こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

「献立アプリ」第4話・・・和洋中で定食屋

2019年06月12日 | 料理・グルメ
第3話からの続き)
私から妻へというこれまでとは逆方向の連絡でも不思議なワゴンが出現するということが明らかになってからというもの、妻が私の希望するメニューを頻繁に聞いてくるようになった。なんといっても、私が食べたいメニューを伝えさえすれば、その食材を探さなくても目の前のワゴンにはその食材のセットがあるのだ。こんなに楽なことはない。
ただ、”ある”、といってもそれらはすべて買わなくてはいけないのだが、毎日献立を考えなくてはいけないという苦労を考えれば、ずいぶん楽なことだ。
それに、私のリクエストがマンネリ化したらその時には、妻が考えたらいい。
「最近、どう?
僕がお願いするようになって、献立を考えるのがずいぶん楽になったでしょ?」
今夜の献立は、私の"旬の焼き魚と冷奴というもの。
妻はこれに肉じゃがとアサリの味噌汁をつけてくれた。今はイサキが美味しいそうだ。
「そうね、でも健ちゃんのリクエストといったら、とんかつ、豚しゃぶ、生姜焼き、なにかの焼き魚にお刺身。そんなのが多くて、どこかの定食屋さんみたい。別に不思議なアプリに頼らなくても困らないようなものばかりよ。
まあ、作る方は楽でいいけど。」
たしかに、昨日は麻婆豆腐をリクエストした。おとといはペペロンチーノ。たしかに、バラエティーに乏しい。
「どれも美味しくて、すぐにでもお店を開けそうだよ。和洋中華どれも美味しいなんて、すごいよ。やってみたらいいんじゃない?
食材はすぐ手に入るし。
そういえば、この前、トリュフのクリームパスタをお願いしたじゃない。生ハムサラダと一緒にって。買い物を困らせようと思って頼んだわけではないけど。」
「そうね、あの時はちょっと驚いたけど。あと、少し高くついたわね。」
「でも、やっぱり目の前に食材のワゴンはあった。」
「そうなのよ、たまたまイタリンアンフェアとかで。ちょっと高めのものばかりだったから、少し高かった。それに、美味しそうな泡と白も買っちゃった。」
「ま、ありがちだけど。あの時は美味しかったね。まだ思い出す。
でも、逆に僕がそのメニューを頼まれたとしてもやっぱり出現したかな?イタリアンフェア。」
「そうじゃない?きっと。」
「・・・、ところで、それってカード使ってる?」
「もちろん、だってポイントがつくじゃない。あなたもでしょ?」
「もちろん、楽だし。ところで、わが家の食費って、最近どのぐらい?」
「そうね、もう子供達が出て行ったからずいぶん安くなっているわ。ただ、あのアプリで連絡を取ったのは単価が高くて、ちょっと控えなきゃって、思っているの。でも、」
「でも?やっぱり、欲しかったものが目の前にあったら、買っちゃうよね。カード使えるし。」
情報メジャーと称される企業が、検索や移動パターンからその人の嗜好、行動パターンを解析、把握し、それを利用することでさまざまな商品販売を行なっているということがテレビの情報番組で紹介されていた。
実際、スマホを開けたら、少し前に検索したことに関連したことが次々とバナー広告として表示される。というか、バナーどころかストレスなく目に飛び込んでくるようになってきている。つい買ってしまう、ということは今のところないが広告を開いて読むことがないとは言えない。
以前は、献立アプリを利用するのは控えがちだった妻も、お互いに使うようになってからというものだんだんと利用する頻度が高くなってきている。
単価が少し高いのはある意味”出前”のように食材の揃ったワゴンがすぐそこに出現するのだから仕方あるまい。同じものでも。コンビニで売っている方が、スーパーで売っているより高いのと同じだ。

あれ?

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第5話に続く


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