昨日、ロシアがウクライナに侵攻した。
単なる独裁者に堕したプーチン大統領は、大義すらないまま一つの独立国家を衆人環視の中で凌辱している。
先の大戦後、何とか維持してきた世界秩序を覆す暴挙で、さすがの中国もいまのところ静観の構え。
食料、エネルギー供給の点で苦しくなるだろうが、世界中の民主主義国家群は、徹底した経済制裁を科していかなくてはなるまい。
同じく昨日、12月に受験した分子病理医専門医試験の合格通知が送られてきた。
コロ健、アラ還の58歳。
ただでさえ情報過疎地の一人病理医(病院に病理医が一人しかいない状態)が、一昨年新設されたばかりの専門医資格を取るというのはドン・キホーテと思いつつも、”今が一番若い“というのと、”私が頑張る姿”を、病理診断科内、さらには院内に見てもらえば、科のプレゼンスも少しは上がるだろうと受験を決意した。
これで落ちたら元も子もないという背水の陣で臨むことにした。
分子病理専門医は、病理専門医資格を持った病理医でなくては取ることのできない資格で、一昨年日本病理学会が新設したものだ。
がんが遺伝子の病気であるということがわかってきて、実装される様になったゲノム医療に対処できる専門的な知識を有する病理医を育成するのが目的だ(分子病理専門医制度)。
私の勤務先の病院は、全国で161施設が指定されているがんゲノム医療連携病院(連携病院)の一つ。
症例数はそれほど多くはないが、年に何度かはゲノムプロファイリング検査の適応となる患者さんがいる。
現在、連携病院の要件に分子病理医の配置は求められていないが、今後そうなることは目に見えている。
当然のことながら、そうなったからと慌てて取ろうと思っても、おいそれととることのできるような資格ではない。
ゲノムプロファイリング検査では、病理医が選択した腫瘍組織内の遺伝子異常を検討するカンファレンスがある。
これはエキスパートパネルと呼ばれ、治療方針決定のための施設をまたいだカンファレンスで、病理医として私も参加していた。
ウェブ会議なので、他の人に私の顔を見られることはなかったが、いつも内容がよくわからず、内心恥ずかしい思いをしながら参加していた。
資格試験を受けることの大事な点は、その分野のことについて勉強したという経験だと思う。
これは子宮がんや乳がんの検診などで行われる細胞診での、細胞診指導医試験に受かった後に感じたことだった。
あの時は病理専門医資格を取ってからはもう勉強するのが嫌で逃げ回っていたのだが、しまいには上司や技師から‘使えないやつ‘という視線を感じるようになって受けた。
無事合格したときに感じたのは、
細胞診のこと、系統だってきちんと勉強して本当に良かった
ということ。
勉強していなかったら、私は一生細胞診のことをよくわからないまま、一介の病理専門医として医者人生を終えていただろうということだった。
そんなわけで、今回は年齢的な限界もあるので、2回目の今回初めて受けたのだった。
実は、去年からこんな資格試験が始まっているなんて知らなかった。
資格試験の場合、受かる、受からないというのは自分がその基準に達しているかどうかということ。
だから、資格を持っているか持っていないかの違いは大きい。
後輩の病理医、臨床検査技師に対しても指導、指示する上で、そのような資格がないままでは口先ばかりの病理医となってしまうので、なんとも格好が悪い。
そういう意味で、今後の病理診断科さらには当院のゲノム医療を牽引、運営していく上で、なんとか取りたい資格だった。
だが、かつて学位を取った頃の分子病理学的手法の知識だけでは到底足りない新しい技術について覚えなくてはならない上、寄る年波には勝てず、覚えていく端から忘れていくという事実に愕然としながら勉強したのだった。
背中を見せる
がんゲノム医療についてがんセンターのわかりやすいページがありますので、リンクを貼っておきますね がんゲノム医療
専門分野については、何も分りませんが、
お忙しい中での受験勉強がいかに大変かは想像できます。
今後は資格をもとに、ますますのご活躍を期待します。
それではまた。