こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

人生あっという間、私の時間もあと少し。
よりよく生きるにはどうしたらいい?

人生に意味を持たせるのは難しい

2022年10月04日 | 日々思うこと、考えること
金木犀の香りにふと出くわすとちょっと驚く。
そしてそれがどこにあるかというのを探すとすぐには見当たらず、思っていたよりもずっと遠くにあるのをみつけるとその香りの強さに感動する。
病院の前の金木犀も盛りを過ぎて少し色褪せてきたもののもうしばらくは香りを楽しませてくれそうだ。
こうやって季節は移ろっていく。

子供の頃、季節は勝手にどんどん過ぎた。
いつの間にか夏の暑さがきて、気がつくと木枯らしが吹いて、雪が降っていた。
自分にとって重要なのは、寒くて手がかじかんでコマが上手くまわせなくなることぐらいのもので、新緑に心躍るとか、紅葉の中にはかなさを見出すなどということとは無縁だった。

ところが、今はどうだろう。
目の前を思いのほか早く過ぎていく季節、時間に驚き、なすすべもない。
毎日一体何をやっているのかわからない。
無意味な日常を繰り返していったい何になるというのか。

人生に意味を持たせることは難しい。
誰かの役に立てばそれでいいというわけではないし、かといって誰かの役に立たなければ具体的に目に見えたものにならない。

今年のノーベル生理学・医学賞が発表された。
人類(ホモ・サピエンス)の進化、起源に迫る研究に対してであったが、報道していたNHKのアナウンサーは「このことはどんなことに役に立つのでしょうか?」と解説していた記者に聞いていた。
聞かれた記者は予想外の質問に戸惑って、お茶を濁すような回答をしていた。
アナウンサーの質問は研究ということに対してナンセンスであるが、彼はこの研究に意味は見出さなかったのだろうし、そう考える人が世の中の大多数なのかもしれない。
ノーベル賞は”無意味な難しい研究”に意味を持たせたわけだが、研究に限らず人間の営みなんて一見無意味なものばかりのような気がする。

それに比べると、ほとんどすべての人を幸せな気持ちにしてくれる金木犀の香りの方がよほど意味があるのかも知れない。
残すのはもっと難しい

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (コロ健 to まかろんさん)
2022-10-05 09:17:08
コメントありがとうございます。
ノーベル物理学賞も、わたしには理解できませんが、すごい研究のようですね。
文明を前進させる研究はごく僅かですが、それも核兵器の開発に結びついてしまったりと、何をもって利益とするか?それともそれは正しいことなのか?わたしにはまだわかりません。
返信する
Unknown (まかろん)
2022-10-05 06:47:27
コロ健さん、おはようございます。😊

金木犀、素敵ですよね。

でも金木犀だけあっても、
人は幸せになれない、と思います。

つまり、人の営みがないと。


私も無駄な雑文を書いている身なので、
どの面で言うんだとブーメランされそうですが、

「なんの役に」とかお金になるかと見るのが邪念、のように見る意見をよく世間でみますが、


そういう人も、その身体維持に、お金がかかっているのですよ。


多くの観念論者はそのことを忘れて議論しているように思えてなりません。


基礎研究の大切さは分かります(本当には分かってないと思いますが😅)し、

まったくギチギチに功利主義、というのは国を衰退させる、とは思います。

芸術面でも、科学技術・研究面でも。


でも・・人のお金を採算度外視で、って一歩間違うと、国のザル投資と同じになるので・・。


何が言いたいかというと、バランスかな、と思います。

人間は肉の身体があって、1分1秒ごとに金を喰っていて金なしで存続できない生き物なのだ、ということ、
どこかでお金を発生させないといけないのだ、ということを
議論のうちに入れてほしいと思うんです。

(例えばボランティアも、無料の労働力ではなくて、やる人が労働経費や生活維持費を肩代わりしているのですよね。そういう風に身体の維持、人間の維持には金がいちいちかかる、ということを忘れると、人間軽視の議論になると思うのです)


コロ健さんの言うことが間違ってるとかいう話ではないんです。
バランスよく見たいよね、ということをお伝えしたいだけです。

素敵な秋の日をお過ごしください😊
返信する
Unknown (コロ健 to angeloprotettoretoruさn)
2022-10-04 13:44:53
ありがとうございます。
おそらく、人類全体が病に侵されているように思います。
ファスト映画、なんていうのもその一つの表れではないでしょうか。
人間が文化とか文明にアジャストするには時間がかかり、その時間こそがそれらを豊かなものとしてくれるのだと思います。
それを”中抜き”で行ってしまっては、それらは衰退していくのではないかと思います。
返信する
Unknown (angeloprotettoretoru)
2022-10-04 12:08:29
はじめまして、こんにちは。
なんでも「なんの役に立つのか」とか、どうかすると「それがお金になるのか」「利潤を産むのか」という視点で見る人は結構多いですね。資本主義の病でしょうか。
裏を返せば、すぐ役に立たないもの、お金を産まないものには価値がないという考え方につながります。
この資本主義病が、科学分野では基礎科学の研究を疎かにすることにつながり、また人文系の学問を要らないものとして切り捨てる考えになって来ました。
結果として応用科学までやせ細り、イノベーションは生まれなくなり、また倫理の抜けた、社会的に無意味なあるいは有害でさえある科学の発展を生んだりしてきたのです。なんとも愚かなことです。これは様々な分野での反知性主義にもつながっています。
さらに言えば、役に立たない、利益を生まない人間やその他の命、自然物まで、不要なものとして切り捨てる恐ろしい考え方にもつながります。やはりこれは、一種の病なのでしょう。
返信する

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