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「約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」 齊藤潤一監督 △
1961年(昭和36年)、三重県の名張市の小さな集落の懇親会で、ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡しました。その場にいた奥西勝さんは一度犯行を自白しますが、その後一貫して無罪を主張しています。裁判では無罪、死刑、死刑の確定、そして51年間にわたり何度も再審請求をしていますが、そのたびに棄却されています。
実際のフィルムと再現映像をうまく編集し、事件とその後の闘いを伝えています。仲代達矢の渾身の演技が作品を重厚なものにしました。
この作品を観ると裁判官がいかに縦社会か、また出世志向が強い裁判官ばかりなのかがよくわかります。同じ高裁で再審を認めた裁判官は退職し、再審を棄却した裁判官は出世するから不思議です。タバコ裁判もこの仕組みにねじ伏せられずに闘いを挑み続けなければならないと思いました。
それにしても外国語映画評「塀の中のジュリアス・シーザー」のイタリアの刑務所との違いにはため息が出てしまいます。
タバコは事件の懇親会を再現した場面で数人が喫煙していました(△)。そのほかの場面では無煙でした。