そもそも税金講座⑧ 内需冷やす消費税 増税しても税収は下がる
食費、住宅関連費、衣服費、医療費、交通費など毎日の生活にはお金がかかります。これらの家計消費によって暮らしがなりたっています。
消費税を5%から10%に増税することによる負担増は13兆円にもなり、社会保障の連続改悪を合わせると総額で20兆円を超える負担増となります。
負担増は必要な家計消費に大打撃を与えて不況に輪をかけます。国内需要(内需)は、民間需要(家計消費、民間住宅、民間企業の設備投資など)と公的需要(公共投資など)からなります。この内需の6割は家計消費が占めています。
内需の減収は企業の所得を減らします。その結果、所得課税である所得税、法人税などの減収を招きます。
【消費税比較】
新川浩嗣編著『図解日本の税制』【平成21年版】財経詳報社、2009年8月を参照し、日本は2010年度一般会計予算について地方消費税も国税収入に含めて浦野が計算
【消費税の逆進性】
総務省「全国消費実態調査」(09年)の勤労者世帯のデータによる
※最下層で負担率が5%を超えてしまうのは、貯蓄を取り崩して年収以上に消費しているため(垣内亮『消費税が日本をダメにする』から)
耐えがたい苦痛
1997年に消費税が3%から5%に上がった時には医療費値上げなどを合わせて9兆円の負担増。国民生活を苦しめた結果、税収は増税前より14兆円も減収となりました(増税前の96年度と2010年度の比較)。消費税増税は、財政を立て直すどころか、財政を破綻させるのです。
消費税収を人口で割ると、1%で国民1人あたり2万円の負担となります。10%なら年間20万円(月に1万7千円)。
月1万7千円といっても、月収5万円の年金者と、何百万円もの月収を得ている企業経営者とでは負担感が違います。
低所得者は生活費に全収入を充てざるをえませんから、消費税負担は耐えがたい苦痛です。(棒グラフ)
日本の消費税率は5%(消費税4%+地方消費税1%)で低いといわれますが、正しくありません。日本の消費税5%は、標準税率が17.5%(現在は20%)であるイギリスより国税収入に占める割合は高いのです。イギリスは、食料品などをゼロ税率としています。(図)
日本の消費税は、すべての消費に消費税を均一に課していますが、フランスは食料品、医薬品、書籍が低税率、ドイツは食料品、近距離旅費、書籍、新聞が低税率となっています。
「大企業が肥え太り納税者が金を奪われる」と書いたプラカードを掲げる「ロンドン証券取引所を占拠せよ」行動に参加した人たち=2011年10月15日、ロンドンのセントポール大聖堂前
リストラ促進税
消費税額は(課税売り上げマイナス課税仕入れ)×消費税率で求めます。課税仕入れは商品仕入れだけではなく、消費税がかかる企業支出すべてを含みます。
一方、課税仕入れに入らない費用の大部分は、正規労働者に支払う給料です。計算式の(課税売り上げマイナス課税仕入れ)は、置き換えると(給料+利益)なのです。ですから、企業は、消費税がかかる基となる給料を減らす努力をします。しかし、経営を行うためには労働力は欠かせませんから、派遣事業など会社外の労働力(外注費)に頼ることになります。外注費は給料と違い、消費税から控除される課税仕入れとなり、消費税負担が少なくなるからです。
労働者が受ける消費税の影響は、消費者としての税負担増にとどまりません。消費税によって労働者は「合理化」、労働強化、賃下げなど、さまざまな影響を受けることになります。消費税が「リストラ促進税」といわれるゆえんです。
消費税増税によって、ワーキングプアとして問題化している非正規雇用者が、ますます増え、極貧生活を強いられる事態が深刻化することになります。
「しんぶん赤旗」日曜版 2012年6月3日付掲載
消費税は本当に逆進性の高い税金です。年収200万以下の世帯では消費税の負担比率が消費税率の5%よりも高くなっているのですね。
ヨーロッパの付加価値税(日本の消費税)の税率は日本より高いとよく言われますが、食料品や書籍、新聞などが低税率や非課税になっている事はマスコミは語りません。
政府の都合のいい事だけを、ことさら大げさに報道するってことは許されませんね。
本来なら、日本と世界の真実の姿を伝え、「権力のチェック役」という仕事を果たすべきですが、果たしてそうでしょうか。問われる問題です。
食費、住宅関連費、衣服費、医療費、交通費など毎日の生活にはお金がかかります。これらの家計消費によって暮らしがなりたっています。
消費税を5%から10%に増税することによる負担増は13兆円にもなり、社会保障の連続改悪を合わせると総額で20兆円を超える負担増となります。
負担増は必要な家計消費に大打撃を与えて不況に輪をかけます。国内需要(内需)は、民間需要(家計消費、民間住宅、民間企業の設備投資など)と公的需要(公共投資など)からなります。この内需の6割は家計消費が占めています。
内需の減収は企業の所得を減らします。その結果、所得課税である所得税、法人税などの減収を招きます。
【消費税比較】
新川浩嗣編著『図解日本の税制』【平成21年版】財経詳報社、2009年8月を参照し、日本は2010年度一般会計予算について地方消費税も国税収入に含めて浦野が計算
【消費税の逆進性】
総務省「全国消費実態調査」(09年)の勤労者世帯のデータによる
※最下層で負担率が5%を超えてしまうのは、貯蓄を取り崩して年収以上に消費しているため(垣内亮『消費税が日本をダメにする』から)
耐えがたい苦痛
1997年に消費税が3%から5%に上がった時には医療費値上げなどを合わせて9兆円の負担増。国民生活を苦しめた結果、税収は増税前より14兆円も減収となりました(増税前の96年度と2010年度の比較)。消費税増税は、財政を立て直すどころか、財政を破綻させるのです。
消費税収を人口で割ると、1%で国民1人あたり2万円の負担となります。10%なら年間20万円(月に1万7千円)。
月1万7千円といっても、月収5万円の年金者と、何百万円もの月収を得ている企業経営者とでは負担感が違います。
低所得者は生活費に全収入を充てざるをえませんから、消費税負担は耐えがたい苦痛です。(棒グラフ)
日本の消費税率は5%(消費税4%+地方消費税1%)で低いといわれますが、正しくありません。日本の消費税5%は、標準税率が17.5%(現在は20%)であるイギリスより国税収入に占める割合は高いのです。イギリスは、食料品などをゼロ税率としています。(図)
日本の消費税は、すべての消費に消費税を均一に課していますが、フランスは食料品、医薬品、書籍が低税率、ドイツは食料品、近距離旅費、書籍、新聞が低税率となっています。
「大企業が肥え太り納税者が金を奪われる」と書いたプラカードを掲げる「ロンドン証券取引所を占拠せよ」行動に参加した人たち=2011年10月15日、ロンドンのセントポール大聖堂前
リストラ促進税
消費税額は(課税売り上げマイナス課税仕入れ)×消費税率で求めます。課税仕入れは商品仕入れだけではなく、消費税がかかる企業支出すべてを含みます。
一方、課税仕入れに入らない費用の大部分は、正規労働者に支払う給料です。計算式の(課税売り上げマイナス課税仕入れ)は、置き換えると(給料+利益)なのです。ですから、企業は、消費税がかかる基となる給料を減らす努力をします。しかし、経営を行うためには労働力は欠かせませんから、派遣事業など会社外の労働力(外注費)に頼ることになります。外注費は給料と違い、消費税から控除される課税仕入れとなり、消費税負担が少なくなるからです。
労働者が受ける消費税の影響は、消費者としての税負担増にとどまりません。消費税によって労働者は「合理化」、労働強化、賃下げなど、さまざまな影響を受けることになります。消費税が「リストラ促進税」といわれるゆえんです。
消費税増税によって、ワーキングプアとして問題化している非正規雇用者が、ますます増え、極貧生活を強いられる事態が深刻化することになります。
「しんぶん赤旗」日曜版 2012年6月3日付掲載
消費税は本当に逆進性の高い税金です。年収200万以下の世帯では消費税の負担比率が消費税率の5%よりも高くなっているのですね。
ヨーロッパの付加価値税(日本の消費税)の税率は日本より高いとよく言われますが、食料品や書籍、新聞などが低税率や非課税になっている事はマスコミは語りません。
政府の都合のいい事だけを、ことさら大げさに報道するってことは許されませんね。
本来なら、日本と世界の真実の姿を伝え、「権力のチェック役」という仕事を果たすべきですが、果たしてそうでしょうか。問われる問題です。