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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

攻防 消費税③ 「サンキュー」共産党

2012-06-15 23:21:04 | 予算・税金・消費税・社会保障など
攻防 消費税③ 「サンキュー」共産党

今国会での税率引き上げが問題になっている消費税の源流をたどると、1979年に当時の大平正芳内閣が導入を目指した一般消費税につきあたります。

反対の大運動
78年12月に大平氏が自民党総裁・首相に就任。その直後に出された自民党税制調査会答申は一般消費税を80年度から導入することを明記しました。79年1月の施政方針演説で大平氏は一般消費税の導入など税負担の問題についても、国会の内外において論議が深まることを強く望んでおります」と述べました。
一般消費税は国内における商品とサービスの売買に対して5%をかけるもので、食料品が非課税だったほかはほとんど現行消費税と同じ仕組みです。
大平氏の「導入宣言」以前から、大型間接税の導入を警戒し、反対する運動はすでに始まっていました。77年1月、全国商工団体連合会や総評、日本生活協同組合連合会などの団体が「不公平な税制をただす会」を結成。78年8月には不公平な税制をただす会、全日本小売商団体連盟、日本専門店会、日本商店連盟、日本チェーンストア協会が集まって一般消費税反対のための中央連絡会」を結成し、反対運動のための全国センターを確立し、さまざまな反対運動を展開しました。
日本共産党は財政難のつけを一般消費税導入によって国民にしわ寄せすることは許されないと追及。そうした導入をしないでも国民本位の財政再建が可能であると明らかにしてたたかいました。



(左)『週刊新潮』79年10月18日号「共産党勝って『増税なし』サンキュー」
(右)「赤旗」に掲載された各党政策表を大書きして紹介しながら、号外を配布する青年後援会員ら=79年9月30日、東京都目黒区


動揺する財界
消費税導入の「誘惑」と国民各層の反対の間で、財界と自民党は動揺を繰り返しました。当初、経団連は“いずれ一般消費税の導入は避けられないが、現段階では時期尚早”との立場でしたが、79年8月の記者会見で当時の土光敏夫会長が「増税もやむを得ない」と発言しています。ところが、9月の定例理事会では「政府が提案している一般消費税には、多くの問題があり、このようなかたちでの新税の導入には賛成できない」との財政金融委員長報告を了承しています。
自民党も79年10月の総選挙の直前に“一般消費税は導入しない”と宣言するまで追い詰められました。この選挙で自民党は、当選後の追加公認5人を含めても過半数割れの250議席にとどまる惨敗を喫しました。一方、一般消費税導入阻止を掲げてたたかった日本共産党と革新共同は19議席から41議席へと大躍進。これが一般消費税の導入を阻止する力となり、選挙後『週刊新潮』は「共産党勝って『増税なし』サンキュー」と書きました。
総選挙後の臨時国会は「財政再建に関する決議」を全会一致で可決しました。そこには「財政再建は、一般消費税(仮称)によらず」と導入しないことを明記しました。この決議によって大平内閣が導入を画策した一般消費税」にとどめを刺すとともに、後に禍根を残すことになりました。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年6月15日付掲載



今回の消費税率増税に対しても、商工会議所やチェンストア協会などが増税反対の意思を表明しています。自民党などの支持基盤になっていたところです。
太平さんの時代とは装いを変えた政党状況と国民世論があります。
民主党や自民党も含めた超党派の国会議員で、消費税増税を今国会で成立させないとの集会が国会内で開かれています。
緊迫した週末を迎えています。

ちなみに『週刊新潮』が「サンキュー」と言ったのは共産党が39議席だったことに引っかけて言ったようです。実際は、愛知県などの革新共同を含めて共産党の会派は41議席でした。
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攻防 消費税② 奇妙な財務省年表

2012-06-15 23:01:06 | 予算・税金・消費税・社会保障など
攻防 消費税② 奇妙な財務省年表

昨年(2011年)12月7日に行われた2011年度政府税制調査会第24回会合に財務省は「消費税について」と題した参考資料を提出しました。この資料の中には「消費税の歩み」という年表が添付されています。この年表の起点は1978年です。

国民の猛反発
「昭53・12・26与党一般消費税(仮称)55年度実施を決定」
当時首相だった自民党の大平正芳総裁が、導入を画策し世論の反対から断念した一般消費税のことです。この年表にはさらに、中曽根康弘首相が1987年に導入しようとした売上税法案も掲載しています。現行の消費税は88年12月に法律が成立し、89年4月から実施されたものです。2014年からの消費税増税を議論している政府税制調査会になぜこのような資料を提出したのでしょうか。
財務省は次のように説明します。
「一般消費税(仮称)及び売上税は」「消費一般に広く薄く負担を求める新しい間接税の導入が必要との判断から導入を検討されたもの」「現行の消費税はこれらの税(世論の反対で実現できなかった一般消費税や売上税)に対する指摘・議論を踏まえ、必要な見直しを行ったうえで導入されたものです」
つまり、政府にとっては国民の反発で導入が阻止された一般消費税も売上税も、現行の消費税につながる一連のものとして認識されているのです。
ではこれらの税はどのようにして日本社会に持ち込まれたのでしょうか。



一般消費税の導入に反対する千代田区民大会=1979年9月19日、東京・千代田公会堂

委員に財界人
大平内閣(当時)が導入を狙った一般消費税につながる動き以前にも、消費税と同様のあらゆる物品に課税される間接税は存在しました。戦後間もない1948年に実施された取引高税と、戦後税体系の骨格をつくったシャウプ勧告に盛り込まれた付加価値税です。しかし、いずれも国民の猛反発を受けました。取引高税は実施後、わずか1年3カ月でシャウプ勧告により廃止。付加価値税は50年度のシャウプ税制改革の一部として可決・成立したものの、実施については国会での決議によって延期を繰り返した末に54年の通常国会で廃止となりました。
こうした経緯にもかかわらず、政府税制調査会では1960年代から何度も付加価値税が議論にのぼっていました。
その目的を大蔵省財政史室編『昭和財政史6租税』は「企業の減税財源の確保」と指摘しています。
大平内閣が狙ったヨーロッパ型の付加価値税の導入に向けた動きは68年の政府税制調査会長期答申にさかのぼります。同答申は「税体系の問題として、さらに一般売上税又は付加価値税の創設の可否について検討する必要がある」と指摘しました。
その後、71年の「長期税制のあり方についての答申」ではさらに踏み込んで「(ヨーロッパ型の)付加価値税方式が最もすぐれた制度であると考えられる」と述べています。
71年の答申の起草小委員会(15人)には、通産省を経て日本鋼管(現・JFEエンジニアリング)会長となった松尾金蔵氏(当時は副社長)、内務省を経て日本テレビの社長となった小林與三次(よそじ)氏、大蔵省を経て太陽銀行(現・三井住友銀行)頭取となった河野一之氏ら財界人が入っていました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年6月14日付掲載



戦後、名を変え、品を変え、装いを変えて導入されようとした付加価値税(現在の消費税)。それは戦後の税制の根本原理とされた、生計費非課税、累進課税というシャウプ勧告(シャウプ税制)に真っ向からはむかうものでした。
消費税増税論者はよく「広く薄く」と言いますが、大企業は消費税を一円も負担していませんし、高額所得者ほど消費税の負担率は低くなっています。
「広い」のは確かにそうですが、「薄さ」は低所得者ほど「厚く」なっているのが実態です。
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攻防 消費税① 異例の内閣改造

2012-06-15 22:46:44 | 予算・税金・消費税・社会保障など
攻防 消費税① 異例の内閣改造

野田佳彦内閣は、消費税増税法案を21日の今国会会期末までに採決しようと暴走しています。4日には、5閣僚を交代させる内閣改造を実施。国会会期末の重要法案審議中に、内閣改造を断行するのは異例です。現在、民主、自民、公明の3党で修正協議に入っています。(清水渡)

内閣改造の内容は、参院で問責決議を受けた2閣僚を退任させたのをはじめ、自民党から追及されてきた農水相と法相を更迭させるというもの。同日、会見した野田首相は、「『社会保障と税の一体改革』を含む諸懸案を前進させる環境整備」だと語り、消費税増税に向けて、自民党との「修正」協議を円滑に進めることが内閣改造の目的だと表明しました。



社会保障と税の一体改革に関する特別委員会で、答弁のため挙手する野田佳彦首相(右)と岡田克也副総理=11日午後、国会内

壁を乗り越え
4月28日に行われた連合メーデーで、野田首相は社会保障・税一体改革について、「与野党の壁を乗り越え、何としても実現させる」と労働組合員を前に強調しました。与野党の壁を乗り越えるとは、民主党と自民・公明両党との談合で消費税増税を実現するということです。
さらに、野田首相は6月5日の経団連定時総会で、消費税増税法案を「21日までの間で、衆議院で採決できるように環境整備をしなければならない」と決意表明しました。
民主党と自民党との「談合路線」は、財界が求めていたものでした。
昨年9月に野田内閣が発足した際、経団連の米倉弘昌会長は「野党の協力を得て」「重要政策課題のスピーディーな実行にまい進していただきたい」と表明。今回の内閣改造に際しても、「野党の協力を得ながら、不退転の決意をもって政策を果断に実行に移していくことを強く期待する」とコメントしています。
11日の記者会見では、与野党協議への期待について問われ、一気呵成(かせい)に与野党とも、本当に国益を考えて、一体改革の議論を超党派的に進めていただきたい」
と述べました。

バカはいない
名指しで談合を持ちかけられている自民党。表向きは「採決日程を明確にしなければ修正協議には乗れない」などと、さまざまな条件をつけて「対抗姿勢」を見せています。その本心は、談合で消費税増税を実現させることでかまわないというものです。
もともと、今回の消費税増税法案の発端は、自民・公明政権時代に決められた09年度税制「改正」法付則104条にあるからです。そこには「(消費税増税に向け)11年度までに必要な法制上の措置を講ずる」と明記されています。実際、消費税増税法案に向けた中央公聴会の12、13日開催については、民主党が提案し、自民党と公明党などが了承したことにも、「談合」への姿勢がにじんでいます。
森喜朗元首椙は、『週刊朝日』6月15日号でインタビューに答えて次のように述べています。
「幸いにも民主党から増税を言いだしてくれた。これを利用しないようなバカはいませんよ」
全国紙・ブロック紙の世論調査では、5~6割が消費税増税法案に反対しています。6日付「東京」では、「反対」「どちらかといえば反対」合わせて56.2%、同日の「朝日」
でも「反対」が56%を占めています。国民世論を無視した「談合で増税」は到底許されません。
消費税をめぐってはその導入の段階から民主主義無視がまかり通ってきました。その歴史を追います。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年6月13日付



4閣僚の更迭が功を奏したのか、民自公の談合がまとまったようすです・・・。
談合は国民世論の関与しないところでも可能ですが、実際の国会での論戦や採決となると国民の目があります。
「選挙による審判があるぞ」と世論で追い詰めましょう。
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