照る日曇る日第1710回
阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件などが勃発した時代の死者たちを追想し、追悼する。
本巻に登場するのは、1995年没の内村健一、金子信雄、城達也、山田康雄、テエレサ・テン、公文公。96年の横山やすし、司馬遼太郎、金丸信、難波康子、浅原正基、フランキー堺、渥美清。97年の藤沢周平、鄧小平、萬屋錦之助、大津高幸、勝新太郎、ダイアナ・スペンサー、金杉忠雄、伊丹十三、三船敏郎。98年の剣晃敏志、ポル・ポト、秋野豊、森安敏明、村山聖、村山実、横井英樹、木下恵介。99年の芦田伸介、スタンリー・キューブリック、江藤淳、寺尾五郎の面々である。
こういう風に死んだもん順に諸霊が列記されると、生前の有名無名、長所短所、善玉悪玉のいずれもが永遠の相の下に相対化され、それこそ著者が「あとがき」で引用いている孔子の言葉のように「逝くものは斯くの如きか、昼夜を舎(お)かず」という想いに襲われる。
なお本書で著者が、天才横山やすしの「面白さ」が分からないと書き、江藤淳の晩年の「漱石とその時代」をくさしているのは不可解である。
妻の持つスマホと息子のケータイのリンクが出来ないauの店員 蝶人