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無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

2022年無煙映画賞

2023-05-31 | 2022年無煙映画賞
5月31日は「World No Tobacco Day (世界禁煙デー)」です。
毎年日本禁煙学会で選考されている無煙映画賞の各賞を紹介します。

**2022年無煙映画賞各賞と推薦理由**

<作品賞> 「土を喰らう十二ヵ月」 中江裕司監督

 水上勉のエッセイ集「土を喰ふ日々 わが精進十二ヶ月」を原案に監督自身のオリジナル作品として、白馬を舞台に実写映画化しました。
 小説家のツトム(沢田研二)は雪を被った山脈がみえる古民家に暮らし畑を耕し山菜を取り子どもの頃育った禅宗の寺で教えられたように丁寧に精進料理を作り来客に振る舞っています。身近な人の死をきっかけに人生を問い直します。
 今日一日を大切に生きよう、と思わせてくれる秀作です。

<主演俳優賞> 岸井ゆきの 「ケイコ 目を澄ませて」三宅唱監督

 聴覚に障害がある元プロボクサーの自伝を映画化しました。セリフが「ううっ」と「はい」が1回で、笑顔もほとんど見せない表情で演技する困難な役を岸井が好演しました。
 音楽がなく映画の形態としても独特な表現をしています。

<東日本大震災追悼賞> 「天間荘の三姉妹」 北村龍平監督

 天界と地上の間にある三ツ瀬街の旅館天間荘。新たに宿泊客たまえ(のん)が到着します。彼女は実は現世で交通事故にあい臨死状態だったのです。
徐々に天間荘や三ツ瀬街の人々の謎が明らかになっていく脚本(嶋田くれ葉)がたくみで「生きるとは」「人生とは」「孤独とは」そして家族について哲学的なセリフがさりげなくかわされ観客はいつのまにか自身の問題として考え共感していきます。生きていることの素晴らしさを再確認させてくれる秀作です。 

<特別賞> 「テレビで会えない芸人」 四元良隆・牧祐樹監督 

 芸人松元ヒロの姿を出身地の鹿児島テレビがドキュメンタリー映画にしました。
 名作「憲法くん」はじめ現在のテレビでは忖度され決して演じられない政治ネタで笑わせながら痛烈に社会批判をしています。とともに松元自身の人間性がさまざまな場面に現れています。

<ファミリー賞>「桜色の風が咲く」 松本准平監督 

 世界で初めて盲ろう者で大学の教授になった福島智さんと母親の令子さん親子の実話を基に映画化した作品です。視覚だけでなく聴覚までなくし絶望の智さんを令子さんが指点字という新たなコミュニケーションツールを編み出しそれが希望となり人生の困難を家族で乗り越える姿を描きました。

<アニメ映画賞> 「犬王」 湯浅政明監督 

 古川日出男の小説「平家物語 犬王の巻」を長編ミュージカルアニメとして描きました。
 南北朝から室町にかけ活躍した「犬王」と呼ばれる能楽師が主人公です。
四条河原を舞台にダイナミックな音楽と奇抜な演出、犬王の人間とは思えない舞、アニメーションだからできる表現です。
 文字で残されたものしか歴史としては残らない、権力者の都合のいいものしか文字にならない。つまりは歴史にはならない、今に通じる内容でした。


<外国語映画賞> 「ベイビーブローカー」 是枝裕和監督 韓国 

 「万引き家族」の是枝監督が韓国で制作し、ソン ガンホが第75回カンヌ国際映画祭で「主演男優賞」を獲得した作品です。
 捨てられた赤ちゃんを売るためにオンボロ車でブローカーと母親たちが旅をするうちに何故かチームのようになっていく気持ちの変化を俳優たちの名演技が見どころです。
 韓国と日本の映画人が協力して一つの作品を完成させる行為そのこと自体にも拍手です。
 それにしても男の子は1000万ウォン、女の子は800万ウォンが相場ってひどいですよね。


*汚れた灰皿賞(モクモク賞)
・「マイ・ブロークン・マリコ」(タナダユキ監督 ハピネットファントムスタジオ)
・「とんび」(瀬々敬久監督 KADOKAWA)
・「宮松と山下」(関友太郎、平瀬健太郎、佐藤雅彦監督 ビターズ・エンド)

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「ウィ、シェフ!」

2023-05-31 | 2023映画評


「ウィ、シェフ!」 ルイ=ジュリアン プティ監督 仏 ✗✗

 孤独な料理人と移民の少年たちが料理をすることを通して心を通わせていく姿を、実話を基にコメディタッチに描きました。

 スーシェフ(副コック長)のカティ(オドレイ ラミイ)はシェフと大喧嘩をして店を飛び出したものの孤独な彼女には行き場がありません。なんとか得た仕事は難民の施設の料理係でした。高級レストランと同じような料理をしようとするカティは施設長(フランソワ クリュゼ)とぶつかります。施設の少年たちのことや予算のことを説明され、また、スタッフのサビーヌ(シャンタル ヌーピル)の提案もあり少年たちに料理を教え始めるのでした。

 施設にやってきたカティの大荷物をサビーヌがふうふう言いながら「私が持つ」というカティに「大丈夫、私が運ぶから」という姿でカティが貴重な人材だとわかるいい場面です。難民問題という難しいテーマですが、美味しそうな料理と少年たちの素直な姿、そして周囲の大人たちがちょっと笑わせてくれ明るい作品になりました。ラストのテーマ曲が流れたときは手拍子で合わせたかったけど、ヒューマントラストシネマ有楽町のお客様はお行儀がいいから皆静かに見ていてちょっともったいない感じでした。
 フランス人もキクイモを食べることを知りました。勝手に出てくるキクイモですが今年は食べようかな。

 タバコは、料理人なのに主役のカティが2度喫煙し、煙を誤魔化していましたが、ごまかせませんよ。喫煙者の料理は食べたくありません。モデルのシェフも喫煙者なのかな?ちょっとがっかりです。


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「茶飲友達」

2023-05-15 | 2023映画評


「茶飲友達」 PG12 外山文治(そとやま ぶんじ)監督 ✗✗

 2013年に実際に起きた高齢者の売春組織摘発事件を基にオリジナルの物語にしました。
 佐々木マナ(岡本玲)は仲間と高齢者対象の売春斡旋業、ティーフレンズこと「茶飲友達」を運営しています。新聞3行広告や直接スカウトで会員を集め順調に組織は拡大していきました。売春をする女性たちは孤独感やパチンコ依存など問題を抱えている人も多くマナはスタッフみんなに対し「私達はファミリーなのだ」と疑似家族的関係を構築していました。しかし本当の気持ちはそれぞれ別にあったのでした。

 年齢を恥じることなく身体をさらけ出した俳優さんたちの勇気に脱帽です。売春という問題だけでなく、妊娠した若い女性に対する自治体の冷たい対応、相手の男性の身勝手さなども描かれています。
 個人的にはラストは昭和的だと思います。21世紀の家族にしてほしかったです。
 次回作では生まれた子どもを皆で育てるような疑似家族を描いたらどうでしょう。

 タバコは、マナが加熱式タバコを度々喫煙していました。仲間の男性たちも喫煙者で父と息子のやり取りにタバコが使われていました。これも昭和ですね。


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「銀河鉄道の父」

2023-05-14 | 2023映画評


「銀河鉄道の父」 成島出監督 △!タバコネタ

 小説家門井慶喜が宮沢賢治の家族を描いた直木賞受賞作を映画化しました。
 長男賢治が生まれ父政次郎(役所広司)は大切に育てますが、賢治は成長とともに家業の質屋は農民を搾取しているから嫌だといい、人造宝石、農業、法華経などにハマっていきます。政次郎はそんな賢治(菅田将暉)に腹を立てつつもやりたいようにやらせて見舞っています。ところが賢治の妹トシ(森七菜)が結核で亡くなり、後に賢治も病魔に倒れるのでした。

 賢治の作品を通しておおよそのことは知っていましたが、賢治が作品を残せたのは喜んで物語を聞いてくれた妹や父そして最終的に本に残した弟の宮澤清六といった家族の存在が大きかったことがよくわかります。
 ただ、カメラがどなたか知りませんが動くものを撮る時にカメラを動かさないでいただきたい。せっかくの演技を落ち着いて鑑賞できません。大学生の卒業制作じゃないのですから映画の内容には酔いたいけれど画面のブレブレで酔いたくはありません。

 タバコは、「結核にはニコチンが効く?」というフェイク情報が当時あったようでトシも喫煙した形跡があり、賢治が結核に罹患したことも「タバコを吸っていた」の一言でわかることなどタバコネタ満載でした。実際に喫煙していたのは周囲のエキストラの高齢男性2名でした。命がけのエキストラです。


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