問われる巨大開発 神戸市長選～１３日告示

問われる巨大開発　神戸市長選～１３日告示
繰り返す失敗　今度は三宮で計画
「市民優先市政を」ぬきな候補訴え

神戸市長選は１３日告示（２７日投票）です。大型開発の失敗をくり返してきた同市。今度は中心地・三宮（中央区）で巨大開発を狙っています。開発優先から市民優先に転換するため、「市民にあたたかい神戸をつくる会」は、市民運動の先頭に立ってきた、ぬきなゆうな（貫名ユウナ）候補（６１）＝無、日本共産党推薦、新社会党支持＝を擁立し、全力を挙げています。（兵庫県・喜田光洋）


市民と対話する、ぬきな候補

１９９５年の阪神・淡路大震災以来、神戸市は被災者救済よりも大型開発を優先し、神戸空港建設、新長田駅南「復興」再開発、複合産業団地、「医療産業都市」づくりなどを推進。しかし次つぎと破綻・失敗します。
市民の猛反対を無視してつくられた神戸空港（０６年開港）は、乗客数が低迷し、赤字続き。土地が売れないため借金約２千億円を返せず、借り換えや立て替え払いの連続です。事業費約２７００億円の新長田駅南の巨大再開発は、軒並みシャッター通りで、見直しを余儀なくされました。




三宮駅から南側（海側）の街並み

大盤振る舞い
ところが市は懲りずに、「都市間競争に勝つ」として三宮駅周辺から沿岸部までの９７ヘクタールを再整備・開発しようとしています。これによって高層ビルの林立が予想されます。
市は０２年に三宮駅南地域４７ヘクタールを、規制緩和や民間に財政支援できる「都市再生緊急整備地域」に指定し、店舗やオフィスなどの高層複合ビルが建設されましたが、今年５月に同整備地域を９７ヘクタールに拡大。ＪＲと阪急がそれぞれ予定する、高層複合ビルへの駅ビル建て替え計画に連動させたものです。総事業費は「数千億円」（元副市長）といいます。
市は、建設中のビルに移転予定の「Ｐ＆Ｇ」など同地域に進出する大企業には、１社に５年間で最大４億５千万円の賃料補助など他市に例のない大盤振る舞いをします。
若い女性向けのカジュアル衣料品店を三宮で２店、福岡市、北九州市でも経営する奥村毅さん（５１）＝北区＝は「大阪駅前や姫路駅前とかでも再開発しているし、市場は飽和状態だと思う。三宮で全国チェーンの店が増えると競争は厳しい。そもそも、街は十分きれいなのに再開発する必要があるんでしょうか。地元のためとは思えない」と話します。
一方、市民の福祉・サービスは大幅削減し、この１２年間で、敬老パス有料化、重度障害者福祉年金、生活保護の夏冬見舞金・敬老祝い金の廃止、保育料値上げなど５００億もの負担増を市民に押しつけてきました。

この１２年間（矢田立郎現市長の在任３期）で負担増となった主な施策

施策	負担増額（億円）
保育所保育料値上げ	51
学童保育有料化	20
小学校給食費値上げ（3,600円→3,900円）	21
市立大学・高専・高校・幼稚園授業（保育）料値上げ	12
生活保護の夏冬見舞金廃止	38
生活保護の上下水道料減免制度廃止	32
重度障害者福祉年金廃止	65
敬老祝い金廃止	12
敬老パス有料化・値上げ	105
墓苑使用料値上げ	15
大型ゴミ有料化	7
市営住宅家賃減免改悪	44
固定資産税の減額措置廃止	37
市税減免制度（都市計画税）改悪	7
市税減免制度（個人市民税）改悪	6
その他、施設使用料値上げ、手数料値上げ、小児ぜんそく医療費助成廃止など

あったかプラン
ぬきな候補は「三宮開発よりも市民の暮らしにお金を使うべきです。三宮一極集中でなく、９行政区それぞれの良さを生かした元気な神戸をつくる」と強調。①自校方式の中学給食、中３まで医療費無料を実施し、子育てママ・パパ応援都市宣言②中小企業振興基本条例制定、「ブラック企業お断り宣言」、住宅・店舗リフォーム助成③福祉・防災の充実―など「すぐにとりくむ『あったかプラン』」を発表しました。
市長選は、現市長の後継者である元総務省官僚の元副市長＝自民・公明・民主推薦＝、ブラック企業・ワタミの渡辺美樹元会長の応援を受ける会社社長＝みんな支援＝らが立候補予定。いずれも三宮開発の推進で足並みをそろえ、ぬきな候補との違いは歴然です。
ぬきな候補は「震災以来の開発優先、市民に冷たい市政に終止符を打ち、市政を市民の手に取り戻しましょう」と訴えています

「しんぶん赤旗」日刊紙　2013年10月8日付掲載

虹色の様に七色ではないですが、九つの色にそれぞれの行政区（東灘区、灘区、中央区、北区、兵庫区、長田区、須磨区、垂水区、西区）が輝く様に発展していってほしいですね。
特に、中学校卒業までの通院・入院とも医療費の無料化、ブラック企業お断り宣言、南海トラフ地震などへの防災の充実は切実ですね。