1冊。それも読み始めたのは5月の終わりの27日で、それまで4か月間本を1冊も読んでいなかったのかと思うとゾッとする。これでは、教養を高めるどころか、ジリ貧の知性がますます枯渇するだけだ。
この本を読んで、私のかねてからの”嘆き”、すなわち、今の社会に”大人”が減っているということへの答えの一部がわかった。それは、私が望んでいる”大人”というのは、”教養のある人”に換言できるということだった。教養をひけらかす教養人はいないので、だれが教養のある人であるかはなかなかわからないが、すくなくともクイズ番組で物知りであることをひけらかすような人物ではない。
とはいえ、そういったクイズ王のような人たちの足元にもおよばない人生を歩んできた私のような凡人は、教養を高めようなどと大それたことを考えるより、高値で教養の書を売りつけた転売屋のように浅薄な人の欲望を見透かして商売をする人間の生き方を学んだ方がよほどいいかもしれない。そもそも、教養と商売は別物だから、強欲なシャイロックが実は教養あふれる人物だったとしても物語への影響はない。
朝日の書評欄に載っていたから勘違いしたのだが、この本は高校生、大学生に向けて書かれたもので、私のようなアラ還はおよびでなかったようだ。およびではなかったが、せっかく高いお金を出して買いもとめた良書、ちょっと遅いかもしれないが大学出たての娘に読んでもらおうと、机の上に置いておいたら、いつの間にか、妻が手にとっていた。
読んだ本の数:1
読んだページ数:416
ナイス数:8
朝日の書評欄で目にしてamazonで買おうとしたが品切れ。マーケットプレイスでは税込み1980円の本が、配送料・手数料1300円、計3280円で売られていた。注文した後、この業者が話題の本をいち早く買い占め、手数料で稼ぐ転売屋だと気がついた。マスク騒動の時、マスクそのものよりも、配送料・手数料が高い値段で売られているのを思い出した。転売屋から手に入れた”教養”はわかりやすい言葉で語られていて、私がいかに教養と無縁に生きてきたかを思い知らされた。後の祭りとはいえ、自分なりに教養を高めようと、せめてこれまで蓄えてきたガラクタのような知識をまずは見直してみることにした。(斜体時は加筆)
読了日:06月30日 著者:戸田山 和久
ひけらかさない
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