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日本共産党兵庫県委員会で働いています。

安倍改憲 自衛隊明記の危険⑤ 「但し」書きなくても 政府解釈の「制約」消滅

2017-07-24 10:40:59 | 平和・憲法・歴史問題について
安倍改憲 自衛隊明記の危険⑤ 「但し」書きなくても 政府解釈の「制約」消滅

日本会議国会議員懇談会の中心メンバーの一人で、安倍晋三首相と盟友関係にある自民党の古屋圭司選対委員長は、首相が9条改憲のビデオメッセージを寄せた5月3日の改憲集会にパネリストとして参加していました。

2項空文化狙う
古屋氏は集会で、首相のビデオメッセージを受け、9条に自衛隊を明記する案として「1項、2項は不変で、3項を、前項の規定にもかかわらず、自衛のための自衛隊をおくことができる」としたいと述べました。
「前項の規定にもかかわらず」とは、「戦力不保持規定(2項)はあるが、その例外として」という意味です。つまり、「戦力」として自衛隊を保有することになり、2項は完全に空文化します。
古屋氏は、かつて日本会議国会議員懇談会の「新憲法制定促進委員会・準備の座長を務めた人物。9条2項空文化の野望丸出しの発言です。
また改憲勢力が自衛隊明記に関連して持ち出している「但し」という表現も、原則に対し例外を表す言葉です。9条2項の「戦力を保持しない」を受けて「但し、自衛隊の保有はこの限りではない」と書けば、自衛隊は「戦力」となります。
このように2項を受けて「にもかかわらず」「但し」と自衛隊規定に書き込むだけで、2項は空文化してしまうのです。
「例外規定」を設けなくても、日本会議国会議員懇談会が3月15日に決定した案のように「国際法に基づく自衛権を行使する組織」というように広範な権限を書き込めば、自衛隊は無制限の集団的自衛権を行使するものとなります。「国際の平和と安全を守る」と自衛隊の任務が書き込まれれば、武力行使を伴う国連の集団安全保障活動はもちろん、国連決議に基づかない有志連合・多国籍軍への参加も可能となります。
憲法に自衛隊を明記する場合、呼称(自衛隊)、組織の性格、任務・権限、さらに最高指揮権、シビリアンコントロールなどが書き込まれることが考えられます。



衆院憲法審査会で発言する自民党の古屋圭司選対委員長

その先保障なし
重要なことは、「但し書き」方式や、任務規定による権限拡大をせずとも、自衛隊が憲法に書き込まれた途端、従来の政府解釈として設けられてきた「制約」が消滅し、無制限な海外での武力行使に道を開くことです。何がどこまで可能となるか、解釈・立法の再編成の検討はすでに始まっているでしょう。自民党関係者の一人は「原案の検討には、内閣法制局も参加する」と語ります。
これに対し、自民党は「9条解釈を1ミリも動かさない」と言います。しかし、これまでの政府解釈上の「制限」をすべて憲法に具体的に書き込むことは難しい。「動かさない」とは、当面は解釈を変えないというだけで、その先に変化しない保障はありません。
民間憲法臨調副代表の西修駒沢大名誉教授は、自衛隊明記の案として「日本国の平和と独立を守り、国の安全を守るため、自衛隊を保持する」(『明日への選択』7月号)と提案しています。
このように正面から自衛権の規定が設けられれば、無制限の集団的自衛権を排除する保障は全くありません。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月17日付掲載


「但し書き」方式や、任務規定による権限拡大をせずとも、自衛隊が憲法に書き込まれた途端、従来の政府解釈として設けられてきた「制約」が消滅。
そんなことは許されません。