きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

検証 超円高① 金融緩和競争で円買い

2012-12-20 21:51:28 | 経済・産業・中小企業対策など
検証 超円高① 金融緩和競争で円買い

円相場は一時期より円安傾向ですが、2008年のリーマン・ショック以来、「超円高」と呼ばれる事態が日本をさいなんでいます。

11年10月にはドルに対して最高値を連日更新。31日には海外市場で75円32銭をつけました。11年度版「ものづくり白書」によると、約2000社の企業のうち、為替レートで減益したと答えた企業は47・2%でした。特に中小企業には深刻な打撃です。



東京港で貨物船に積み込まれるコンテナ(ロイター)

■余剰な資金
08年以降、円高は常に、製造企業の想定を超える水準で推移しています。購買力平価で算出した円ドルレートと実際の円相場の差は開く一方です。購買力平価は、各国通貨でどれだけの物を買えるかを基準にして通貨の実力を評価します。経済協力開発機構(OECD)によると、11年は1ドル=107円。同年の円相場は約80円。実力に比べて3割以上も割高です。
「超円高」は、欧米諸国による金融緩和競争によって引き起こされています。
欧州中央銀行(ECB)は今年7月5日、政策金利を0・25%引き下げ、9月6日には南欧などの国債を無制限に購入する政策を決めました。米国は連邦準備制度理事会(FRB)が9月13日、2年ぶりに量的金融緩和第3弾を決定しました。相次ぐ金融緩和で生じた余剰マネーが日本に流れ込み、異常な円高を引き起こしています。
背景には、世界的な経済危機を打開できない行き詰まりがあります。
欧州は、政府債務危機で先行きが不透明です。米国では雇用情勢が改善しません。欧米とも財政がひっ迫しているため、財政支出で景気刺激策をとることができず、金融緩和に依存しています。内需が冷え込んでいるので緩和マネーは生産に回らず、投機資金となって新興国市場に流れ込んでいます。
投機マネーは、先進国の中で相対的に安全と見られる日本の金融資産を買って一時避難。これが円高を招いています。




■犠牲の循環
円高危機を繰り返す大もとにあるのが、輸出に依存して成長してきた日本経済のゆがんだ体質です。
ごく少数の輸出大企業が、労働者と中小企業の犠牲のうえに、コスト削減を進め、「国際競争力」を強めて、外国市場への輸出を増やしてきました。
日本の貿易は、ドル建て(ドルによる決済)が高い割合を占めるので、輸出が増えれば、ドルの受け取りが増えます。ドルは日本国内で使えないので、輸出企業は手持ちのドルを売って円を買います。外国為替市場ではドル売り、円買いの圧力が高まるので円高が進みます。
円高が進めば、ドル建ての輸出価格が上がり、輸出大企業に売り上げ減の圧力が働くことになります。そこで輸出大企業は円高のたびに、労働者と中小企業を犠牲にし、さらにコストを下げることで「国際競争力」をつけ、円高のもとでも輸出を増やしてきました。そのことがいっそうの円高を招き、労働者や中小企業の犠牲がさらに増える悪循環に陥ってきました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年12月18日付掲載



輸出大企業が儲ければ儲けるほどに円高が進み、その犠牲を下請け企業や労働者に転嫁。
ますます大企業は儲かる。
輸出で儲けるってことの発想の転換が必要ですね。
コメント
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