あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

新潮日本古典集成「御伽草子集」を読んで

2020-08-13 11:06:55 | Weblog


照る日曇る日第1441回


本によって様ざまなチョイスがなされているが、校正の松本隆信氏が選んだのは、「浄瑠璃十二段草紙」「天稚彦草子」「俵藤太物語」「岩屋」「明石物語」「諏訪の本地」「小男の草子」「小敦盛絵巻」「弥兵衛鼠絵巻」の9篇が並んでいる。

なんとなく子供心に聞いたような話が多いのは、この室町時代の大衆小説が現代の講談や小説や絵本の種本として人口に膾炙してきたからだろう。

「小熱盛絵巻」は熊谷直実の手にかかって殺された平敦盛の遺児が母と共に出家し、史実とは異なるが、西山の善慧上人になったという、涙なしには読めないお噺であるが、歌舞伎にしたらアジャストするのではなかろうか。

平安時代の文章は、プルーストの仏蘭西語のように難解だが、室町時代の文章は、現代日本語の基点になっているので、注釈がなくても読みやすくて大助かりである。



       いたずらに富裕層を憎む夏 蝶人
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