本を読むと、その作品を書いた人、そこで描かれた人、その本を作った人、様々な人がいることがわかる。
それぞれの人の人生観がその本一冊に反映される。本、一冊一冊に人生がこめられている。
逆に、本を書く人、作る人は人生をその本に込めている。
一冊の本を手に取った時、そう思ってみると感慨深いものがある。
2015年10月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1087ページ
ナイス数:145ナイス
学術書を書くの感想
ちょうど今、本(もちろん学術書)を書いているところでこの本を知った。もっと前から知っていたらと残念に思っていたら、今年の9月に出たばかり、とすればこのタイミングはむしろ幸運だったか。学術書の書き方ノウハウ満載で、3ヶ月早く読めていたら、ずいぶん原稿書きが楽だっただろう。本を出すことなど、よほどの幸運の持ち主か、金持ちにしかできないこと。私も今回の運を逃さず、遅まきながらこの本を参考にして、少しでも多くの人に読んでいただける有益な本を世に出したい。共著なのにそれを感じさせない書き方、そのコツも知りたかった。
読了日:10月28日 著者:鈴木哲也,高瀬桃子
人間的魅力の研究 (日経ビジネス人文庫)の感想
自己啓発本のようなつもりで手にとったのだが、読んでみたらまったく違った。昭和の大実業家、中国、西洋の歴史上の偉人たちを取り上げ、彼らに見る人間的魅力を語っている。名前だけしか知らないような半ば歴史的実業人の生き方、考え方に触れることができた。惜しむらくは、登場人物のほとんどが男性であるということ。これからの世の中、男性史観ではやっていくことはできない。性差が社会的役割とどう関係するかはわからないが、色々な意味で、“人間的魅力”はこの先、急速に変化していくに違いない。色々な意味で良書といえます。
読了日:10月27日 著者:伊藤肇
謹訳 源氏物語 八の感想
匂宮三帖はテレビドラマのつなぎのようだったが、宇治十帖に入ってからはあっという間に引き込まれた。宇治の八の宮の悲しい境涯とその遺言から逃れることのできない大君。その大君と薫のプラトニックラブ。家柄に縛られる匂宮。京都と宇治は20キロぐらい、道などあまり整備されていなかっただろうから、行き来はさぞ大変だったに違いない。それでも頑張れたのは20代の若者の元気さあってこその物語といえる。なかなか楽しそうなパーティーを時々やっている。別荘地での上流階級の遊びといったところのようで、興味深い。
読了日:10月17日 著者:林望
生身の暴力論 (講談社現代新書)の感想
北野武の映画『アウトレイジ』をたまたま観てその中の暴力シーンに驚いて、落ち込んでしまっていたところでこの本のタイトルが目に入った。「本当にこんなことできる人間なんているのだろうか」というのが映画をみたときの驚きだったが、この本を読んで納得できた。「一線を越えてしまえば、何でもできる」そのことが理解できた。そして、越えてしまった人はどこにでもいる。世間をなめて生きていてはいけない。デビュー論とダサさの関係はいい分析だと思った。それにしても、男ってある意味馬鹿な生き物だ。
読了日:10月4日 著者:久田将義
私だったらどんな思いを込めようか