あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

シリーズ偽主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々満載挨拶スピーチ実例集!」No.16

2017-12-10 10:37:07 | Weblog


蝶人狂言綺語輯&バガテル―そんな私のここだけの話op.275



新社屋落成式/建設会社社長のお礼のスピーチ

テーマ=独自の企業ポリシーで景気後退を乗り切る決意を示す

本日は皆さまご多用中のところ、山川建設株式会社の新社屋の落成式にご出席たまわりましてありがたく厚くお礼申し上げます。

私は、このほど代表取締役社長に就任いたしました山川啓一郎と申します。どうぞよろしくお見知りおきのほどお願いいたします。

*①さて弊社は、創業以来約半世紀、わが国の国土建設、インフラ整備の一端を担って、数々の高速道路、公共建築、飛行場・港湾設備等々を建設してまいりましたが、かねてより本拠地であります東京本社が手狭であるうえに老朽化し、皆さま方にたいへんご迷惑をお掛けしておりました。

*②本日念願の本社新社屋が、ここ東京品川の新ビジネスゾーンに誕生し、ようやく肩の荷をひとつ下ろすことができたと社員一同ほっとしておるところでございます。

*③皆さまご承知のように、今世紀に入りましてからは世界的な景気後退とわが国経済の失速、とりわけ公共投資激減の影響をまともに受けまして、建設業界ならびに弊社の前途にもいささか暗雲が立ちこめてまいりました。

しかし本格的なグローバル競争の時代を迎えた建設業界において、ますます重要なのは、いかに自社の個性と独創性を世界に発揮できるかということだと思います。

*④弊社の企業理念は「虚存」ですが、これは「物事の真に肝要なところは虚にのみ存す」という老子の有名な言葉からとりました。
建築物の本質は、屋根と壁と柱ではない。それらによって取り囲まれているいっけん空虚な空間こそが生命の泉なのだ、と老子は唱え、この考えは、私見ながら帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトの生涯の教えとなり、僭越ですが、わが山川建設の構造建築の基本コンセプトともなっています。

お客さまがそこで暮らし、生活される空間にいかにいのちを吹き込むことができるか――建設業者の使命はその1点に尽きる、と私は思うのです。
そして不遜にも、この「虚存」という企業哲学ある限り、山川建設は不滅であると私は信じている次第です。

*⑤よくことわざに「新しい酒は新しい袋に入れよ」と申しますが、新社屋が完成したからといって肝心の社員が新しく生まれ変わらなければなにひとつ進歩はありません。

社員全員が本日誕生したこの最新型の袋、立派な器に恥じない内容のあるお酒、芳醇なワイン、熟成された銘酒に変身して、皆さまに何杯でも何杯でもおいしく味わっていただくこと。それが、これからの山川建設の宿題です。

どうか今後ともご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。


○ スピーチのポイント
① 業界の環境、企業の現況についての簡単な紹介解説からはじめてみましょう。
② 新社屋は会社都合だけではなく、顧客便宜のために完成したことを強調するほうが社外関係者にアピールできます。
③ 業界環境をさらにくわしく解説しましょう。
④ 機会あるごとに企業理念をアピールして、消費者、関係者、株主、社員の共感を獲得することも重要です。
⑤ よく使われることわざですが、社員を新酒にたとえて心機一転をうながせば社内のモラルアップにもなります。

 これはヤバイいつでもなにかアマゾンで買い物していないと不安で不安で 蝶人
コメント
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