無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯

2013-03-31 | 2015以前の映画評


「約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」 齊藤潤一監督 △

 1961年(昭和36年)、三重県の名張市の小さな集落の懇親会で、ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡しました。その場にいた奥西勝さんは一度犯行を自白しますが、その後一貫して無罪を主張しています。裁判では無罪、死刑、死刑の確定、そして51年間にわたり何度も再審請求をしていますが、そのたびに棄却されています。
 実際のフィルムと再現映像をうまく編集し、事件とその後の闘いを伝えています。仲代達矢の渾身の演技が作品を重厚なものにしました。
 この作品を観ると裁判官がいかに縦社会か、また出世志向が強い裁判官ばかりなのかがよくわかります。同じ高裁で再審を認めた裁判官は退職し、再審を棄却した裁判官は出世するから不思議です。タバコ裁判もこの仕組みにねじ伏せられずに闘いを挑み続けなければならないと思いました。
 それにしても外国語映画評「塀の中のジュリアス・シーザー」のイタリアの刑務所との違いにはため息が出てしまいます。
 タバコは事件の懇親会を再現した場面で数人が喫煙していました(△)。そのほかの場面では無煙でした。

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塀の中のジュリアス・シーザー

2013-03-31 | 2015以前の映画評


「塀の中のジュリアス・シーザー」 パオロ&ヴィットリオ タヴィアーニ兄弟監督 伊 ○

 ローマ郊外にあるレビッビア刑務所で行われている演劇実習の様子をドキュメンタリーで描きました。今年の演目はシェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」です。重警備棟監房に収監されている本物の罪犯者たちがオーディションを受け、シーザーやブルータスなどを演じます。演劇の力で自らの人生も考え直すきっかけをつかんでゆくのでした。
 日本では考えられないほど自由な監獄です。犯罪者を更生させるにはどうしたら一番効果的なのかよく考えられていて、「文化の高さと質」の違いを見せつけられた様な気がしました。テーマ音楽のソロサックスの音色が切ないです。
 タバコはなし。無煙です

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プラチナデータ

2013-03-21 | 2015以前の映画評


「プラチナデータ」 大友啓史監督 ○

 東野圭吾原作のミステリー小説の映画化です。時は2017年ごろです。
 警察庁の「特殊解析研究所」に所属する科学者の神楽龍平(二宮和也)はDNA情報で難事件を解決してきました。ところが、DNA捜査の関係者が連続して殺される事件が起き、そのDNA捜査では犯人は「神楽」本人と断定されてしまいます。身に覚えがない神楽は逃亡しますが、捜査一課の刑事浅間(豊川悦司)が追い詰めます。事件は簡単なものではなく「神楽」は「リュウ」という別の人格も持っていたのでした。はたして犯人は「リュウ」なのか。事件には全国民のDNAデータ、いわゆる「プラチナデータ」を巡ってもっと深い闇が隠されていたのです。
 アイドル出身ですが二宮が好演しています。脇役にもすきがなく、社会派ミステリーとして面白い作品に仕上がりました。
 タバコはなし。無煙です。日本の警察物は無煙が当たり前になってきましたね。実はちょっと怪しい場面はあったのですが、ぼかしが入っていてよくわからなかったので○にしました。
 ただ、豊川の肌のシミが年齢以上に目立っているようで大変気になりました。肺もあの肌のように汚いのでしょうか。豊川さん、禁煙しましょうね。 

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愛、アムール

2013-03-20 | 2015以前の映画評


「愛、アムール」 ミヒャエル ハネケ監督 仏独オーストリア ×

 パリの高級アパルトマンで暮す音楽家のジョルジュとアンヌは80歳を過ぎてもふたりで穏やかに暮らしていました。しかし、アンヌが病に倒れ、手術も失敗し、マヒの残る体で退院してきました。プライドの高いアンヌは家に引きこもってしまいます。懸命に介護とリハビリをするジョルジュですが、彼もまた高齢で限界があるのでした。アンヌの症状は徐々に悪化していきます。そして、ジョルジュはある決断をします。この決断をあなたはどう思いますか?これは「愛」でしょうか?
 ジョルジュ役はかつて「男と女」で主役を演じたジャン ルイ トランティニャンで、彼をイメージして書かれた脚本だそうです。往年の映画ファンには嬉しい再会なのか、それとも・・・。ちょっと複雑な思いかもしれません。病が原因で壊れてゆくアンヌ役(エマニュエル リヴァ)も名演でした。また、アンヌの弟子のピアニスト役が本物のピアニストで音楽もよかったです。老老介護がこれから増えていきますが、個人的にはこの作品のラストは納得できません。
 タバコは、ジョルジュが喫煙します。回数は少ないのですが、吸い殻のある灰皿なども映りました。夫の喫煙による受動喫煙がアンヌの病の原因だったと思います。「本当の愛」は「禁煙」ですね。
 「愛、キンエン」

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飯舘村 放射能と帰村

2013-03-19 | 2015以前の映画評


「飯舘村 放射能と帰村」 土井敏邦監督 △

 原発から30キロ以上離れていながら、放射線量が高いため全村避難をしてから2年を迎える飯舘村出身者の心境をドキュメンタリーにしました。
<第1部 家族> では、事故直後に避難できず被曝してしまったこと、子どもたちにも被曝させてしまったことへの不安や、家族がバラバラになってしまったことへの悲しみ、自分たちは心を汚されてしまったという怒りがひしひしと伝わってきます。
 <第2部 除染> では、莫大な費用をかけてゼネコンに除染させていますが、自然の中にある村は簡単に除染できるものではなく、村民のためというよりはゼネコンの利権の為の除染であることがよくわかります。
 福島の原発事故関連の報道がすっかり影をひそめてしまった昨今、もういちど原発について考え直すためにも多くの人に見ていただきたい作品です。
 タバコは残念ですが、牛を飼っていてその牛を手放して悲しんでいる村民が喫煙しました。タバコにもポロニウムという放射性物質が入っているので吸わない方がいいですね。
 なお、皮肉なことですが政府関係者が除染の説明の際「放射能のリスクは他のリスク、たとえばタバコよりもずっと低い。」と発言していました。あの職員をタバコ裁判の証言者にしたら同じことを言ってくれるのでしょうか。

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ひまわりと子犬の7日間

2013-03-17 | 2015以前の映画評


「ひまわりと子犬の7日間」 平松恵美子監督 ○ 事務所に禁煙マーク

 宮崎県で起きた実話がもとになった作品です。母犬と子犬が保健所に収容されました。規則では7日間で里親が見つからないと処分されます。職員の神崎(堺雅人)は懸命に里親を探しますが、人間を敵視し心を許さない母犬は、「引き取り手が見つかるわけがない」と処分を促されます。一方、神崎は犬を処分する仕事をしていることで娘が心を閉ざしてしまいます。はたして母犬と子犬の命を救うことはできるのでしょうか。また、娘の気持ちは父親と寄り添うことができるのでしょうか。
 ペットを飼っている皆さんには是非見ていただき、飼いはじめた以上最後まで責任を持ってください、それができそうもなかったら飼わないでね、とお願いしたくなる作品です。
 タバコはなし。無煙です事務所には禁煙マークもありました。でんでん、小林稔侍などタバコ系の俳優さんも喫煙しませんでした。よかったです。 
「可愛い動物」物ではなく「殺処分」という重いテーマで、母と子の関係や命の問題をからませ春休みに子どもと観るのにお勧めの作品です。
ただ、子どものみなさん、映画が始まったらおしゃべりや携帯の画面を見るのはマナー違反なので、周囲に迷惑をかけずに観てくださいね。


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千年の愉楽

2013-03-17 | 2015以前の映画評


「千年の愉楽」 若松孝二監督 △ ☆

 中上健次原作、若松孝二監督の遺作となりました。
 紀州の海辺の町が舞台です。時代は主に戦後の混乱期です。代々、女性問題で非業の死を遂げる中本家の男たちを描いています。女たちに愉楽を与えながらもそれゆえ若くして死んでゆく美貌の男たちの姿を、彼らが生まれた時に「母親より先に抱いた」オリュウノオバ(寺島しのぶ)と呼ばれる産婆の目を通して描いています。生まれては死んでゆく命を美しい男たちが切なく演じます。
 「中本家の血」と言われる美貌の男を、井浦新、高良健吾、高岡蒼祐、染谷将太が演じます。それぞれ美貌だけでなく演技も申し分ありません。「路地」に住む人々の悲哀もさりげなく表現されています。バックの音楽も作品を盛り上げました。(☆)
 タバコは大変残念なことに、高良健吾が森林組合の仕事に行くときに仲間が喫煙しました。この1回だけでした。前作「キャタピラー」は無煙だったので今回も期待していたのですが残念です。でも主役級の男たちが喫煙しなかったのでそこは評価したいです。

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すーちゃん まいちゃん さわ子さん

2013-03-11 | 2015以前の映画評


「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」 御法川修監督 △ ☆

 すーちゃん34歳カフェの店員、まいちゃん34歳営業部の社員、さわ子さん39歳WEBデザイナー。3人はかつてバイト先で知り合い、時々あってはそれぞれの悩みを話したり笑ったり泣いたりする仲です。もちろん恋の話もあります。いろいろ問題が生じて傷つくこともありますが、それでもまえを向いて生きていこうという働く女性の物語です。セリフのひとつひとつが現実にありそうな内容でけっこう笑えます。「男性諸君は関係ない」と思わず、こういう女の本音がわかる作品を観て反省してほしいものです。端役の一人一人もいい演技を見せてくれ、お勧めの作品となりました。
 タバコは、さわ子さんのちょっと嫌な兄が庭で喫煙し消しながら部屋に入ってくるという場面がありました。「嫌な兄」なので△です。また、公園でカフェのマネージャーが「タバコを吸ってたら子供に囲まれて・・・」というセリフがありましたが、「公園は禁煙が当たり前」ですし、カフェのマネージャーともあろう人が喫煙者というのは納得できません。よくできた脚本だけにちょっと残念です。


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遺体 明日への十日間

2013-03-08 | 2015以前の映画評


「遺体 明日への十日間」 君塚良一監督 △ PPハイライト

 津波が町の半分を流した釜石市が舞台です。山側に住んでいた医師、歯科医、職員たちは停電ではっきりとした情報もないまま廃校の体育館に次々と運ばれてくる遺体と対面していました。かつて葬儀社で働いたことがある民生員(西田敏行)は人間の尊厳を大切にして、最後の送りをしようとボランティアで動き始めるのでした。
 一人のジャーナリストが取材したルポルタージュを映画化しました。一般の報道では伝えられなかった遺体安置所の様子を再現し、その泥だらけの体育館を見るだけでもこの作品を観る価値があります。地震から2年がたちましたが、被災地への思いは忘れてはならないと思います。
 タバコは、消防団の人が休憩中喫煙。(△)お棺にハイライトが入っている場面がありました。
 被災を契機に禁煙した人もいたのですが、被災地にタバコを配り顰蹙をかった人もいます。陸前高田の戸羽市長は、「震災で助かった命をタバコで無駄にしてはいけません!」と訴えています。


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横道世之介

2013-03-07 | 2015以前の映画評


「横道世之介」 沖田修一監督 ×× たばこと塩の博物館協力

 1987年、世之介(高良健吾)は長崎から上京し大学生活が始まります。入学式で隣の席だったことがきっかけで友達になった倉持(池松壮亮)、教室で知り合った加藤(綾野剛)、そしてガールフレンドの社長令嬢祥子(吉高由里子)などとの何気ない日々を描いた青春物語です。それぞれが35歳になった姿がときどき挿入され、「横道っていい奴だったよな」とみんなが思い出します。脚本がよくできていてコメディの要素もありますが、ちょっとほろ苦い後味も・・・。
 高良健吾が人のいい世之介をのびのびと演じています。吉高の「ごきげんよう」という令嬢も嫌みがなくていいです。そのほか実力のある俳優ばかりで2時間40分の長さを感じさせません。
 タバコは主役のふたりは喫煙しませんが、世之介が憧れる年上の女性(伊藤歩)が喫煙(×)、同郷の先輩が学生寮の部屋で喫煙(×)します。たばこと塩の博物館が協力していますが、87年当時のタバコ自動販売機が映っていました。服装なども時代をよくとらえていましたが、タバコ自販機までもそうするとは・・・。タバコマネーが流れていなければいいのですが。

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