日本型モノづくりの敗北 零戦・半導体・テレビ (文春新書 942) | |
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文藝春秋 |
少し前に読んだ新書の感想を書く。なかなか面白かった新書である。半導体DRAMの世界シェアを巡ってエルピーダメモリが敗北したこと、サムスン電子のマーケティング力、家電テレビ産業の破滅、インテルのミスジャッジ、最後は日本の強み、イノベーションを起こすにはどうしたらよいか、と沢山のことが書かれていて、面白かった。
その一部を紹介する。大型コンピュータが華やかりし頃、日本の半導体メーカーは、なんと25年間壊れない半導体を作った。コンピュータメーカーからの要請によるものだ。当然高価だ。そして日本が世界市場を独占した。
ところが時代が変わって、パソコンの時代になると、パソコンの寿命は数年だから、そんなに長い期間壊れない半導体は不要になった。しかし、日本の半導体メーカーは成功体験があり、そのまま生産を続けた。この間、韓国や台湾メーカー等がパソコンに合ったものを安く生産したため、日本の半導体はシェアを失った。
大型コンピュータからパソコンへのパラダイムシフトについて行けなかったのである。技術力は高いが商売で負けた、と言っているが、市場に合う商品を作れなかっただけなのである。
時代が変われば、時代に合わせて企業は変化していかねばならない。これは中小企業診断士の企業経営理論マーケティングの基本だ。日本の大手家電メーカーがこれができなかったなんしょうもない話だ。成功体験した人たちだけだと意思決定の変更は無理なんだろうか。考えさせられることであった。企業にお勤めの方、お勧めの本ですよ。770円+税。