無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

幸福路のチー

2019-12-29 | 2019外国語映画


「幸福路のチー」 ソン シンイン監督 台湾 ☓☓

 東京アニメアワードフェスティバル2018長編グランプリ、第55回電影金馬奨最優秀アニメーション映画賞受賞作です。
 1975年に生まれ、台北郊外の幸福路で子ども時代を過ごし、猛勉強してアメリカへ行き職と家族を得た女性主人公チーが祖母の死をきっかけに故郷に帰り、自身と向き合う姿を縦軸に、横軸には台湾の激変する時代背景を描きました。
 祖母が亡くなったという連絡を受け、チー(声 ルイ グンメイ)は久しぶりに子ども時代を過ごした故郷に帰ります。貧しいながらも両親の愛情を受け近所の友だちと共にいろいろ小さな事件はあるものの幸せな時を過ごしていた思い出が蘇ります。実は現在のチーはアメリカ人の夫とうまくいってなくて離婚も考えていたのです。悩んでいるチーの前にこれまでと同じように死んだはずの祖母が現れ励ましてくれるのですが・・・。
 「子どもの頃思い描いていた自分になっているか?」という問いかけはいつの時代どんなところで暮していても普遍的な問でしょう。すべてを受け入れてくれる祖母の存在が貴重です。
 また、祖母が高地民族アミの人、親友がアメリカ人とのハーフという多様な人々を登場させ、台湾という国の激動の歴史と現実を織り交ぜたことで単なる女性の成長譚ではない物語になりました。
 タバコは祖母がビンロウタバコを喫煙し(野蛮と言われる)(☓)、おとなになって再会したアメリカ人とのハーフの友達も喫煙(☓)しました。

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米軍が最も恐れた男 2 カメジロー不屈の生涯

2019-12-28 | 2019日本語映画


「米軍が最も恐れた男 2 カメジロー不屈の生涯」 佐古忠彦監督 ○(おまけ)☆

 2017年の「米軍が最も恐れた男 その名はカメジロー」の題2作目で、今作ではカメジローの日記をもとに瀬長亀次郎の生涯を描きました。
 戦後沖縄で米軍の圧政と厳しい弾圧の中牢屋に入れられても、被選挙権を奪われても、パスポートが取れなくてもめげずに「不屈に」戦いつづけるその姿には学ぶべきものがあります。前作と重なる映像があったのかもしれませんが独立した作品として改めて感動します。「小異を捨てずに、大同につく」というカメジローのことばは当時から沖縄の人々を鼓舞してきましたが、現在も「オール沖縄」として脈絡と続いています。年に一度は無理でも2,3年に一度はカメジローさんからパワーを貰えるよう定期的に上映してほしいものです。
 今作の見どころは、カメジローさんが国会で当時の首相佐藤栄作と対峙する場面です。鋭く迫るカメジローさんに対し内容に問題はあるもののそれでも逃げずに、またはぐらかさずに一応真摯に答弁する佐藤首相の姿です。今国会でまともな答弁もせず逃げ回っているどこかの国の首相に見せてやりたい場面です。
 2018年の直木賞受賞作「宝島」(真藤順丈著)と歴史的に重なる時代でもう一度読み直してみたくなりました。
 タバコは、過去の写真の中で写っていましたが、おまけの(○)です。タバコを吸っていなければ健康年齢がもう少しは長くなったのではないかと思うと惜しいです。
 

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スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け

2019-12-24 | 2019外国語映画


「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」 J J エイブラムス監督 ○

 スターウォーズシリーズ「フォースの覚醒」「最後のジェダイ」3部作の3作目です。サーガとしては9作目になります。スカイウォーカー家の物語としてはこれで終わりです。
 最終作ということで、かつての主だった人気キャストが顔を見せ懐かしさ満載です。アクションや戦闘場面だけでなく、登場者(人だけでなくロボットや異星人を含め)たちのやり取りがけっこうボケとツッコミがあったりして笑える場面もあります。また、超ハイテクの世界のはずなのに、妙にアナログな世界や縄とか弓も出てきてそのあたりの多様性が気持ちよく観ることができます。そして相変わらずのあのテーマ曲です。「これでおわりか・・・。」と思うと寂しい気もしますが、観客がほとんどシニア層で「寅さん」の会場か?と思うくらいでした。だから終わりにしたのかな、と納得しました。1977年に「スターウォーズ」の第1作が公開されたときからのファンは一緒に歳をとり一つの世代を築きました。新作が公開されるたびにワクワクさせてもらえて楽しかったでーす。
 タバコは、なし。無煙です。

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メランコリック

2019-12-22 | 2019日本語映画


「メランコリック」 田中征爾監督 ☓

 田中征爾の長編監督デビュー作で、第31回東京国際映画祭スプラッシュ部門で「監督賞」を受賞しました。主演した皆川、磯崎との3人による映画製作ユニット「ONE GOOSE」第1作目でもあります。
 東大卒の和彦(皆川暢二)は定職についたことがありません。偶然でかけた銭湯で同級生百合(吉田芽吹)と再会し同窓会に誘われ、いきがかりでその銭湯でアルバイトをすることになります。
ところが、その銭湯は夜中になると人殺しと死体処理の副業をしていました。和彦は同期採用の松本(磯崎義知)と共にその仕事も手伝うようになります。高額な特別手当をもらいウキウキし百合をデートに誘うのでした。闇の仕事になれた頃同僚の松本、銭湯のオーナーそして大物のヤクザとのトラブルに巻き込まれるのでした。
 「いきがかり」で危ない仕事をためらいながらも淡々とこなす和彦が妙に説得力があり、悪いことをしているにも関わらず血の色が素人っぽい色だったり、言葉使いがお互いに君付けで呼び合うなど子供っぽさがあったりするためか、禍々しさが感じられず不快感のないサスペンスになりました。名前も顔もほとんど知らない俳優さんたちでこれだけ面白い作品ができるなんて日本の映画界もまだまだ可能性があると嬉しくなります。中でも吉田芽吹の笑顔はニコニコマークの絵文字のようで魅力的です。
 殺しがメインの内容でありながら「生きていることの素晴らしさ」を描きそれも笑えます。ニートだったり、変な仲間を連れ込んだりしても優しく接していた両親との食事場面がおいしそうでした。
 タバコは、ヤクザが1回喫煙しました。(☓)悪役なのでマイナスイメージですが、残念です。また銭湯の脱衣所でタバコの煙がみえましたが、実際は都内の多くの銭湯は禁煙になっています。
 

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人生、ただいま修行中

2019-12-21 | 2019外国語映画


「人生、ただいま修行中」 ニコラ・フィリベール監督 仏 ○ ☆

 看護学校で学ぶ生徒の成長する姿を追ったドキュメンタリー映画です。
 パリ郊外の看護学校には、人種、宗教、出身国、母語そして性別や年齢が異なる様々な学生が看護師になるための勉強をしています。教室で学ぶだけではなく技術訓練の実習、そして実際に患者と向き合う研修を行います。ときには、失敗したり壁にぶつかったりしますが、カウンセリングをする大人たち(カウンセラーか指導者かは不明)と話すことで立ち直り再び目的に向かっていくのです。
 40人の学生がそれぞれ自分の個性を発揮しているファッションとヘアスタイルにまず驚かされます。日本だったらみんな同じような服装で画一的なイメージがありますが、ここでは授業中の座り方や姿勢などが全く自由でつまみ食いをしていても注意をされません。そんな些末なことを厳しくするよりも看護師として本当に大切なことをきちんと学ぶことを優先しているようでした。指導者たちのファッションも学生と同じように個性的でした。指導の内容も技術的なことよりもまず、自分がなぜこの職を目指すのかという目的性をきちんと捉えさせ自身と向き合わさせるカウンセリングが大変見事でした。原題「DE CHAQUE INSTANT」のようにラストの瞬間の目が印象的です。こういう指導をしているフランスが羨ましいです。(☆)
 演技ではないけれど、研修中の看護師から注射をされるときの患者の不安そうな表情やうまくいったときの安堵の表情が大変面白かったです。
 タバコは、なし。無煙です。ただ、訪問看護か不明ですが、屋外で、歯がほとんどない高齢の女性が自分で何かを紙に巻いて口にくわえ火を点けようとしそこでカットという場面はありました。
 

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ヒキタさん!ご懐妊ですよ

2019-12-20 | 2019日本語映画


「ヒキタさん!ご懐妊ですよ」 細川徹監督 △

 作家のヒキタクニオが自身の妊活を書いたエッセイを映画初主演の松重豊と北川景子の共演で笑えて泣ける作品に仕上げました。
 49歳のヒキタさん(松重豊)は年の離れた妻サチ(北川景子)と二人の生活を楽しんでいましたが、サチのひとことがきっかけとなり妊活を始めます。簡単にはいかず原因はヒキタさんにあることがわかります。そこから元気な精子を育てるためのちょっと笑える苦闘が始まるのでした。
 松重や仕事仲間役の濱田岳などの個性が生かされ、普通に聞くと生々しい話題でも笑えてしまいます。また、うまくいったかに思えたあとの胎児のトラブルに泣かされたり苦しんだりする感情の落差を主演の二人が好演しました。北川景子が若い頃の吉永小百合を彷彿とさせる目をしていてきれいな女優だなと再認識しました。
 水槽のクラゲや桜並木、そして奇妙なラーメン屋、サウナなどの脇の演出も個性的で効果的でした。ヘタなイラストも笑えました。
 難を言えば、サチは仕事をしているようでしたが、通院するために仕事を休むとか時間を調整するなどの現実的な話題を取り上げていなかったのはやはり原作が男性で、それも自由業の人だからでしょうか。仕事しながらの不妊治療は結構職場の協力がないと厳しいという現実があり、それで諦めてしまう人も多いので、そのあたりをチラリとでも触れられていると妊活映画として完璧でした。ちょっと残念です。
 タバコは、こちらもちょっと残念なことに居酒屋の場面で隣の席の男性が喫煙していて煙が流れていました。(△)

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カツベン!

2019-12-19 | 2019日本語映画


「カツベン!」 周防正行監督 ☓☓☓ 東映

 新作ごとに目の付け所が個性的な周防監督が今作では日本にしかいなかったという「活動弁士」を取り上げ、映画が発明されてからトーキーになるまでのほんの一時期にスポットを当てコメディに仕上げました。
 子どもの頃から活動映画に魅せられていた染谷俊太郎(成田凌)はおとなになってからはなんとニセ弁士として泥棒一味の片棒を担いでいました。ある時、大金とともに逃げ出した俊太郎は潰れかけていた小屋青木館の夫婦(渡辺えり、竹中直人)に拾われます。呼び込みや掃除などの雑用をしていましたが、泥酔して眠り込んでしまった弁士(永瀬正敏)の代役として舞台に上がり観客の喝采を浴びるのでした。弁士として活躍が期待された矢先、かつての泥棒仲間が大金を取り戻しに現れます。一方青木館はヤクザが牛耳るライバル館に次々弁士を引き抜かれていくのでした。どっちを向いてもトラブルだらけの中、幼馴染の梅子(黒島結菜)との再会が俊太郎の心を揺さぶるのでした。
 あれこれ事件がてんこ盛りすぎです。泥棒一味とのいくつかのエピソードはいくつか割愛し、「活動弁士」の魅力をもっと見せても良かったのではないかと思います。フィルム映画については「編集が自由にできる」といういい点も燃えやすいという弱い点もストーリーの中でわかりやすく見せていました。
 タバコは、主役級では売れっ子弁士役の高良健吾が一度喫煙したくらいですが、観客席からいくつもの紫煙がモクモク上がり、そればかりが気になってなかなか内容に集中できませんでした。確かに当時はそうだったのかもしれませんが、タバコの場面だけ忠実に再現するのはなにか別の意図があるのではないかと勘ぐってしまいます。特に俊太郎が子役の場面でも同様に煙が上がっていて職場で無理やり受動喫煙の健康被害を受けている姿は子役たちへの虐待、それも監督という権力を持つ立場の大人からのパワハラではないかと思います。こういう作品に芸術文化振興財団から助成金が出ているのも納得しかねます。


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午前0時、キスしに来てよ

2019-12-18 | 2019日本語映画


「午前0時、キスしに来てよ」 新城毅彦(しんじょう たけひこ)監督 ○ 松竹

 みきもと凜の同名コミックを片寄涼太、橋本環奈の共演で実写映画化しました。
 日奈々(橋本環奈)は朝5時に起き、両親を助け家事や妹の世話をし、学校では真面目に勉強をする高校生でした。が、実は妹に読んであげている「シンデレラ」のお話のように素敵な王子様が現れることを夢見ていました。ある時高校で映画のロケが行われエキストラとして参加した日奈々をスターの綾瀬楓(片寄涼太)がみそめます。お互いに引き合うものがあり、トップスターと女子高生という禁断の恋に落ちてしまいます。そして大事件が起きてしまうのでした。
 よくあるキラキラ映画ですが、舞台が湘南界隈なことと、二人が観るモノクロ映画の「Fin」マーク、映画撮影の現場が映画内で見られたのは面白かったです。
 導入部分のコーラのコマーシャルから本編が始まるというのはアイデア賞ものです。
 遠藤憲一の「若者たち」独唱は助演歌唱賞というのがあれば受賞間違いなし。
 タバコは、エグザイルが関係しているせいか無煙でした。(○)
 

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作兵衛さんと日本を掘る

2019-12-15 | 2019日本語映画


「作兵衛さんと日本を掘る」(2018年) 熊谷博子監督 ○ ☆☆

 2011年日本初のユネスコ記憶遺産に指定された山本作兵衛が描いた記録画と日記を元にして明治から昭和にかけての筑豊炭鉱の盛衰と、記録画を発見し様々な形で社会に紹介した人々の姿をドキュメンタリーにしました。
 元炭鉱夫で閉山後は警備員として働いていた山本作兵衛は60歳半ばを過ぎてから「子や孫に炭鉱の姿を伝えたい。」という思いから絵筆を取り書き始めました。その数数千枚と言われ山本は請われればその絵を様々な人にあげていたので専門家の眼に触れることになりました。そして画集が出版され表舞台に登場します。しかし、市井の人である山本は酒さえ飲めればご機嫌で有名になることなどには全く関心はなかったようです。
 一方、エネルギー転換を迎え、職を奪われた労働者が原発へ吸収され時代は変わったかに見えましたが、山本は「底の方は何も変わらない。」という言葉を残しました。その真意を考えさせることばです。
 絵画の勉強などは受けたこともなくただ「絵を描くことが好きだった」という山本の絵は炭鉱夫、炭鉱婦への愛にあふれ見るものに「労働の神々しさ」を思い起こさせます。カンテラの灯りに浮かび上がる子どもを連れた母親の炭鉱婦の絵は炭鉱のマリア」と評されているそうですが、まさに慈愛に満ちた眼差しが秀逸です。
 日本初の記憶遺産指定は、本来ならばもっとメディアで大きく報道されるべき事柄でしたが、2011年5月という日本中が大混乱の中だったので一部の人にしか伝えられずそれが残念でした。この作品をきっかけにもう一度多くの人に関心を持ってほしいものです。
 2018年の作品ですが、やっと鑑賞することができました。桜坂劇場ありがとう。

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i 新聞記者 ドキュメント

2019-12-14 | 2019日本語映画


「i 新聞記者 ドキュメント」森達也監督 ○ ☆☆

 映画監督の森達也が東京新聞の社会部記者の取材姿を追ったドキュメンタリー映画です。
 劇場公開映画「新聞記者」の原案者でもある東京新聞の望月衣塑子記者は、菅官房長官の記者会見での諦めない質問姿勢が話題となっています。質問の途中「質問をしてください。」と何度も嫌がらせを受けたり、誠意がまったくない菅長官の態度や彼女を孤立させている他社の記者たちにもめげず納得できる回答を得るまで食い下がる彼女の姿は記者魂にあふれています。そして、逆に見えてくるのは他社の記者たちの不甲斐なさです。この作品では使われませんでしたが記者集団にはびこる「同調圧力」や「権力への忖度」、それこそが前向きな議論を阻み、健全な報道姿勢を貫くことへのしばりになっているのではないでしょうか。
 望月記者を描いているように見せ、監督が見せたかったのはその他の記者たちです。記者を名乗っているみなさんもっとがんばって!!(☆☆)
 タイトルの「i(アイ)」は大勢で群れるのではなく、「一人称単数」で社会と向き合いたいという監督の意思を表しています。小文字なのは「権力を持たない、一市民」ということを強調していると思われます。
 タバコは、なし。無煙です。

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