
本書はユダの王、アモンの子、ヨシアの時代に、クシの子ゼファニアに臨んだ主の言葉を記している。
「私はユダとエルサレムのすべての住民の上に手を伸ばし、バアルの生き残りと、偶像に仕える神官の名を祭司たちと共にこの場所から建ち滅ぼす」と宣言されているが、この時代のバアル神たるや「万軍の主」」に勝るともおさおさ劣らぬほどの声望と威力を誇っていたことは、旧約聖書を読むほどに痛感させられる。
このバアルは、アシェラと同様、古代西アジアではシリア、パレスチナなどで広く帰依された格の高い神様で、我らがユダヤ教の神様に見切りを付けた多くのイスラエルやユダの民草も一時はこれらの神々を熱心に拝んでいたのである。
「ミカ書」のくだりでも書いたように、ユダヤ教やキリスト教徒はこれらの宗教を「邪教」として悪しざまに見下しているが、古代宗教史の立場で眺めれば、それほど両者に学問的な優劣が在るわけではない。
第二次の感染爆発知らずして逝きし歌人の僥倖思えり 蝶人