安倍改憲 自衛隊明記の危険⑥ 最低でも戦争法追認 憲法への実質的取り込み
安倍晋三首相が、憲法に「自衛隊を明文で書き込む」というとき、その自衛隊は「現在の自衛隊」であり、安保法制闘戦争法(2015年)によって集団的自衛権の行使や、戦闘地域での米軍支援を行うことが可能になった自衛隊です。
公明党の北側一雄副代表は、安倍首相の「憲法に自衛隊を書き込む」という提起に対し、「平和安全法制(安保法制=戦争法)を含めて、憲法の解釈を超えるような改憲であれば、反対です」(5月16日、BS番組)と述べています。
国民批判かわす
北側氏は、憲法に自衛隊を明記することに反対しているのではなく、戦争法を「追認」=合憲化することを明確にしているのです。
これが自衛隊の憲法明記による安倍改憲の最低ラインです。
戦争法に対する「憲法違反」という、いまだにやまない厳しい国民的批判の根拠をなくすものです。憲法への自衛隊明記で、戦争法を超える無制限の武力行使に道を開く危険があることは、見てきた通りです。
安倍首相が、自衛隊明記をめぐり、「『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくす」「9条2項が残り従来の制約は受ける」というとき、戦争法以前の、災害救助や「本土防衛」に取り組む自衛隊の存在を「合憲化」することと意図的にすり替え、「同一視」している節があります。
戦争法は、従来の政府解釈を百八十度転換して集団的自衛権行使を容認したもので、「閣議決定」と法律(戦争法)による憲法の破壊でした。自衛隊明記による戦争法の「合憲化」は、立憲主義破壊の暴挙を、三たび国民を愚弄(ぐろう)して「正当化」することを目指すもの。恐るべき憲法と主権者への挑戦です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/0b/e629ac6cc4f1b71a5a4c5733a20b6018.jpg)
米艦防護に参加した海上自衛艦「いずも」=海上自衛隊公式ウェブサイトから
地球規模で展開
同時に、戦争法は日米新ガイドライン(軍事協力の指針)の具体化、実行法であり、日米同盟強化の最新の到達点です。自衛隊の憲法明記は、戦争法に基づき自衛隊が米軍と地球規模で協力、共同で武力行使する体制を実質的に憲法に組み込むものです。
南スーダンPKO(国連平和維持活動)への自衛隊派兵と「駆け付け警護」など新任務付与、北朝鮮の核・ミサイル危機の中での米艦防護など、戦争法はすでに発動されています。元陸上自衛隊北部方面総監の志方俊之氏は、米艦防護の実施について「平時やグレーゾーン事態における日米協力が実行段階に入った」として「歓迎」。日米共同司令部として「同盟調整メカニズム」が稼働し、自衛隊は実質的に米太平洋軍の指揮下に入って動き始めています。
自衛隊はもともと日米安保体制と一体で、米国による日本の再軍備の要請で創設(1954年)された対米従属の軍隊としての性格を持ちます。しかし、憲法9条とこれを擁護する国民運動によって、自衛隊は海外での武力行使は行わず、日本の防衛と関係のない米国との海外での共同作戦は行わないことになってきました。これを大きく破壊したのが戦争法です。
それを憲法に実質的に取り込む―。日米安保体制のもとで9条に手を付けることの本質的危険があらわれています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月19日付掲載
安保法制による自衛隊の活動範囲の拡大。その自衛隊を憲法で追認する事の危険さは計り知れない。
安倍晋三首相が、憲法に「自衛隊を明文で書き込む」というとき、その自衛隊は「現在の自衛隊」であり、安保法制闘戦争法(2015年)によって集団的自衛権の行使や、戦闘地域での米軍支援を行うことが可能になった自衛隊です。
公明党の北側一雄副代表は、安倍首相の「憲法に自衛隊を書き込む」という提起に対し、「平和安全法制(安保法制=戦争法)を含めて、憲法の解釈を超えるような改憲であれば、反対です」(5月16日、BS番組)と述べています。
国民批判かわす
北側氏は、憲法に自衛隊を明記することに反対しているのではなく、戦争法を「追認」=合憲化することを明確にしているのです。
これが自衛隊の憲法明記による安倍改憲の最低ラインです。
戦争法に対する「憲法違反」という、いまだにやまない厳しい国民的批判の根拠をなくすものです。憲法への自衛隊明記で、戦争法を超える無制限の武力行使に道を開く危険があることは、見てきた通りです。
安倍首相が、自衛隊明記をめぐり、「『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくす」「9条2項が残り従来の制約は受ける」というとき、戦争法以前の、災害救助や「本土防衛」に取り組む自衛隊の存在を「合憲化」することと意図的にすり替え、「同一視」している節があります。
戦争法は、従来の政府解釈を百八十度転換して集団的自衛権行使を容認したもので、「閣議決定」と法律(戦争法)による憲法の破壊でした。自衛隊明記による戦争法の「合憲化」は、立憲主義破壊の暴挙を、三たび国民を愚弄(ぐろう)して「正当化」することを目指すもの。恐るべき憲法と主権者への挑戦です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/0b/e629ac6cc4f1b71a5a4c5733a20b6018.jpg)
米艦防護に参加した海上自衛艦「いずも」=海上自衛隊公式ウェブサイトから
地球規模で展開
同時に、戦争法は日米新ガイドライン(軍事協力の指針)の具体化、実行法であり、日米同盟強化の最新の到達点です。自衛隊の憲法明記は、戦争法に基づき自衛隊が米軍と地球規模で協力、共同で武力行使する体制を実質的に憲法に組み込むものです。
南スーダンPKO(国連平和維持活動)への自衛隊派兵と「駆け付け警護」など新任務付与、北朝鮮の核・ミサイル危機の中での米艦防護など、戦争法はすでに発動されています。元陸上自衛隊北部方面総監の志方俊之氏は、米艦防護の実施について「平時やグレーゾーン事態における日米協力が実行段階に入った」として「歓迎」。日米共同司令部として「同盟調整メカニズム」が稼働し、自衛隊は実質的に米太平洋軍の指揮下に入って動き始めています。
自衛隊はもともと日米安保体制と一体で、米国による日本の再軍備の要請で創設(1954年)された対米従属の軍隊としての性格を持ちます。しかし、憲法9条とこれを擁護する国民運動によって、自衛隊は海外での武力行使は行わず、日本の防衛と関係のない米国との海外での共同作戦は行わないことになってきました。これを大きく破壊したのが戦争法です。
それを憲法に実質的に取り込む―。日米安保体制のもとで9条に手を付けることの本質的危険があらわれています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月19日付掲載
安保法制による自衛隊の活動範囲の拡大。その自衛隊を憲法で追認する事の危険さは計り知れない。