蝶人物見遊山記第266回& 鎌倉ちょっと不思議な物語第394回
まだ歳の暮れだというのに、早くも恒例の清方正月展が開催されています。今回もメインは、清方作品をもとに名押し絵作家の永井周山が製作した押絵羽子板でしょうね。これら「明治風俗12カ月」が描かれた優美な作品を眺めていると、明治というより江戸の新春の薫りがそよぎくるような気がするから不思議なものです。
しかし会場の片隅にさりげなく展示されていた「文藝倶楽部」第21巻第1号の付録、「軍国をんな雙六」をみていると、大正4年1915年現在の我が国の文芸が、すでに猛威をふるう軍国主義体制の膝下に組み敷かれていたことが如実に実感されます。
あったりまえだのクラッカーですが、他の大多数のアーテイストと同様、風雅の日本画家鏑木清方も、戦争とファシズムに抗する種類のひとではありませんでした。
そういう意味ではきのう突然ウーマンラッシュの村本選手司会のabemaTVの土曜日の番組が無くなったのも、平成29年が大正4年であることに直通しているように感じられます。
なお本展は明年1月14日まで寂しく開催中。

クリスマスの門扉の飾りひとつ残し近隣の家全焼したり 蝶人