12月上旬並みという氷雨付きの寒さ。秋らしい秋というのがどこかにいってしまったのかと心配になる。セーターの上に冬物のコートを着て出てきたのはよかったが、足先は折からの雨に濡れた靴のせいで冷たい。明日明後日は晴れてくれるという。秋晴れを期待しながら今日1日頑張ろう。
先日、手頃な冬物を探しに近くのアウトレットモールに行った時のこと、ある店に入ったら若い店員さんが、
その、ジャケットとポロシャツの着こなし、素敵ですね。
と、ほめてくれた。むしろ私自身はイマイチだと思っていたので、お世辞だとは思ったもものの、悪い気はしなかった。何より客と店員が話すきっかけにはなる。彼なりに考えての声かけなのだろう。
なかなかこれといったものが見つからず、まだうろうろしていたら、今度は、
アップルウォッチ、いいですね、
とも。これは、’お客さんのような白髪頭の初老の人間が、アップルウォッチを使っているなんて、若々しいですね’というようなつもりなのだろう。
ああ、これは息子がプレゼントしてくれたんだよ。
と、応じたら、
いいですねー。
とニコニコして応じてくれた。なんだか落語の子褒めのようだと思いながらも、その接客の甲斐あってか、妻とあわせ3枚ほどトレーナーのようなものを買った。
当たり前のことだが、商売というのは人と人とのコミュニケーションの先にある。そのことを実感させてくれた出来事だった。1時間もいたら客は全て入れ替わる、彼には、そんな”客へのお声がけ”のセリフの基本型がいくつかあって、それを1日のうちにその都度変化させながら何度か使うのだろう。他の店員が、よろしかったら羽織ってみてください、ぐらいのありきたりのことしか言っていなかったことを考えると、店のマニュアルというよりは、彼自身の工夫だったのだろう。
ただぼーっと立っているだけではなく、入ってきた客のいいところを探し、客褒めセリフに当てはめ、実際に褒める。結構面白い作業かも知れない。いずれにせよ、こうやって人の心に残るような対応をするというのは、商売とはいえ簡単にはできない。創意工夫を心がけている彼は将来いい商売人(ビジネスマン)になるだろう。
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