
「宇宙でいちばんあかるい屋根」 藤井道人監督 △ ☆
野中ともそ原作の小説を「新聞記者」の藤井監督が清原果耶と桃井かおりの共演で、星空やクラゲの泳ぐ水槽を効果的に映した実写映画にしました。
中学生のつばめ(清原果耶)は書道教室のあと星を見ようとビルの屋上に登るとそこには奇妙な人(桃井かおり)がいました。「星ばあ」と名付け親しくなります。星ばあは不思議な力があり、つばめの悩みや願いを解決してくれますが、かと言って女神様のようではなく、つばめの差し入れをガツガツ食べ次の催促までするのでした。ところで、つばめの実母は家を出ていて父親の再婚相手は妊娠し、うまくやっているつもりでしたが、つばめには小さなわだかまりもありました。もうひとり気になる存在が隣の大学生亨(伊藤健太郎)でした。
星ばあにはひとつ願い事があり、つばめは色々お世話になったお礼に夏休みにその願いをかなえようと亨とともに赤い屋根を探して歩き回るのでした。
幻の存在にしては現実的な星ばあとのやりとりがコミカルで爽やかです。世代を超えた関わりが羨ましいくらい自然でした。反抗的な態度をとったつばめに対する父親(吉岡秀隆)の対応が「神対応」でした。書道や水墨画といったちょっと地味な習い事が効果的です。(☆)
残念だったのは、ボソボソとつぶやく音声がきちんと聞き取れない会話が何回かありました。音声さんか録音技師さんかわかりませんが聞こえないとセリフが無駄になってしまいます。予備知識のない観客が理解できるようお願いします。
タバコは、悪役がほとんどいないなか唯一の「嫌な奴」がタバコを咥えていました。かなりマイナスイメージなので(△)です。