QUOカードをもらったので自分で本屋に。最近は図書室で本を借りて読むというのがメインでしたが。フラフラ回って今年の本屋大賞のコーナーで本を探してみました。本屋大賞自体は「本屋さんが売りたい本」の紹介をしています。流行りに乗るという感じではないですが、色々な作品に触れたいというのがあって。
今回は「川のほとりに立つ者は」です。寺地はるかさんの作品です。全くの先入観なく読み始めることに。火曜日から修学旅行の印刷がありました。読めるのは月曜日のみになるかもしれないなと。狙ったように修学旅行前日に舎監が入っていたのでなんとか一冊読もうかなと。
川のほとりに立つ者は水底に沈む石の数を知り得ない。真理だと思いますね。自分の周りには様々な人がいる。雑談をしたり何かあった時に相談をする。それにより救われることがある。が、「川のほとりに」に立っているだけなので、その川の底にどのようなものが沈んでいるかを知ることはできない。どのような人間関係であっても本人でない限り、本当の所を理解することはできないのです。真剣に相談に乗っているつもりでも結局は「他者のこと」でしかない。どれだけ身近な人であってもその人の心の中、奥底に沈んでいる悩みや苦しさは理解できない。
登場人物が抱えている「苦しさ」の部分、
今の時代、「個性」として見られるようになっていますが、以前であれば「え?」という目で見られる。LGBTQ +に関しても今も色々と発言に関して取り上げられています。学習障害という言葉が出てきてある程度のことは認知されるようになっています。そこに対して隠そうとする部分は当然ながらあります。自分の「見られたくない部分」が誰にでもあるからです。それを隠すために様々な嘘をつく必要が出てきたり、自分の感情を押し殺したりする。
外から見た自分と内側から見た自分のギャップ。これはきっと本人にしか分かりません。以前から「ペルソナ」について書いています。ここ最近は書いてないのですが「仮面」ですね。誰もが自分に対して「ペルソナ」を付けている。私であれば「kaneko」を演じている部分がある。本当の自分を見せることができる人が存在するのかどうか。ほとんどないと思います。「自分らしく」という表面的な言葉ではなく、自分が物事をどのように捉えるかという側面だけで考えられるかどうか。社会生活を円滑に過ごすためには無理です。他者を色眼鏡で見てそれぞれのパーソナリティを勝手に決めつける。そんな中で生きています。
この作品は読んでもらいたいですね。色々なことを考えさせられます。登場人物がそれぞれどのように感じているのか。感じてきたのか。もう一度読み直してみたい作品です。いい作品でした。お勧めします。