森永卓郎著「がん闘病日記」を読んで
照る日曇る日 第2146回
珍しい「原発不明ガン」で余命があるのかないのかも分からなくなってしまった「不運な経済アナリストの遺作本!?」である。
ガンのこれまでの経緯や現在の症状やあれやこれやの治療法が生々しく書いてあるので、そういう意味では誰もが参考になるが、本書の核心は、そういう病気や闘病記よりも、著者のユニークな生き方と人生論にあるのだろう。
ここにありのままに開陳されている、著者の旺盛な好奇心と直情径行の燃えるような情熱、自主独歩の果敢な挑戦ぶりは、天晴れ見事という他ないていのものであり、著者自らがいうように「瞬間ごとにいつ死んでも構わないような生き方をしてきた」ことの積み重ねなのだろう。
勢い余って「歌人になりたかった」という告白や、おしまいに「童話集」が登場したりするご愛敬もあるが、それらのすべてを通じて「お金よりずっと大切なこと」を学べる、いまどき珍しく貴重な書物である。
出てくるわ出てくるわわいの便やがわいにはてんで臭いがせんのや 蝶人