検証TPP交渉② 米の多国籍企業のため
9月30日から1日まで東京で自動車貿易及び非関税措置に関する米国との並行交渉の第2回会合が開催されました。
この並行交渉は、日本がTPP交渉参加に関する日米協議の結果、TPP交渉と並行して行うことが決定されたものです。非関税措置の対象は、①保険②透明性・貿易円滑化③投資④知的財産権⑤規格・基準⑥政府調達⑦競争政策⑧急送便⑨衛生植物検疫措置の9分野です。
これらの分野は、米通商代表部(USTR)が毎年発表する「外国貿易障壁報告書」で、日本に「市場開放」を突きつけてきたものばかりです。2013年版の「報告書」では、食品の安全基準について「成分と食品添加物の名称・割合・製造工程の表記を求めていることは、負担が大きい」とし緩和を求めています。「政府調達」については主要高速道路、主要公共建築物、鉄道と駅舎の調達、都市開発、再開発事業などの事業を挙げ、米企業の参入のための対策を求めています。
日本モンサント社前で、TPPと遺伝子組み換え作物の押し付けに抗議する人たち=9月17日、東京都中央区
一方的な交渉
日本で最大の外資系経済団体である在日米国商工会議所は、「TPP交渉と2国間交渉は、これまで解決することが困難だった長年の2国間の課題に取り組む基盤となる」と強調しています。
並行交渉の第1回会合は8月7日から9日までおこなわれました。しかし会合の詳細は明らかにされていません。民間シンクタンク(政策研究機関)の大和総研は、ホームページのコラムで並行交渉は、「協議事項はすべて米国側関心事項に沿ったものであり、日本側から米国に対して、是正を求めるような事項が含まれていない、明らかに一方的・片務的な交渉である」としているほどです。
TPP交渉参加にあたって日本政府は、農産物を含んだすべてを交渉のテーブルに乗せることを約束させられています。米国の農業団体が4月15日におこなった記者会見の席上、「(日本のTPP参加を認めた日米合意は)めまいがするほどうれしい」(「朝日」4月16日付)との表現も飛び出しました。
米政府が日本のTPP交渉参加をめぐっておこなった意見公募(5~6月)には、食品表示や添加物の審査手続きの緩和、残留農薬基準の早期見直しなど米多国籍企業の露骨な要求が並んでいます。
関税撤廃要求
日本に店舗を有する世界最大の米小売業者ウォルマートは、日本人顧客の主な食品となっている赤肉、かんきつ類、ワイン、乳製品とさまざまな加工食品には、高い関税がかかっていると非難し、関税の撤廃を要求しています。
米穀物大手のカーギルは、米国の輸出の障害をつくり出している高関税、関税割り当て、行政価格、規制などがあると指摘。日本に対し「非関税障壁とともに、交渉の過程で、これらの障害を取り除く取り組みをしなければならない」と強調しています。さらに、貿易にかかわる規制の共通化が必要だと強調。とくにバイオテクノロジー(遺伝子組み換え)農産物や表示規制の共通化を求め、規制緩和を要求しました。
KFC(ケンタッキーフライドチキン)やピザハットを経営するヤム・レストラン・インタナショナルは、日本店で使用する米国産品への貿易障壁がなくなると、日本で店舗を大いに拡大できるとしています。特に、チーズ、冷凍鶏肉、冷凍ポテトフライ、調理済みスイートコーンに対する関税が高いとして、その撤廃を求めています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年10月3日付掲載
食品の添加物表示や遺伝子組み換え作物、残留農薬などの規制の緩和をアメリカの多国籍企業は求めています。
それと合わせて関税の撤廃もあらゆる品目で要求しています。
日本の食の安全と食の安定供給を考えると、TPP参加はあり得ません。
関連する映画が上映されています。「世界が食べられなくなる日」。
9月30日から1日まで東京で自動車貿易及び非関税措置に関する米国との並行交渉の第2回会合が開催されました。
この並行交渉は、日本がTPP交渉参加に関する日米協議の結果、TPP交渉と並行して行うことが決定されたものです。非関税措置の対象は、①保険②透明性・貿易円滑化③投資④知的財産権⑤規格・基準⑥政府調達⑦競争政策⑧急送便⑨衛生植物検疫措置の9分野です。
これらの分野は、米通商代表部(USTR)が毎年発表する「外国貿易障壁報告書」で、日本に「市場開放」を突きつけてきたものばかりです。2013年版の「報告書」では、食品の安全基準について「成分と食品添加物の名称・割合・製造工程の表記を求めていることは、負担が大きい」とし緩和を求めています。「政府調達」については主要高速道路、主要公共建築物、鉄道と駅舎の調達、都市開発、再開発事業などの事業を挙げ、米企業の参入のための対策を求めています。
日本モンサント社前で、TPPと遺伝子組み換え作物の押し付けに抗議する人たち=9月17日、東京都中央区
一方的な交渉
日本で最大の外資系経済団体である在日米国商工会議所は、「TPP交渉と2国間交渉は、これまで解決することが困難だった長年の2国間の課題に取り組む基盤となる」と強調しています。
並行交渉の第1回会合は8月7日から9日までおこなわれました。しかし会合の詳細は明らかにされていません。民間シンクタンク(政策研究機関)の大和総研は、ホームページのコラムで並行交渉は、「協議事項はすべて米国側関心事項に沿ったものであり、日本側から米国に対して、是正を求めるような事項が含まれていない、明らかに一方的・片務的な交渉である」としているほどです。
TPP交渉参加にあたって日本政府は、農産物を含んだすべてを交渉のテーブルに乗せることを約束させられています。米国の農業団体が4月15日におこなった記者会見の席上、「(日本のTPP参加を認めた日米合意は)めまいがするほどうれしい」(「朝日」4月16日付)との表現も飛び出しました。
米政府が日本のTPP交渉参加をめぐっておこなった意見公募(5~6月)には、食品表示や添加物の審査手続きの緩和、残留農薬基準の早期見直しなど米多国籍企業の露骨な要求が並んでいます。
関税撤廃要求
日本に店舗を有する世界最大の米小売業者ウォルマートは、日本人顧客の主な食品となっている赤肉、かんきつ類、ワイン、乳製品とさまざまな加工食品には、高い関税がかかっていると非難し、関税の撤廃を要求しています。
米穀物大手のカーギルは、米国の輸出の障害をつくり出している高関税、関税割り当て、行政価格、規制などがあると指摘。日本に対し「非関税障壁とともに、交渉の過程で、これらの障害を取り除く取り組みをしなければならない」と強調しています。さらに、貿易にかかわる規制の共通化が必要だと強調。とくにバイオテクノロジー(遺伝子組み換え)農産物や表示規制の共通化を求め、規制緩和を要求しました。
KFC(ケンタッキーフライドチキン)やピザハットを経営するヤム・レストラン・インタナショナルは、日本店で使用する米国産品への貿易障壁がなくなると、日本で店舗を大いに拡大できるとしています。特に、チーズ、冷凍鶏肉、冷凍ポテトフライ、調理済みスイートコーンに対する関税が高いとして、その撤廃を求めています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年10月3日付掲載
食品の添加物表示や遺伝子組み換え作物、残留農薬などの規制の緩和をアメリカの多国籍企業は求めています。
それと合わせて関税の撤廃もあらゆる品目で要求しています。
日本の食の安全と食の安定供給を考えると、TPP参加はあり得ません。
関連する映画が上映されています。「世界が食べられなくなる日」。