間接差別って何? 均等法で禁止 運動反映し範囲広がる
表向き、性別を理由にしていないけれど、事実上、女性を差別するのは、「間接差別」とよばれています。間接差別の禁止を盛りこんでいる男女雇用機会均等法(均等法)の見直しの動きをみてみました。
男女雇用機会均等法は、第5条と第6条で、募集・採用、配置・昇進、定年などの「性別を理由とした差別」を禁止しています。つづく第7条が「間接差別」にかかわる規定です。形の上では、性別を理由にしていないものの「実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置」を間接差別として禁じています。

三要件に限定
しかし、具体的には厚生労働省令で定めるとされ、省令で次の三つの要件に限定されています。①募集・採用に当たり、一定の身長、体重または体力を要件とすること②コース別雇用管理制度における総合職の募集・採用に当たり、転居を伴う転勤を要件とすること③昇進に当たり転勤経験を要件とすること。
間接差別の禁止は、2006年成立(07年施行)の改正均等法で初めて盛り込まれ、5年後をめどに見直しをすることになっていました。
昨年10月から、見直しを検討してきた厚生労働省の労働政策審議会雇用均等分科会は、9月27日、報告書をとりまとめました。
報告書は、禁止すべき間接差別について、範囲を広げることを提案しています。先の三つの要件を見直し、「昇進、職種の変更に当たり転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること」も、間接差別にあたるとしました。
昇格時転勤も
「昇格のさいに転勤を要件とすることは、間接差別にあたる、と私たちの職場の実態を訴えてきましたが、それが受け入れられた」と話すのは、全国社会保険診療報酬支払基金労働組合(全基労、全労連加盟)の平岡信彦委員長です。
平岡さんの職場は、診療報酬明細書(レセプト)の審査支払いを行う社会保険診療報酬支払基金。全国47都道府県に支部があります。5千人近い職員に占める女性比率は5割を超えているにもかかわらず、管理職のなかの女性比率は1割程度。「昇格に必要な在職年数は満たしているのに、転勤できないことを理由に昇格させないからです」と平岡さん。厚生労働省や、組合員がいる各都府県労働局に要請を重ねてきた結果、均等法が禁じる間接差別の範囲の拡大につながりました。
「パートや有期雇用が女性に多い」
国際基準では間接差別

男女雇用機会均等対策について報告をまとめた労働政策審議会雇用均等分科会=9月27日、厚生労働省内
日本のように、間接差別に該当する事例を限定するような法律は「諸外国にはありません」(昨年11月の労働政策審議会雇用均等分科会での労働者委員の発言)
「(06年の改正均等法に)狭く定義した間接差別を採用したことは遺憾である」と日本政府を批判しているのは、国連女性差別撤廃委員会の09年の勧告です。「パート労働者及び有期雇用労働者には女性が圧倒的に多い」ことも是正すべき差別として指摘します。
日本は1985年均等法成立後に女性差別撤廃条約を批准。しかし、あらゆる形態の差別撤廃をめざす条約の内容が、「直接かつ明確に国内法に取り込まれていない」(同勧告)のが現状です。
日本共産党は次の政策をかかげています。「条件をつけずに『間接差別』の禁止を明記すべきです。雇用形態による差別や低賃金の業務に女性の比率が高くなっていることなどについて、実効性ある是正措置をとります」(2013年参議院選挙各分野政策)。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年10月1日付掲載
男女雇用機会均等法で謳われている「性別を理由にした差別」を本当になくしていくためにも、いわゆる「間接差別」の解決は焦眉の課題。
女性への差別をなくしていくことは、しいては男性への、また労働者全体への労働条件の改善につながる課題です。
表向き、性別を理由にしていないけれど、事実上、女性を差別するのは、「間接差別」とよばれています。間接差別の禁止を盛りこんでいる男女雇用機会均等法(均等法)の見直しの動きをみてみました。
男女雇用機会均等法は、第5条と第6条で、募集・採用、配置・昇進、定年などの「性別を理由とした差別」を禁止しています。つづく第7条が「間接差別」にかかわる規定です。形の上では、性別を理由にしていないものの「実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置」を間接差別として禁じています。

三要件に限定
しかし、具体的には厚生労働省令で定めるとされ、省令で次の三つの要件に限定されています。①募集・採用に当たり、一定の身長、体重または体力を要件とすること②コース別雇用管理制度における総合職の募集・採用に当たり、転居を伴う転勤を要件とすること③昇進に当たり転勤経験を要件とすること。
間接差別の禁止は、2006年成立(07年施行)の改正均等法で初めて盛り込まれ、5年後をめどに見直しをすることになっていました。
昨年10月から、見直しを検討してきた厚生労働省の労働政策審議会雇用均等分科会は、9月27日、報告書をとりまとめました。
報告書は、禁止すべき間接差別について、範囲を広げることを提案しています。先の三つの要件を見直し、「昇進、職種の変更に当たり転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること」も、間接差別にあたるとしました。
昇格時転勤も
「昇格のさいに転勤を要件とすることは、間接差別にあたる、と私たちの職場の実態を訴えてきましたが、それが受け入れられた」と話すのは、全国社会保険診療報酬支払基金労働組合(全基労、全労連加盟)の平岡信彦委員長です。
平岡さんの職場は、診療報酬明細書(レセプト)の審査支払いを行う社会保険診療報酬支払基金。全国47都道府県に支部があります。5千人近い職員に占める女性比率は5割を超えているにもかかわらず、管理職のなかの女性比率は1割程度。「昇格に必要な在職年数は満たしているのに、転勤できないことを理由に昇格させないからです」と平岡さん。厚生労働省や、組合員がいる各都府県労働局に要請を重ねてきた結果、均等法が禁じる間接差別の範囲の拡大につながりました。
「パートや有期雇用が女性に多い」
国際基準では間接差別

男女雇用機会均等対策について報告をまとめた労働政策審議会雇用均等分科会=9月27日、厚生労働省内
日本のように、間接差別に該当する事例を限定するような法律は「諸外国にはありません」(昨年11月の労働政策審議会雇用均等分科会での労働者委員の発言)
「(06年の改正均等法に)狭く定義した間接差別を採用したことは遺憾である」と日本政府を批判しているのは、国連女性差別撤廃委員会の09年の勧告です。「パート労働者及び有期雇用労働者には女性が圧倒的に多い」ことも是正すべき差別として指摘します。
日本は1985年均等法成立後に女性差別撤廃条約を批准。しかし、あらゆる形態の差別撤廃をめざす条約の内容が、「直接かつ明確に国内法に取り込まれていない」(同勧告)のが現状です。
日本共産党は次の政策をかかげています。「条件をつけずに『間接差別』の禁止を明記すべきです。雇用形態による差別や低賃金の業務に女性の比率が高くなっていることなどについて、実効性ある是正措置をとります」(2013年参議院選挙各分野政策)。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年10月1日付掲載
男女雇用機会均等法で謳われている「性別を理由にした差別」を本当になくしていくためにも、いわゆる「間接差別」の解決は焦眉の課題。
女性への差別をなくしていくことは、しいては男性への、また労働者全体への労働条件の改善につながる課題です。