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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

日本良い国の時代 愛国者たちの暗黒郷③ 海外居留民保護は戦争の口実

2014-07-08 21:13:26 | 平和・憲法・歴史問題について
日本良い国の時代 愛国者たちの暗黒郷③ 海外居留民保護は戦争の口実
早川タダノリ

5月15日、私設諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の答申にもとついて、安倍晋三首相は記者会見で「集団的自衛権は憲法で認められている」と発言した。その会見の中で写真のようなボードをかざし、「まさに紛争国から逃れようとしているお父さんやお母さんや、おじいさんやおばあさん、子供たちかもしれない。彼らが乗っている米国の船を今、私たちは守ることができない」(官邸WEBサイトより)などと述べたのには、耳を疑った。

繰り返す歴史
「海外居留民の保護」とは大日本帝国の大陸侵略の端緒をなした有名な口実だ。なかでも上海事変(第1次、1932年)などは日本軍自身が謀略的に現地居留日本人への殺傷事件をつくりだして戦争をおっぱじめた。80年後の今日再び、それを口実に戦後憲法の平和条項を破壊しようとは「歴史は繰り返す」などと感慨にふけってもいられない。
たとえば上海事変当時、在留邦人が日本帝国海軍陸戦隊の日章旗を「どんなに狂喜して迎えたか」を、「現地の日本人小学生の作文」として次のように語らせていた。
《「あゝ、お母さん、日本の旗が」
「三千雄、もう大丈夫です」
「大丈夫ですとも、お母さん」
僕は涙がこみあげて、日章旗が見えなくなった。救はれた嬉しさの涙ではない、たとひこれから、どんな支那兵に苦しまされようとも、この日章旗となら、苦しまう。日の丸の旗の下で死なう、さう思つた時の日本人だけの味ふことの出来る涙だつたのだ》(東京日日新聞社・大阪毎日新聞社編『日の丸読本』37年2月から)



記者会見する安倍晋三首相=5月15日、首相官邸

侵略性を消す
本当に小学生が書いた作文なのかどうか怪しいところだが、「海外居留民保護」の軍事行動が、現地小学生の大和魂を奮い立たせ、「日の丸の旗の下で死なう」という愛国の至情へと昇華させた―このようなストーリーに仕立てられ、侵略性を一切消し去られた美談として活用されていたのだ。
今回の安保法制懇の報告書には在外日本人の保護・救出に「憲法上の制約はない」とワザワザ述べられているが、かつて国民の情緒に訴えるネタとして「海外居留民の保護」がたっぷりと活用されたことをまたしても繰り返しているわけだ。
(はやかわ・ただのり 編集者)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年6月25日付掲載


安倍さんが「赤ちゃんをだっこしたお母さんと隣に心配そうにしている子ども」のパネルを示して、「この人たちを救えなくていいのか」と言う「海外居留民保護」の口実。
戦前も同様な口実が使われた。
戦前の場合は日本が侵略した中国での事で、今回想定されている事態とは全く違うが、政府の考えている事は同じなのであろう。
コメント
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