変貌する経済 自動車⑤ 海を超える連帯の横断幕
日本の自動車産業が国内から海外へと生産拠点を移した結果、2007年には海外生産が国内生産を上回り、その差は毎年拡大し続けています。(グラフ)
全労連の布施恵輔(ふせ・けいすけ)国際局長は、スズキのインド・マネサール工場での暴力事件を契機とした労働組合に対する弾圧は、特殊な事例ではないと指摘します。
「労働者に対する非常に厳しい弾圧や組合つぶし、人権侵害の事例は少なくなく、むしろ、そうした流れが強まる傾向にある」
トヨタ工場でも
今年3月には、インド・カルナタカ州にあるトヨタ子会社が、昇給をめぐる労働組合との交渉の最中に工場をロックアウト(閉鎖)。会社は「労組幹部に扇動された一部の労働者」が、繰り返し意図的に生産ラインを停止し、労働者の扇動や現場監督を脅迫したと主張しています。組合側は、生産ライン停止の原因は大部分が技術的なトラブルで、残りは正当なストライキだと反論。扇動や脅迫は「事実無根」と批判しています。
10年には、中国広東省のホンダ子会社の部品工場でストライキが発生。いったん収束したものの、会社がストライキを呼びかけた2人の労働者を解雇したことから、工場全体にストライキが広がる事態になりました。
布施さんは、多国籍企業による労働者に対する攻撃が強まる一方、労働者からの反撃も強まっていると指摘します。米国南部のトヨタの労働者や、メキシコのホンダの労働者からも、労働組合結成について椙談が来たことがあると語ります。
スズキのインド・マネサール工場では4月、労働組合の新執行部を選出する選挙が行われました。経営側が息のかかった人物を推すなか、選挙された組合役員12人中11人で、事件以前の組合の流れを引き継いだ労働組合派が勝利しました。
「職場から組合幹部を根こそぎ取り除いたと思っていたのに、いまも労働組合が支持されていることが明白になった。スズキにとって大きな痛手のはずだ」(布施さん)
「インド・マルチスズキ人権侵害事件支援連帯する会」の結成集会で訴える太田さん=7月6日、浜松市
支援する会結成
今月6日、事件の現地調査に参加した太田泰久さんが中心となり、浜松市で「インド・マルチスズキ人権侵害事件支援連帯する会」の結成集会が開かれました。
集会には、マルチ・スズキ労働組合(MSWU)を支援しているインドの労働組合の全国組織「インド新労働組合イニシアチブ」のゴタム・モディ書記長から、最新の情勢メモとメッセージが寄せられました。
ゴタム氏は、警察による逮捕と嫌がらせを避けるため地下に潜っていたMSWU暫定委員会のオム・パラカシュ・ジャット氏が、栄養失調と結核で4月以降に命を落としたことを報告。解雇された労働者の多くが困窮状態に陥っていることを伝えました。
メッセージは次の言葉で結ばれています。
「わたしたちは、多国籍企業に対しては、企業の本拠地のある国と、たたかいが起こっている国双方でたたかいの横断幕が掲げられることなしには、たたかえないと考えています」「みなさんが決意をもって立ち上がってくださったことが、全世界のスズキの労働者のためだけでなく、わたしたちの連帯をさらに強化するでしょう」
(つづく)(次回から日産自動車)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年7月31日付掲載
労働組合の幹部を根こそぎ取り除いたとしても、その後を継ぐ人たちが次々と出てくる。国境の枠を超えて労働者が連帯・団結する。
頼もしい限りですね。
日本の自動車産業が国内から海外へと生産拠点を移した結果、2007年には海外生産が国内生産を上回り、その差は毎年拡大し続けています。(グラフ)
全労連の布施恵輔(ふせ・けいすけ)国際局長は、スズキのインド・マネサール工場での暴力事件を契機とした労働組合に対する弾圧は、特殊な事例ではないと指摘します。
「労働者に対する非常に厳しい弾圧や組合つぶし、人権侵害の事例は少なくなく、むしろ、そうした流れが強まる傾向にある」
トヨタ工場でも
今年3月には、インド・カルナタカ州にあるトヨタ子会社が、昇給をめぐる労働組合との交渉の最中に工場をロックアウト(閉鎖)。会社は「労組幹部に扇動された一部の労働者」が、繰り返し意図的に生産ラインを停止し、労働者の扇動や現場監督を脅迫したと主張しています。組合側は、生産ライン停止の原因は大部分が技術的なトラブルで、残りは正当なストライキだと反論。扇動や脅迫は「事実無根」と批判しています。
10年には、中国広東省のホンダ子会社の部品工場でストライキが発生。いったん収束したものの、会社がストライキを呼びかけた2人の労働者を解雇したことから、工場全体にストライキが広がる事態になりました。
布施さんは、多国籍企業による労働者に対する攻撃が強まる一方、労働者からの反撃も強まっていると指摘します。米国南部のトヨタの労働者や、メキシコのホンダの労働者からも、労働組合結成について椙談が来たことがあると語ります。
スズキのインド・マネサール工場では4月、労働組合の新執行部を選出する選挙が行われました。経営側が息のかかった人物を推すなか、選挙された組合役員12人中11人で、事件以前の組合の流れを引き継いだ労働組合派が勝利しました。
「職場から組合幹部を根こそぎ取り除いたと思っていたのに、いまも労働組合が支持されていることが明白になった。スズキにとって大きな痛手のはずだ」(布施さん)
「インド・マルチスズキ人権侵害事件支援連帯する会」の結成集会で訴える太田さん=7月6日、浜松市
支援する会結成
今月6日、事件の現地調査に参加した太田泰久さんが中心となり、浜松市で「インド・マルチスズキ人権侵害事件支援連帯する会」の結成集会が開かれました。
集会には、マルチ・スズキ労働組合(MSWU)を支援しているインドの労働組合の全国組織「インド新労働組合イニシアチブ」のゴタム・モディ書記長から、最新の情勢メモとメッセージが寄せられました。
ゴタム氏は、警察による逮捕と嫌がらせを避けるため地下に潜っていたMSWU暫定委員会のオム・パラカシュ・ジャット氏が、栄養失調と結核で4月以降に命を落としたことを報告。解雇された労働者の多くが困窮状態に陥っていることを伝えました。
メッセージは次の言葉で結ばれています。
「わたしたちは、多国籍企業に対しては、企業の本拠地のある国と、たたかいが起こっている国双方でたたかいの横断幕が掲げられることなしには、たたかえないと考えています」「みなさんが決意をもって立ち上がってくださったことが、全世界のスズキの労働者のためだけでなく、わたしたちの連帯をさらに強化するでしょう」
(つづく)(次回から日産自動車)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年7月31日付掲載
労働組合の幹部を根こそぎ取り除いたとしても、その後を継ぐ人たちが次々と出てくる。国境の枠を超えて労働者が連帯・団結する。
頼もしい限りですね。