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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

攻防 消費税⑦ 今も残る「9懸念」

2012-06-23 21:38:35 | 予算・税金・消費税・社会保障など
攻防 消費税⑦ 今も残る「9懸念」

「戦後政治の総決算」をかかげ、税制抜本改革と称して売上税導入に執念を燃やした中曽根康弘首相は、結局、導入を果たせないまま1987年11月に退陣します。その中曽根氏から後継指名を受けて首相就任したのが、消費税を導入した竹下登氏です。
国民生活産業・消費者団体連合会の清水信次会長は、首相就任直前の竹下登氏に呼び出されました。「実は、次期首相の指名を中曽根さんから受けた。ついては売上税の後始末をつけなきゃならないから、相談に乗ってくれんだろうか」と持ちかけられたといいます(『日経ビジネス』2008年12月22日・29日号)。退陣する中曽根首相から、まさに大型間接税導入という遺言を受けて発足したのが竹下内閣だったのです。

新たな作戦で
竹下首相は就任-週間後には、政府税制調査会に対して「所得・消費・資産の間で均衡がとれた安定的な税体系」の構築を目指す「望ましい税制のあり方と実現に向けての具体的な方策」を審議するよう諮問しています。財界も新型間接税導入を後押ししました。『経済団体連合会五十年史』には、「山中貞則税制調査会長と法人税減税、新型間接税のあり方などをめぐり懇談したのをはじめ、渡辺美智雄政務調査会長、税調幹部などへの働きかけを続けた」とあります。
竹下首相は、中曽根内閣の失敗から学び、304議席を背景に導入のための作戦を周到に用意しました。例えば、選挙のない1988年中に成立させることや、公明・民社などの野党を抱き込むことなどです。その一つに、質疑応答で「内閣が変わったので公約違反ではない」「行政改革に努力してきたので国会決議に抵触しない」など、野党の追及に反論しながら布石を打つ作戦を行いました。
竹下首相は国会答弁で、消費税について①逆進性②不公平感③低所得者への過重負担④税率引上げの容易さ⑤事務負担の増加⑥便乗値上げ―の六つの懸念があると述べ、それらの解消に努めると表明。その後、⑦商品価格に転嫁できるか⑧消費者が負担した税が確実に納付される保証があるのか⑨地方税の減収により地方財政運営に支障が出るのではないか―の3点を加えて、9懸念すべてを解消するとしました。しかし、これらの懸念は解消されないまま、現在にいたっています



消費税法案採決で“牛歩戦術”をとる日本共産党の各議員=1988年12月23日、参議院本会議

密室で援助し
竹下首相の作戦も国民をごまかすことはできませんでした。当時発覚したリクルート事件と合わせて、公約違反の消費税に国民の怒りは沸騰しました。しかし、広範な統一行動には時間がかかりました。
国会内では、社会、公明、民社の野党が自民党との密室協議で臨時国会の日程や税制特別委員会の設置に合意するなど、運営面や質疑で自民党を助けました。こうして88年12月24日に消費税法が成立したのです。
当時の新聞は次のように論説しました。
「国会の舞台裏での手練手管と体系のない『バラマキ福祉』で一部野党の顔を立てながら、関連法案の成立だけを目指した自民党と、消費税の仕組みについてロクな質問もしなかった野党、特に公明、民社両党の共同制作である」(「日経」88年12月25日付)
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年6月22日付掲載



1988年の牛歩戦術はマスコミも取り上げ、話題になりましたね。今は亡き宮本顕治さんも、高齢ながら頑張ったことを記憶しています。
今は参議院はボタン投票なのでこんな事はできませんが・・・
9つの懸念。逆進性や不公平感、低所得者への過重負担はもちろん、中小業者が商品価格に転嫁できない問題などは今でも解決されていません。
消費税導入の際にはあれだけ苦労したものを、3%から5%への値上げの際には、いとも簡単にやってのけたことは、4番目の税率引き上げの容易さがあります。
だからと言って、今回も許すわけにはいきません。
コメント
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