蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話 第413回
- 親戚の新築祝いでのスピーチ
構想15年、設計7年、施工1年。お義兄さんが文字通り心血を注いでこられた金谷邸が、堂々と竣工しましたね。*1
私もこの日が来るのを今か今かと待ち望んでおりました。長かったアパートの仮住まいからもやっと解放されましたね。こころからお祝い申し上げます。*2
さきほど建築家の磯藤先生もおっしゃっていましたが、この家はもともと江戸時代の大名の別荘でした。広大な敷地に粋を凝らした数奇屋普請の古い邸宅があり、小堀遠州の造園による枯れ山水がありました。お義兄さんと磯藤先生は、日本の文化財、近世建築のエッセンスともいうべきこの建物と庭園をほぼ完璧に修復保存しながら、21世紀のモダンリビングにも対応できるきわめて古くて新しいハイブリット住宅を創造されました。*3
古い家を壊してまっさらな家を造ることは誰にもできます。経費も安いし面倒がない。でもお義兄さんは古きを守って新しき家を造られた。そこが最高に素晴らしいと感じ入りました。
まさに家は、人なりですね。次はいよいよ私が建てる番かな。
- アドバイス
- 11軒の家が完成するまでには様々なロマンがある。このスピーチはその苦労を知る身内からの祝辞である。
- 2最近はレディーメイドの住宅に満足せず、個性的な建築家とのコラボレーションによって価値ある住宅を造ろうとする人が増えてきた。
- 3高度成長時代、バブル時代のわが国の住宅のあり方に対して、話者は鋭く疑問を投げかける。
アノアノと間投詞をば連発しグチャグチャ喋る男を憎む 蝶人