無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

ちはやふる 上の句

2016-03-30 | 2016日本語映画評


「ちはやふる 上の句」 小泉徳宏監督 ◯ ☆☆

 さまざまな賞に輝く末次由紀の人気コミックが原作です。
 競技かるたに青春をかける千早(広瀬すず)を中心に幼なじみのかるた仲間とそのライバルたちとの<情熱・恋・夢>を描いています。
 高校入学をきっかけに「かるた部」を結成するため千早はなんとか5人の部員を口説きます。子どもの時に一緒にかるたをした太一(野村周平)と当時のライバル肉まんくん、そして古典好きのかな(上白石萌音)、唯一まだ部活を決めていない机くん(森永悠希)。5人は都大会を目指します。一方、幼なじみで天才的な競技者新(真剣佑)とは電話連絡のみの関係になっていました。「かるたさえ続けていればいつかまた会える」と千早と太一は新との再会を期待しますが・・・。
 知性を伴う格闘技とも言えるほど体力集中力を要す競技かるたの魅力満載の作品です。印象的には地味なかるたの世界を一気にメジャーにした功績は大変大きいと思います。(☆)また、高校生が主人公の作品はこのところ甘っちょろいものばかりでうんざりしていましたが、そんな作品群にも「広瀬すずの目ヂカラ」で一矢を報いる今年の邦画の中でもトップクラスの感動モノです。「下の句」が楽しみです。(☆)タイトルバックもイメージ通りでした。
 タバコは、なし。無煙です。「下の句」が無煙ならば、無煙映画賞候補作です。


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リリーのすべて

2016-03-30 | 2016外国語映画評


「リリーのすべて」 R15+ トム ハーパー監督 英 ☓☓☓ ☆

 1926年、男性として結婚したものの自身の内にある真の性は女性であることに気づき世界で初めて性適合手術を受けたアイナー ヴェイナー(リリー エルベ)とその決断を支えた妻の人間としての愛を描きました。
 風景画家のアイナー(エディ レッドメイン)は肖像画家である妻ゲルダ(アリシア ヴィキャンデル)の仕事を手伝って女性モデルの代役をしたことがきっかけとなり、自分自身の中に「リリー」という女性が存在していることに気づきます。いたずら半分に「アイナーのいとこのリリー」として女装して人前に出たりするうちに男性であり夫でもある「アイナー」でいることが苦しくなっていきます。そして、妻の理解を得て性適合手術に踏み切るのでしたが・・・。
 男性としてのアイナーを愛していた妻が女性として生きたいと苦しむリリーを受け入れ愛し続ける姿が感動的です。ふたりの素晴らしい演技で冒頭からラストまで張り詰めた思いで映画の世界を楽しめます。また、アイナーの故郷であるデンマークの田舎の風景や当時を再現したパリやドレスデンなどの町並みやファッションも見どころです。(☆)満席の観客の殆どが明るくなるまで席を立たなかったのはきっとみなさん余韻に酔っていたのでしょう。
 タバコは、ゲルダが絵筆かと思うくらい長いキセルに紙巻たばこをさして度々吸っていました。アイナーは紙巻たばこを普通に2回ほど喫煙しました。周囲でも喫煙あり。(☓☓☓)


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Mr.ホームズ 名探偵最後の事件

2016-03-30 | 2016外国語映画評


「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」 ビル コンドン監督 英米 △

 自然豊かな田舎町で養蜂をしながら晩年を過ごしている93歳のホームズ(イアン マッケラン)が30年前に対応に失敗し、自ら引退を決断した未解決事件の謎解きをします。
 かつての名探偵も年齢には勝てず、身近な人の名前もシャツの袖にそっとメモしておかないと思いだせません。「記憶に効く山椒」の木を求めて日本への長い旅をし、ウメヅカ(真田広之)から古い本を見せてもらったことや兄の遺産のワトソンが書いた「ホームズの冒険」を手にしたことなどから忘れかけていた未解決事件について思い出したことを書き始めます。唯一の読者は家政婦の10歳の利発な息子ロジャー(マイロ パーカー)です。彼にせがまれ記憶の糸をたぐり寄せるように30年前の事件を解き始めるのでした。
 「鳥打ち帽とパイプ」はワトソンの作り上げたかってなイメージで本物のホームズはシルクハットをかぶりパイプはきらいです。その上、推理をするには記憶をたどることすらなかなか困難なお年ごろと、私たちの知っているホームズではありません。英国映画界がイアン マッケランのために制作した作品と言えます。ちょっと変な日本の風景や習俗、原爆のあとなどはまあご愛嬌でしょうか。
 タバコは、セリフの中に「私はパイプは嫌いだ。葉巻だ。」とありましたが、さすがにイアンに喫煙はさせませんでした。周囲でちらほら煙が映った程度でした。(△)



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アクトレス 女たちの舞台

2016-03-28 | 2016外国語映画評


「アクトレス 女たちの舞台」 PG12 オリビエ アサイヤス監督 仏スイス独 ☓☓☓☓☓

 ベテラン女優が成功のきっかけとなった舞台の再演をめぐる葛藤を美しく壮大なアルプスの自然の中で描いています。
 マリア(ジュリエット ビノシュ)は同居している有能なマネージャーのバレンティン(クリスティン スチュワート)に公私に渡り相談しながら芸能界で生きていました。デビュー作とも言える「マローヤのへび」の再演にあたり、今回は上司役のオファーを受けます。20歳の役から自らも歳をとり40歳の役を演ずることに対しマリアは抵抗もあり、また相手役の新進の女優に対してもいまひとつ信頼ができませんでした。しかし、原作者が急死したことなどもあり断りきれずバレンティンを相手にセリフ合わせに励みます。果たしてマリアはこの役をうまく演ずることができるのでしょうか。
 戯曲のタイトル「マローヤのへび」というのは、アルプス地方のマローヤ峠である気象条件の時にだけ見られる雲の動きのことです。女優たちの演技合戦も見どころですが随所見られるスイスの美しい自然も見どころです。
 タバコは、フィルム撮影でお金がかかったせいか、マリアもバレンティンも喫煙者で度々喫煙していました。(☓☓☓☓☓)アクトレスには喫煙はダメージが大きいのに役柄とはいえ気の毒なことです。


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セーラー服と機関銃-卒業―

2016-03-18 | 2016日本語映画評


「セーラー服と機関銃-卒業―」 前田弘二監督 ☓☓☓
 
 1981年に薬師丸ひろ子の機関銃乱射後の「か・い・か・ん」のひとことで脚光を浴びた名作の続編(一応?)です。
 高校3年生の星泉(橋本環奈)は組員4名の弱小ヤクザ「目高組」の元組長でしたが、今は商店街の一角で「めだかカフェ」の店長となっていました。友人が怪しいモデル倶楽部に誘われたことがきっかけとなり、再び裏の世界に引きずり込まれるのでした。
 前半は、子分の若頭(武田鉄矢)祐次(大野拓朗)晴雄(宇野祥平)とのやり取りが笑えて「ヤクザコメディ」かと思いました。後半は、未成年にも広がる薬物や、街全体を食い物にしようと警察や市長をも巻き込んでいきます。いわゆる「ヤクザ」とは違う巨大な企てをたくらむ組織を織り込み社会的な匂いもしてきて、コメディなのかシリアスなのか最後まで中途半端でした。コメディなら、見るからにおもちゃの機関銃でも許せますが、一方では殺したり殺されたりは結構リアルで、笑っていいのか笑っている場合ではないのか困ってしまいました。これが角川の40周年記念作品です。
 タバコは、敵から味方に変わる月永(長谷川博己)が喫煙者、組長の伊武雅刀などが喫煙しました。(☓☓☓)目高組のメンバーは喫煙しませんでした。


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マネー・ショート 華麗なる大逆転

2016-03-17 | 2016外国語映画評


「マネー・ショート 華麗なる大逆転」 アダム マッケイ監督 米 △ NTS

 2008年のリーマン・ショックに至る前から、その徴候を見抜きそれぞれの立場で巨大銀行と闘った4人のアウトローを描きました。実話が基になっています。
 風変わりな風体のマイケル(クリスチャン ベール)は金融トレーダーとして、金融商品が債務不履行に陥る危険性を訴えますが、誰も相手にされません。同様にマーク(スティーブ カレル)、ジャレッド(ライアン ゴズリング)、ベン(ブラッド ピット)もそれぞれの場で金融破綻を予測し「空売り」という賭けに出ます。結局は周囲から浮いていた彼らの予測通り世界を揺るがす大事件になるのでした。
 経済の問題は全くうといので業界用語の理解が浅く、人間ドラマとして楽しみました。大逆転をした彼らも大金は手にしたものの幸福感はなく、結局は何が起ころうと大金持ちは誰も責任を追求されず、痛くも痒くもなく、すべてのつけは貧しい国民に押し付けられるということでした。不労所得を当てにせず、半分世捨て人風にオーガニックの野菜を育てているベンの生き方がこれからの人間らしい生き方と暗示しているようでした。ブラッド ピットは製作にも参加しているためか一番いい役を演じています。
 タバコは、過去の銀行を描いている場面で喫煙者は出てきましたが、(△)タバコ会社からの資金援助は受けていませんとの表示あり(NTS)。


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エヴェレスト 神々の山嶺

2016-03-17 | 2016日本語映画評


「エヴェレスト 神々の山嶺」 平山秀幸監督 ☓☓☓

 主にエヴェレストを舞台にした夢枕獏原作の山岳映画です。カトマンズロケが見どころです。
 野心家のフォトグラファー深町(岡田准一)はカトマンズの骨董店で古いカメラをみつけます。そのカメラは1942年イギリスの登山家マロリーが登頂したか否かの証拠となるかもしれないものでした。一度は手に入れた深町ですが、すでに過去の人となっている天才クライマー羽生(阿部寛)の元に返されます。それがきっかけとなり、深町は羽生に興味を持ち次第に虜になっていくのでした。
 羽生の生き方が偏屈すぎて、そのうえ説教臭いし、ついていけないので彼に魅せられる深町に共感できません。言いたいのはラストの「生きる」ということなのでしょうが、今は外界で生きることさえギリギリなので、みんなに迷惑をかけるような無謀な登山に意味があるのかと思ってしまいます。
同じエベレストを扱った昨年のコルマウクル監督の「エベレスト3D」の方が映画的にもずっと説得力がありました。褒めるところは岡田のメイクくらいでしょうか。寒さと高度障がいと闘いながら制作した関係者を労いたいのはやまやまですが、いまひとつの作品となってしまったのが残念です。
 タバコは、山岳雑誌の編集者ピエール瀧が登場するたびに喫煙するほか、日本の山小屋の場面などでも平気で喫煙する登山家がいたり、喫茶店でも周囲が喫煙したり、「世界基準」を全く無視していてこちらも残念です。


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恋人たち

2016-03-16 | 2016日本語映画評


「恋人たち」 PG12 橋口亮輔監督 ☓☓☓☓☓ PP JT

 映画評でタバコが登場することはわかっていたので鑑賞の優先順位が低かったのですが、「キネマ旬報」でベストワンになったので、一般の批評家たちが選ぶ基準を勉強するために観ました。
 妻を通り魔に殺されてから橋梁点検というまっとうな仕事をしているにもかかわらず、弁護士への費用などで経済的にも逼迫し、生きることにも絶望しているアツシ(篠原篤 キネマ旬報新人俳優賞受賞)、パートで弁当屋で働き夫と姑の世話をしている皇室と少女趣味のイラストや小説を書いている瞳子(成嶋瞳子)のちょっとした不倫、アツシが相談するゲイの弁護士(池田良)と恋人との別れ、などが描かれています。
 ほとんど新人と思われる俳優が何人かの主役を演じ、そういう意味では新鮮な作品です。新鮮といえば「皇室」ネタが取り上げられているのも新鮮です。ただ、市井の中でそれぞれ悩み苦しみながらも生きている人々を描いているだけでラストでも何も問題は解決せず、「目をつぶったり」「諦めたり」することで「これからも生きていく」でしかない作品です。
 ベテランの脇役、光石研、安藤玉恵、黒田大輔、山中崇、などがそれぞれの役どころをしっかりおさえていました。
 個人的には、夫が食事中に茶碗を投げるなどの暴力は本当に許せないです。こういう暴力は放っておいていいのでしょうか。
 タバコは、あからさまにJTがスポンサーになっているだけに登場人物の殆どが喫煙者という作品でした。タバコ会社から資金を受けているような作品に「芸術文化振興財団」が補助金を出すというのも日本ならではの奇妙な対応です。


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キャロル

2016-03-16 | 2016外国語映画評


「キャロル」 PG12 トッド ヘインズ監督 米 ☓☓☓

 1950年代初頭のニューヨークを舞台に美しい夫人と若い女性の愛を描きました。
 デパートの店員になったテレーズ(ルーニー マーラ)は買い物に来たキャロル(ケイト ブランシェット)に一目で憧れます。忘れていった手袋を届けたことがきっかけとなり二人は親しくなります。実はキャロルは離婚訴訟中で、娘の親権を夫と争っていましたがキャロルの過去の素行が「道徳的条項」に触れ訴訟は不利になっていました。そんな中テレーズは小旅行に誘われキャロルとともに気が向くままの旅行に出るのですが・・・。
 時代的に許されなかった同性愛を当時の経済的に裕福だった社会状況を背景に贅沢なファッションと美貌の二人の女優で描きました。筆者は個人的に「耳に残るは君の歌声」以来今世界で一番美しい女優はケイトだと思っているのですが、今作でも美しかったです。ラストには拍手。
 タバコは、大問題です。時代がそうだったのかもしれませんが、美しいキャロルが完全なニコチン依存症で、周囲の友人たちもほとんどが喫煙者の設定でした。テレーズも大人のキャロルの真似をして喫煙者になってしまいます。ケイトのシワが増えたのも年齢のせいだけではないのでしょうね。役柄とはいえこの作品だけでかなり吸わされました。気の毒なことです。(☓☓☓)


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マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章

2016-03-16 | 2016外国語映画評


「マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章」 ジョン マッデン監督 英米 ◯
 
 2013年公開の「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」の続編です。
 人生の終盤をインドのシャイプールのおんぼろホテルで過ごしているイギリス人の高齢者たちのもとに新たなメンバーが加わったり、オーナーのソニーの結婚問題がこじれたり、恋や仕事の話も盛り上がり、それぞれ「今が最高の時」を生きているのでした。
 「同じ英語」を話すイギリス人とアメリカ人との微妙な違いや、英語が公用語のひとつでもあるインド人たちとの言葉の壁がないコミュニケーションが、カトコト英語しか話せない筆者には興味深くもあり羨ましくもあります。そして、「今が最高の時」というラストにはこれから彼らの年齢に近づいていくことに勇気を与えてくれます。
 タバコは、なし。タバコを吸っていると健康寿命が短くなりますね。


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