大企業主役TPP③ 平等・互恵こそ必要
環太平洋連携協定(TPP)は、「21世紀型の貿易協定」をうたっています。多国籍大企業の活動が国境を越えてますます拡大する中で、世界貿易機関(WTO)の従来の水準を超えて多国籍大企業に活動の便宜を与えようという狙いです。
小規模を圧迫
今年は、国連が定めた「国際家族農業年」です。飢餓の根絶、環境の保全、持続可能な農業などに果たす家族農業の役割を評価し、その発展を促す取り組みです。
しかし、多国籍大企業本位の貿易「自由化」によって、特に農産物貿易で、各国の小規模な家族農業が圧迫されているのが現状です。
国連貿易開発会議(UNCTAD)が昨年9月30日発表した「2013年貿易環境概観」は、現在の貿易構造の欠陥を次のように指摘しました。
「多くの国の小規模農家と農村社会が農産物貿易自由化からさして利益を得ておらず、逆に、市場への参入条件が有利になることによって生じる機会から、より容易に利益を得られるのが最も大規模な農業生産者であることを、ますます多くの証拠が示している」
「貿易自由化の分配効果は全体として、諸国間と諸国内で、最も貧しい発展途上国と農民が純損失者になる結果をもたらしている」
現状がそうである上に、TPPはWTOを超えた水準を目指しており、「最悪の規定の最悪の特徴の多くを拘束的な貿易協定の中に固定化」(スティグリッツ米コロンビア大学教授)するものです。
TPP交渉から撤退せよと集まった人たち=2月18日、国会前
大規模も苦境
途上国ではない日本の農業も、米国の圧力による農産物輸入「自由化」で衰退させられてきました。
日本政府は、TPP参加を前提に、農業に国際競争力をつけるとして、小規模経営への支援を削り、経営の大規模化を進めようとしています。一部の大規模経営だけ残れば良いという方向です。
しかし、TPP交渉国の米国やオーストラリアなどと比べ、日本の大規模化には限界があります。さらに、大規模経営でさえ、現在の農産物価格水準や関税などの国境措置、補助金などを前提として成り立っているのが現実です。TPPによってこれらの前提が取り払われれば、大規模経営でも苦境に立たされかねません。
21世紀に求められるのは、TPPなどではなく、各国の経済主権、食料主権を尊重した平等・互恵の民主的ルールです。1月に開かれた日本共産党第26回大会の決議は、次のように述べています。
「TPPは、アメリカ型の『貿易と投資の自由化』と『市場原理主義』を『国際ルール』として押し付けようというものである。それは、農林水産業、食の安全、医療など、国民生活と日本経済のあらゆる分野に多大な犠牲をもたらし、日本の経済主権を放棄し、アメリカに日本を丸ごと売り渡す亡国の協定にほかならない」
「秘密交渉と公約違反のTPP交渉からただちに撤退することを強く求める。
食料主権、経済主権の椙互尊重に立った、互恵・平等の経済関係を発展させるために力をつくす」(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年3月1日付掲載
農業や漁業は、それぞれの国や地域の特性、地域性があるわけで、自由化の名で競争の渦に巻き込んではいけません。それぞれの国や地域の食糧主権を大事にしての貿易を進めるようにしないといけませんね。
環太平洋連携協定(TPP)は、「21世紀型の貿易協定」をうたっています。多国籍大企業の活動が国境を越えてますます拡大する中で、世界貿易機関(WTO)の従来の水準を超えて多国籍大企業に活動の便宜を与えようという狙いです。
小規模を圧迫
今年は、国連が定めた「国際家族農業年」です。飢餓の根絶、環境の保全、持続可能な農業などに果たす家族農業の役割を評価し、その発展を促す取り組みです。
しかし、多国籍大企業本位の貿易「自由化」によって、特に農産物貿易で、各国の小規模な家族農業が圧迫されているのが現状です。
国連貿易開発会議(UNCTAD)が昨年9月30日発表した「2013年貿易環境概観」は、現在の貿易構造の欠陥を次のように指摘しました。
「多くの国の小規模農家と農村社会が農産物貿易自由化からさして利益を得ておらず、逆に、市場への参入条件が有利になることによって生じる機会から、より容易に利益を得られるのが最も大規模な農業生産者であることを、ますます多くの証拠が示している」
「貿易自由化の分配効果は全体として、諸国間と諸国内で、最も貧しい発展途上国と農民が純損失者になる結果をもたらしている」
現状がそうである上に、TPPはWTOを超えた水準を目指しており、「最悪の規定の最悪の特徴の多くを拘束的な貿易協定の中に固定化」(スティグリッツ米コロンビア大学教授)するものです。
TPP交渉から撤退せよと集まった人たち=2月18日、国会前
大規模も苦境
途上国ではない日本の農業も、米国の圧力による農産物輸入「自由化」で衰退させられてきました。
日本政府は、TPP参加を前提に、農業に国際競争力をつけるとして、小規模経営への支援を削り、経営の大規模化を進めようとしています。一部の大規模経営だけ残れば良いという方向です。
しかし、TPP交渉国の米国やオーストラリアなどと比べ、日本の大規模化には限界があります。さらに、大規模経営でさえ、現在の農産物価格水準や関税などの国境措置、補助金などを前提として成り立っているのが現実です。TPPによってこれらの前提が取り払われれば、大規模経営でも苦境に立たされかねません。
21世紀に求められるのは、TPPなどではなく、各国の経済主権、食料主権を尊重した平等・互恵の民主的ルールです。1月に開かれた日本共産党第26回大会の決議は、次のように述べています。
「TPPは、アメリカ型の『貿易と投資の自由化』と『市場原理主義』を『国際ルール』として押し付けようというものである。それは、農林水産業、食の安全、医療など、国民生活と日本経済のあらゆる分野に多大な犠牲をもたらし、日本の経済主権を放棄し、アメリカに日本を丸ごと売り渡す亡国の協定にほかならない」
「秘密交渉と公約違反のTPP交渉からただちに撤退することを強く求める。
食料主権、経済主権の椙互尊重に立った、互恵・平等の経済関係を発展させるために力をつくす」(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年3月1日付掲載
農業や漁業は、それぞれの国や地域の特性、地域性があるわけで、自由化の名で競争の渦に巻き込んではいけません。それぞれの国や地域の食糧主権を大事にしての貿易を進めるようにしないといけませんね。