安倍改憲 自衛隊明記の危険④ 日本会議発 2項「空文化」 首相との異常な関係示す
改憲右翼団体「日本会議」と一心同体の議員連盟「日本会議国会議員懇談会」が3月15日に総会を開き、2017年度の運動方針を決定しました。
国際法に基づく
「憲法改正の優先課題」を確認し、緊急事態条項の創設と並んで、憲法に自衛隊を位置づけることを明記―。「憲法上に明文の根拠を持たない『自衛隊』の存在を、国際法に基づく自衛権を行使する組織として、憲法に位置づける」としました。
憲法への自衛隊明記は、安倍晋三首相が打ち出した9条改憲案そのもの。さらに「国際法に基づく自衛権」とは国連憲章51条の個別的・集団的自衛権の双方を含むものです。自衛隊を「国際法に基づく自衛権」を行使する組織と位置付ければ、無制限の海外での武力行使が可能になります。
一方、日本会議の政策委員で、右派シンクタンク「日本政策研究センター」の伊藤哲夫代表は、同センター機関誌『明日への選択』(16年9月号)で「加憲」を提案。「憲法九条に三項を加え、『但し前項の規定は確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するものではない』といった規定をいれること」を提起していました。日本会議国会議員懇談会の方針とそっくりの内容です。
伊藤氏は、第1次安倍政権のときから安倍首相の“ブレーン”として寄り添ってきました。安倍首相自身も日本会議国会議員懇談会の副幹事長など役員を歴任した間柄です。
さらに『明日への選択』(同11月号)で、同センター研究部の小坂実部長は、中国や北朝鮮などの“脅威”を強調し、自衛隊の能力を制限する9条2項は「障害物」だと明言。「速やかに九条二項を削除するか、あるいは自衛隊を明記した第三項を加えて二項を空文化させるべきである」と述べています。9条に3項を加え、自衛隊を位置づける狙いが、9条2項の空文化=死文化にあることをあけすけに語っているのです。
『明日への選択』昨年の11月号に掲載された小坂実日本政策研究センター研究部長の文章
国民の警戒緩和
自衛隊違憲論の「生まれる余地をなくす」などという安倍首相の言い分は、自民党憲法改正推進本部所属議員の1人がいうように「国民の警戒を緩和する」、レトリック(修辞)にすぎません。
安倍首相が突然持ち出した自衛隊明記の「加憲」論は、日本会議系の民間憲法臨調が開いた改憲集会へのビデオメッセージで示され嚢ました。その発信源は日本会議自身です。自民党には自民党改憲案がありますが、党総裁がこれを無視し、日本会議のシナリオを党総裁の方針として日本会議系集会で報告する―。安倍首相と日本会議の異常な関係を示すものです。
安倍改憲提案を受け、伊藤氏は6月30日、「安倍提案を支持し、実現を求める3つの理由」という論文を発表し、「この9条『加憲』は単なる現状追認には終わらない」と強調。自衛隊が軍隊ではないという現状が維持されるのは遺憾だとしつつ、「自衛隊の『地位』は大きく変わる」とうそぶいています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月16日付掲載
自民党の改憲案でも9条2項を削除するって言ってますが、それをさておいて、日本会議の改憲案を持ち出す。
内容は同じじゃないかと言ってしまえば、それまでですが、党よりも日本会議を優先する異常さ。
改憲右翼団体「日本会議」と一心同体の議員連盟「日本会議国会議員懇談会」が3月15日に総会を開き、2017年度の運動方針を決定しました。
国際法に基づく
「憲法改正の優先課題」を確認し、緊急事態条項の創設と並んで、憲法に自衛隊を位置づけることを明記―。「憲法上に明文の根拠を持たない『自衛隊』の存在を、国際法に基づく自衛権を行使する組織として、憲法に位置づける」としました。
憲法への自衛隊明記は、安倍晋三首相が打ち出した9条改憲案そのもの。さらに「国際法に基づく自衛権」とは国連憲章51条の個別的・集団的自衛権の双方を含むものです。自衛隊を「国際法に基づく自衛権」を行使する組織と位置付ければ、無制限の海外での武力行使が可能になります。
一方、日本会議の政策委員で、右派シンクタンク「日本政策研究センター」の伊藤哲夫代表は、同センター機関誌『明日への選択』(16年9月号)で「加憲」を提案。「憲法九条に三項を加え、『但し前項の規定は確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するものではない』といった規定をいれること」を提起していました。日本会議国会議員懇談会の方針とそっくりの内容です。
伊藤氏は、第1次安倍政権のときから安倍首相の“ブレーン”として寄り添ってきました。安倍首相自身も日本会議国会議員懇談会の副幹事長など役員を歴任した間柄です。
さらに『明日への選択』(同11月号)で、同センター研究部の小坂実部長は、中国や北朝鮮などの“脅威”を強調し、自衛隊の能力を制限する9条2項は「障害物」だと明言。「速やかに九条二項を削除するか、あるいは自衛隊を明記した第三項を加えて二項を空文化させるべきである」と述べています。9条に3項を加え、自衛隊を位置づける狙いが、9条2項の空文化=死文化にあることをあけすけに語っているのです。
『明日への選択』昨年の11月号に掲載された小坂実日本政策研究センター研究部長の文章
国民の警戒緩和
自衛隊違憲論の「生まれる余地をなくす」などという安倍首相の言い分は、自民党憲法改正推進本部所属議員の1人がいうように「国民の警戒を緩和する」、レトリック(修辞)にすぎません。
安倍首相が突然持ち出した自衛隊明記の「加憲」論は、日本会議系の民間憲法臨調が開いた改憲集会へのビデオメッセージで示され嚢ました。その発信源は日本会議自身です。自民党には自民党改憲案がありますが、党総裁がこれを無視し、日本会議のシナリオを党総裁の方針として日本会議系集会で報告する―。安倍首相と日本会議の異常な関係を示すものです。
安倍改憲提案を受け、伊藤氏は6月30日、「安倍提案を支持し、実現を求める3つの理由」という論文を発表し、「この9条『加憲』は単なる現状追認には終わらない」と強調。自衛隊が軍隊ではないという現状が維持されるのは遺憾だとしつつ、「自衛隊の『地位』は大きく変わる」とうそぶいています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月16日付掲載
自民党の改憲案でも9条2項を削除するって言ってますが、それをさておいて、日本会議の改憲案を持ち出す。
内容は同じじゃないかと言ってしまえば、それまでですが、党よりも日本会議を優先する異常さ。