梅雨どき独特の曇り空。少し明るい空の向こうには今にも泣き出しそうな黒い雲が見える。クララではないが私もお日様のエネルギーが欲しい。かといってあの子と違い、炎天下に居続けることもできないのだから、人間なんて本当にへなちょこな存在だ。朝一番に目に飛び込んできたのは論文査読の催促メールの知らせ。連載原稿の締め切りも目前に迫ってきているのも思い出されて、血圧が少し上がる。ニュースと二刀流大谷のBS放送を交互に見ながら朝食を済ませる。東京の感染者数は再び増え始めた。海外ではインド株が猛威を振るいはじめた。大谷は一発を浴びたが、勝ち負けはつかなかった。
ジャーナリストの立花隆氏が亡くなった。田中角栄元総理の金脈問題を掘り起こし、政治家というものがいかに利権にまみれた存在であるかを白日のもとに晒してくれた功労者だ。政治というものがいかに儲かるものなのか、旨味があるものなのかを庶民に教えてくれた。だからこそ、自民党のような大きな組織がなんで一枚岩であり続けることができる。政権の旨味を知っているという点で同じ嗅覚を持った人間が集まっているからで、彼らは多少の主義主張の違いなど構わず清濁併せ呑んで一緒にいるからだろう。だから、夫婦別姓問題について党内に別々の意見が存在してもそれを先送りにすることができる。良くも悪くも大人の集まりだ。
一方で、野党はといえば、子供っぽい。自民党など公明党まで取り込んでいるのに、野党は互いに枝葉末節にこだわるものだからいつまでも大きな塊を作ることができない。自分の器を自覚していないお山の大将になりたい人ばかりのようにみえる。こんな人たちばかりでは、いつまでたっても政権交代などできまい。仮に連立政権を組んだとしても、あっという間に瓦解するだろう。
財務省の事務官が自殺した件は、奥さんの執念が実って関連資料が次々と白日のもとに晒されるようになってきた。幼稚園の用地買収に関わる官製隠蔽で、当事者の間で何がおきていたのかはわからないが、人一人が命を絶つということは重大なことだ。いつまでもそうした行政を続けてはいけない。情報はガラス張りでなくてはいけない。中央官庁の役人を希望する東大生が減っているというが、おそらく他の常連校でもトップクラスの学生は逃げ出しているのではないか。あまりエリート意識が強い人間が高級官僚になってもしょせんシャブシャブだからどうともいえないし、能力の低い人に勘違いで威張られても困る。役人の育成も難しい。
ところで、例のトンデモ臨床医、昨日、反省至極といった顔でやってきたので普通に対応してあげた。私としても、来る前に教科書を引っ張り出してしっかり(といっても付け焼き刃だが)勉強して、顕微鏡像をみせながら解説してあげた。案の定、病理のことなどあんまりわかっていなかったようで、病態の理解の助けになったみたいだ。ところどころで、かちんと来る返事をしていたが、グッとこらえて終わらせた。どうやって部屋を出て行くかを見ていたら、最後に振り返って頭を下げてくれたのでよしとしよう。今回のことで多少は謙虚な医者に育ってくれることを切に望む。
自らも襟を正す