逸脱系サスペンス」という新たなジャンルに一人立ち向かう亀梨の奮闘ぶりは評価できます(ひとり34役)。超リアルで不条理ですが、伝えたいことはまともで「自分とは何か」を考えさせるし、「オレオレ詐欺」をすると大変なことになるかもという予防にもなりそうです。銀行名や服飾店のパロディなど細かい部分にもけっこうこだわっていて笑えます。
 タバコは、トラックの運転手になった亀梨がタバコを一回吸って窓からポイ捨てしました(×)。また、コンビニ前に「たばこ」ののぼりが立っていましたが(PP)、「たらこ」とかにすればもっと面白かったのに。

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百年の時計

2013-05-26 | 2015以前の映画評


「百年の時計」 金子修介監督 ○ ☆☆ 無煙映画大賞候補作品

 路線開業100周年を迎えた“ことでん”こと高松琴平電気鉄道は「鉄道の歴史遺産」と言われています。その“ことでん”の車内ではぐくまれた切ない初恋を描いています。
 高松美術館の学芸員神高涼香(木南晴夏)は地元出身で大御所の芸術家安藤行人(ミッキー カーチス)の回顧展を企画担当することになりました。しかし高松に来た行人はやる気がなく、涼香は落胆します。実は行人には故郷に帰ってくる別の目的があったのです。それは初恋の相手を探すことでした。行人は「19歳で上京する時に、“ことでん”の車内である女性から一つの懐中時計をもらいましたが、その女性を探してほしい」と涼香に頼みます。涼香は行人とともに時計の持ち主を探し始めるのでした。
 ご当地映画香川県版です。“ことでん”という小さいながらも歴史ある鉄道を媒体として、100年の歴史を乗客の視線で描いています。また、主人公が芸術家という設定なので、「アートとはなにか」という問いかけもあります。そして、懐中時計の持ち主を追っていくことで日本の歴史を紹介し、単なる名所旧跡の紹介映画にならず歴史や芸術について考えさせる作品となりました(☆)。「さぬきうどん」を封印したのもよかったです。また、主役以外はほとんど無名の俳優たちでしたがみなさん好演していました。低予算でもいい脚本とサポーターがいれば名画は撮れるということですね(☆)。
 タバコはなし。無煙です(○)。沿線に葉タバコ畑が一瞬映ったようですが・・・。

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クロユリ団地

2013-05-24 | 2015以前の映画評


「クロユリ団地」 中田秀夫監督 ×

 ホラーの巨匠中田監督が老朽化していく団地を舞台に、日常に潜む恐怖(ドメスティックホラーというそうです。)を描きました。
 両親と弟とクロユリ団地に越してきた明日香(前田敦子)ですが、学校であの団地には「出る」といううわさを耳にします。数日後、隣室に住む老人が孤独死しているのを発見します。その頃、公園で遊ぶミノルという少年と知り合います。すると明日香の周りで次々と奇妙なことが起きるようになるのでした。そのことを遺品整理業者の笹原(成宮寛貴)に相談するのですが・・・。
 前半部分は「なんか奇妙だな」と思わせる効果もあったので「ドメスティックホラー」として期待させたのですが、結局はおどろおどろしい特殊メイクと「エクソシストもどき」の世界となり、普通のホラーになってしまいました。ラストに救いがないのも残念です。恐怖心を乗り越えて観ている観客にはもう少し「よかったよかった」と思えるご褒美がほしいですね。
 タバコは成宮寛貴がタバコを映すためだけに喫煙しました。このシーンは全く不要です(×)。製作には電通が入っているからでしょうか。

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マリーゴールド・ホテルで会いましょう

2013-05-24 | 2015以前の映画評


「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」 ジョン マッデン監督 英米UAE × ☆

 「インドの高級リゾートホテルで魅惑の日々を」そんな甘い言葉に魅かれてイギリスからシニアの7人の男女がやってきました。7人を待っていたのは「高級」になる予定のオンボロホテルと異文化の強烈な洗礼でした。やる気だけはある若いオーナー(デヴ パテル)に押し切られるように、それぞれの事情を抱えた7人はそこで生活を始めるのでした。
 気の利いた脚本とジュディ デンチほか名優たちの熱演、そしてインドという異文化体験ができ大変おもしろい作品です。シニア世代が生き生きしていてうれしいです(☆)。
 タバコは7人のうちのひとり女好きの男が1度葉巻を吸いました(×)。

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孤独な天使たち

2013-05-23 | 2015以前の映画評


「孤独な天使たち」 ベルナルド ベルトルッチ監督 伊 ××

 14歳のロレンツォは学校のスキー教室に参加すると母親に嘘をつき、実はその間地下室に潜伏し一人の時間を楽しむ予定でした。ところが、異母姉のオリヴィアが夜中に転がり込んできます。姉は傍若無人な態度をとり、せっかくのロレンツォの計画を台無しにしてしまいます。しかし、オリヴィアがヘロイン中毒で苦しむ様子を見せつけられたりするうちに二人の気持ちに変化が起きてくるのでした。
 ベルトルッチ監督10年ぶりの新作です。日本映画の「中学生円山」も同じ年頃の少年が主人公ですが、全く異なる切り口で14歳の少年を描きました。どちらもそれぞれおもしろいのですが、文化の違いは大きいと感じさせられました。
 タバコはオリヴィアが少年の前で喫煙しました(××)。大病した監督ですが、この撮影でかなり受動喫煙の害を自ら受けたことでしょう。タバコについては勉強不足ですね。残念。


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旅立ちの島唄 ~十五の春~

2013-05-22 | 2015以前の映画評


「旅立ちの島唄 ~十五の春~」 吉田康弘監督 ○ ☆☆ 無煙映画大賞候補

 沖縄の離島、南大東島が舞台です。人口1200人余りのこの島には高校がありません。ほとんどの子どもは中学卒業と同時に島を出て那覇で暮らします。主人公の仲里優奈(三吉彩花)は中学3年生になり、少女民謡グループ「ポロジノ娘」のリーダーとして母から譲られた三線を手に卒業の時に唄う「アバヨーイ(さようなら)」の練習に励んでいます。父親(小林薫)はサトウキビ農家、母親(大竹しのぶ)は兄と姉が進学で那覇へ行ったときについていったまま、島にはほとんど戻っていません。家族にはそれぞれの事情があったのです。
 離島の四季の生活を織り交ぜながら十五歳で人生の決断を迫られる優奈の1年を描いています。都会とは全く違う島の生活が生き生きと描かれています。主役の三吉は民謡も披露し、衣装や髪型が大変よく似合っていました。三吉が魅力的で、今後が期待できるので(☆)です。南大東島に行ってみたくなりました。
 島がいまTPPで揺れていることにも触れています。「サトウキビは島を守り、島は国を守る」という標語が印象的です。日本列島にはこのような小さな島がたくさんあり、そこにはいくつもの「一五の春」があるのでしょうね。
 タバコはなし。無煙です。島での宴会や漁師の集まりなどでもタバコを出さずとてもよかったです(☆)。

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