こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

ヒトの目

2009年11月17日 | 病理のこと、医療のこと、仕事のこと
携帯で撮った写真だと富士山はよく見えない。もちろん、私の携帯カメラの機能が低いせいもあるが、写真機は近くのものも遠くのものも同じ情報として捉える。ヒトはこのとき、富士山だけを抽出してその美しさを楽しむことができる。

このようなことを繰り返すのが病理診断だと、最近気がついた。
後輩の病理医が病理を始めたばかりの頃、「これって、すごい膨大な情報が目の前に広がっているんですよね。」と呆然としていたが、まさしくそうだ。
細胞の形態、核の形態、各成分の形態、そしてそれらが一緒になって構成する臓器の形態、いろいろな形態を正常と非正常とに分類して、再構成していく作業を、一気にこなし(検討)、文章化(診断)する。
ヒトの目の抽出力、というのはこのような病理診断をする際にもきわめて重要である。
なんて、こんな当たり前のことに気がつくまでに、何年かかったんだろう・・・
毎日、ぼんやりしていると、こういったことにすら気づかないですぎてしまう。