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無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

宇宙でいちばんあかるい屋根

2020-10-31 | 2020映画評


「宇宙でいちばんあかるい屋根」 藤井道人監督 △ ☆

 野中ともそ原作の小説を「新聞記者」の藤井監督が清原果耶と桃井かおりの共演で、星空やクラゲの泳ぐ水槽を効果的に映した実写映画にしました。
 中学生のつばめ(清原果耶)は書道教室のあと星を見ようとビルの屋上に登るとそこには奇妙な人(桃井かおり)がいました。「星ばあ」と名付け親しくなります。星ばあは不思議な力があり、つばめの悩みや願いを解決してくれますが、かと言って女神様のようではなく、つばめの差し入れをガツガツ食べ次の催促までするのでした。ところで、つばめの実母は家を出ていて父親の再婚相手は妊娠し、うまくやっているつもりでしたが、つばめには小さなわだかまりもありました。もうひとり気になる存在が隣の大学生亨(伊藤健太郎)でした。
 星ばあにはひとつ願い事があり、つばめは色々お世話になったお礼に夏休みにその願いをかなえようと亨とともに赤い屋根を探して歩き回るのでした。

 幻の存在にしては現実的な星ばあとのやりとりがコミカルで爽やかです。世代を超えた関わりが羨ましいくらい自然でした。反抗的な態度をとったつばめに対する父親(吉岡秀隆)の対応が「神対応」でした。書道や水墨画といったちょっと地味な習い事が効果的です。(☆)
 残念だったのは、ボソボソとつぶやく音声がきちんと聞き取れない会話が何回かありました。音声さんか録音技師さんかわかりませんが聞こえないとセリフが無駄になってしまいます。予備知識のない観客が理解できるようお願いします。

 タバコは、悪役がほとんどいないなか唯一の「嫌な奴」がタバコを咥えていました。かなりマイナスイメージなので(△)です。


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星の子

2020-10-29 | 2020映画評


「星の子」 大森立嗣監督 ○

 今村夏子原作の小説を久しぶりの実写映画出演となった芦田愛菜主演で描きました。
 中学3年生のちひろ(芦田愛菜)は新人の数学教師林(岡田将生)に一目惚れし、授業中いつも似顔絵を書いています。帰りが遅くなったときその林先生に自宅近くまで車で送ってもらいますが、公園である宗教の祈祷をする両親の姿を見られ、「気持ち悪!」と言われてしまいます。実はちひろが小さく生まれそのうえ病弱で湿疹がひどかったときに、父親の職場の人から「金星の水」を進められその水で湿疹が完治したため両親はすっかりその団体にのめり込んでいました。姉はそんな両親を見限って家を出てしまい、母親の兄夫婦もちひろを両親の手から離そうとします。ちひろはどうするのでしょうか・・・。

 芦田愛菜というブランド効果かどこにでもありそうな思春期の揺れる思いを芦田が演ずるだけでなにか特別な作品に思えてしまいます。ほぼ実年齢で秀作に参加できる彼女の次回作も楽しみです。
 岡田将生はハンサムだけど性格が薄っぺらな悪役をやらせると右に出るものがいないし、高良健吾は神がかりな役は大変お似合いです。共演者にも恵まれました。

 タバコは、なし。無煙です。

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浅田家

2020-10-29 | 2020映画評


「浅田家」 中野量太監督 ✗✗ PP

 コスプレ家族写真で有名になった写真家浅田政志の写真にまつわるさまざまなエピソードを映画化しました。
 子どもの頃に父親からもらったカメラがきっかけとなり写真家となった政志(二宮和也)ですが青年期は大したこともせず久しぶりに実家に帰れば両親と兄(妻夫木聡)がなんだかんだ言いながらも暖かく迎えるのでした。母親はなりたかった看護師として活躍していましたが、主夫として家を守っている父親が本当は何になりたかったのかと尋ねると「消防士さん」という答えでした。そのひとことがきっかけで消防士のスタイルで家族写真を撮ります。その後さまざまなコスプレで家族写真を撮り、初恋の同級生の援助で個展を開きます。政志は家族写真を仕事にします。そして大震災が起き、消息を尋ねに出かけた被災地である青年(菅田将暉)と出会うのでした。

 愛される次男坊と彼に振り回されながらも思いを遂げさせようという家族の姿が楽しいです。ちょっと厳しい初恋の相手(黒木華)や言うべきことはしっかり伝える母親、兄の存在があってこそ政志の仕事がなりたっていたのでしょう。菅田将暉、渡辺真起子などがしっかり脇をかためていました。

 秀作ですが、冒頭の二宮と妻夫木の喫煙場面や背後に掛けられた「たばこ」の看板がくどいほど映りタバコ宣伝映画なのが大変残念です。母親が看護師なのに息子二人が喫煙者というのはいかがなものですかね。(✗✗)


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みをつくし料理帖

2020-10-29 | 2020映画評


「みをつくし料理帖」 角川春樹監督 △

 髙田郁の人気時代小説を実写映画化しました。
 亨和2年(っていつ?)の大阪の洪水で親友の野江(奈緒)とも別れひとりになった澪(松本穂香)は江戸で成長し、そば処「つる家」の女料理人として悪戦苦闘していました。なぜなら澪は大阪の出身で江戸の庶民の好みがいまひとつわからなかったのです。それでも周囲の助言や資金援助により大阪と江戸の味を組み合わせた独自の味を完成させ評判になります。そんなある時吉原から又次(中村獅童)がやってきて「あさひ太夫」のために評判の料理を作って欲しいと頼まれます。
 澪と野江、野江と又次そして澪がほのかに思うお侍(窪塚洋介)、そしてつる家の繁盛を妬む登龍楼などの話が絡んでくるのでした。

 「この人見たことあるけど誰だっけ?」というベテランが次々登場します。そしてもちろんおいしそうなお料理も次々紹介されちょっとハラハラしながらも楽しい作品です。
 男に頼らず自分の道を極める女性たちがさっそうとしています。

 タバコは、冒頭蕎麦屋でキセルを吸っている人がいたようですが、目立たなかったので(△)です。

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きみの瞳が問いかけている

2020-10-28 | 2020映画評


「きみの瞳が問いかけている」 三木孝浩監督 ✗

 チャップリンの「街の灯」にインスパイアされた2011年の韓国映画「ただ君だけ」をリメイクしました。
 明香里(吉高由里子)はいつも訪れている駐車場の管理人室で塁(横浜流星)と出会います。明香里は数年前の交通事故で両親を亡くし自身も視力を無くしていました。累は過去にキックボクサーとしての才能を見いだされながらも暴力事件で罪を償っていました。お互いに惹かれ合い明香里の目が今なら治るかもしれないと知り、罪を償うためにも累は手術代を得るため、新たな罪を犯そうとするのでした。

 主演の二人と犬のスクが好演しています。気になったのは児童養護施設の出身者がヤクザになっている筋書きが「ほんとにそうなの?」と疑問に思いました。

 タバコは、冒頭で駐車場の関係者が喫煙し、またヤクザが喫煙していました。(✗)


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朝が来る

2020-10-27 | 2020映画評


「朝が来る」 河瀬直美監督 ✗

 辻村深月のヒット小説を映画化しました。
 栗原佐都子(永作博美)と清和(井浦新)の夫妻は子どもに恵まれず一度は諦めたものの、養子縁組の制度ベビーバトンを知ります。しばらくして、中学生のひかり(蒔田彩珠 まきたあじゅ)が生んだ子をベビーバトンの浅見(浅田美代子)から手渡されそのときに実の母親ひかりから手紙を受け取ります。そして6年後突然ひかりから連絡があり子どもを返してほしい、できないならお金を払えと言われるのでした。

 冒頭で養子の朝斗の仲良しが幼稚園で怪我をし「朝斗が押したから落ちた」と言われ母親の佐都子が心が揺れる一連のやりとりが観客の心も揺さぶります。
 もう一つの物語である中学生で妊娠出産した少女を取り巻く大人たちの自分中心の言動には憤りを感じさせます。ただ、あれこれ盛り込みすぎていてヤクザ(青木崇高、若葉竜也)とのからみは全カットしても良かったのではないかとも思えます。二人の演技は良かったのですけど・・・。

 タバコは、そのヤクザが喫煙し、またひかりの職場の仲間もタバコを持つ場面が何回かありました。ひかりもタバコの箱を弄ぶ場面はありました。荒んだイメージでしたが回数が多かったので✗です。

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82年生まれ、キム・ジヨン

2020-10-25 | 2020映画評


「82年生まれ、キム・ジヨン」 キム ドヨン監督 韓国 △

 日本でも話題となったチョ ナムジュの小説をコン ユ主演で映画化しました。
 結婚を機に専業主婦となり2歳の娘の母親のジヨンは夫のデヒョン(チョン ユミ)は子育てにも協力的で周囲から見れば幸せなはずでしたが、本人は心に隙間風が吹いているのでした。疲れているだけと思い込もうとしていましたが、ある時から突然奇妙な言動を取り周囲を驚かせますが、本人には全く記憶がないのでした。夫は医師に相談に行きますが、「本人が来なければ・・・。」と言われます。仕事をしていた頃の尊敬する女性の上司が独立しかつての仲間から一緒に働かないかと誘われその気になるのですが・・・。

 子どもの頃から就職しても、「女だから」「女のくせに」と制約されるだけでなく、女性ならではの危険な目にあっても「お前が悪い」と親から言われるなど、男社会の隅々にはびこる理不尽な評価や対応が様々な立場の女性登場者が訴えます。もちろん男社会にすっかり取り入れられた女性もいて問題の深さを思い知らされます。
 展開を夫の目線で描いたことが男性からの共感を多少は得ることに効果があるのではないかと期待したいところです。

 タバコは、差別発言をしていることに全く気づかないかつての男性上司が会議の前にタバコを吸っていて灰皿に押し付けて消す場面がありました。かなり、マイナスイメージが強い男性だったので(△)です。


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スパイの妻

2020-10-25 | 2020映画評


「スパイの妻」 黒沢清監督 ○ ☆☆

 第77回ベネチア国際映画祭コンベンション部門最優秀監督賞受賞作です。
 1940年軍隊が社会を制圧している時代に裕福な貿易商だった優作(高橋一生)は訪れた満州で人道的に許されない戦争犯罪行為をフィルムに収め帰国します。なんとか第三国を通して公表したいと願う優作ですが、軍の厳しい取り締まりにあってしまいます。妻の聡子(蒼井優)は周囲からなんと思われようと夫を信じ共に行動しようと決心します。一方、聡子にかつて恋心を抱いていた津森(東出昌大)は軍隊長となって二人の前に現れ厳しく問い詰めるのでした。

戦前になりつつある現在に大変タイムリーな内容の作品です。その上映画愛に溢れていて、冒頭のお遊びのサスペンス映画がラストに生かされフィルム映像ならではのトリックが生きています。
 尾行がついていたにちがいないにもかかわらず結構のんびり映画鑑賞をしたりする場面もどんな時代であれ映画を守ろうという製作者の映画愛が感じられます。その思いに対して(☆)
 どんなホラー映画よりひたひたと迫りくる独裁政治の魔の手のほうがずっと恐怖です。黒沢清監督らしい社会派恐怖映画でした。(☆)

 タバコは、なし。無煙です。「名画にタバコはいらない!」


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ようこそ映画音響の世界へ

2020-10-24 | 2020映画評


「ようこそ映画音響の世界へ」 ミッジ コスティン監督 米 ○ですが

 1923年に初のトーキー映画「ジャズシンガー」が封切られ熱狂をもって受け入れられたハリウッドの音響技術の歴史を、そのレジェンドたちへのインタビューなどで紹介する映画ファンには嬉しいドキュメンタリーです。
映画の始まりは動く映像だけでセリフや音楽はありませんでした。テープレコーダーが一般化することで映像に音を重ねることができるようになりそこからは技術の進歩に合わせ音響の方法も様々に変化していきました。一方、動物園で猛獣の吠える声を録音したり、実際にエキストラにたくさんの声を出させて群衆を表現したり手作りの音響効果も現在でも有効です。
映画は映像と音楽を始めとしたさまざまな音響の2つの要素で完成しているということがよく分かるドキュメンタリーでした。
直接は関係ありませんが、監督としてロバート・レッドフォードとバーブラ・ストライサンドが登場しましたが、某カフェで開催されている「懐かしの映画パンフ展」のなかに「追憶」があり若い若い二人の姿がありました。50年近く経ってもふたりとも才能が輝いていて充実した人生を送っているのですね。見習わなくては。

タバコは、現在の映像には出てきませんでしたが、過去の名作の中で数回登場しました。おまけの○です。


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映像研には気をつけろ

2020-10-03 | 2020映画評


「映像研には気をつけろ」 英勉(はなぶさ つとむ)監督 ○

 大童澄瞳原作の人気コミックを実写映画化しました。
 人見知りが激しいけれども映画監督の才能がある浅草みどり(齋藤飛鳥)は芝浜高校に入学し、映像研究会を木崎ツバメ(山下美月)金森さやか(梅澤美波)とともに設立します。芝浜高校は全員が部活に参加しなければならずそのせいか「モノマネ研究部」などの奇妙な倶楽部もありました。アニメーターのツバメの才能を生かしたアニメ映画を制作しようとしますが、校内で最も権力を持っている生徒会に倶楽部の統廃合を提案され映像研は「ロボット研究部」と合併しロボットアニメを制作することになるのでした。家庭や校内にさまざまな問題が起きますが、さまざまな奇妙なことを研究している倶楽部に助けられ、いざ文化祭で上映の運びとなる予定でしたが・・・。

映画製作に関わる費用の調達、脚本、絵コンテ、機材の準備、などなど細々とした問題を大げさなやり取りとアニメーションを取り入れた演出でコミカルに描いています。音響の大切さをもっと丁寧に見せると映画の制作の面白さがより伝わったのではないでしょうか。人気映画やテレビ番組のパロディなどが随所に散りばめられ小ネタで笑えます。笑いながらも、妙に権力のある生徒会っていう存在で、コメディの中に不気味さも感じさせます。
難を言えば、セリフの展開が早すぎてついていけない場面や字幕の説明の文字が小さすぎて一瞬で読み取れないというわかりにくさがありました。

タバコは、なし。無煙です。

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