あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

金原ひとみ著「マザーズ」を読んで

2011-10-15 13:46:06 | Weblog


照る日曇る日第458回


3人の独身女性がそれぞれの子をもうけ、育児に翻弄されながらそれぞれの道を切り開いていくありさまが、おのがじしの体験と重ね合わせるようにして愛と共感と激励とともに語られる。

一人は作家、一人はモデル、もうひとりは普通の主婦であるが、いずれも同年代で同じ保育所に愛児を託していることから、この3つの生の軌跡ははじめはゆるやかに、そして最後は激しく切り結ばれるのである。

薬物に依存しながら自己の創造の限界に挑むユカ、幼児虐待の泥沼に転落してしまう涼子、そして美しく聡明な己の分身を悪夢の偶然から喪失してしまう五月……。

三者三様の仕事や異性や子供との対峙の仕方はすべて著者の心身に刻まれた毒と蜜であり、その激烈なリアルが、のほほんと生きてきた私のような男性を戦慄させ、うちのめす。



黄セキレイが私を見ている私も黄セキレイを見る 蝶人


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« EMIの「マルタ・アルゲリッチ... | トップ | 桐野夏生著「緑の毒」を読んで »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Weblog」カテゴリの最新記事