朝鮮半島の激動と北東アジアの平和⑨ 大展望を開こう 軍事同盟のないアジアを
「朝鮮戦争の勃発で日本の再軍備は早まった。米国務省の予想が外れ1948年に中国が共産化し次々と思いがけないことが起こり、最後に朝鮮戦争が起き“ソ連”が目の前まで来た。日本にいた米軍が朝鮮に出兵し、その空白を埋めるため再軍備(警察予備隊)に踏み切り、日本の独立を早めて日米安保条約を結ぶ。米国の当時の決断がいまのこの地域の基礎をつくっている」
平和ルール
日米同盟派の安保研究者はこう述べます。
日米安保体制は米国の反ソ反共の封じ込め世界戦略の一環でしたが、同時に、直接の動機は朝鮮半島の軍事緊張に対処するものでした。53年に朝鮮戦争は休戦しましたが、終戦することなく休戦ラインを境に南北そして米ソ、米中が対立する構造が維持されました。
91年のソ連崩壊後も、北東アジアでは日米同盟、韓米同盟が維持されます。核使用を含む米国の敵視政策に対抗するためとして、北朝鮮は核開発を進めます。米国が91年に韓国に配備していた戦術核を撤去し、その後北朝鮮が非核化に合意したことも何度かありましたが、いずれも実行が途中でとん挫。核問題は深刻化してきました。
昨年、核・ミサイル開発を加速させた北朝鮮に対し「北朝鮮を完全に破壊する」などとした米国1。戦争の危機に直面し、米朝の敵対関係を終結させて非核化を実現するという決断に至りました。
戦争終結へのプロセスが進み、南北、米朝、日朝が互いに認め合う。その先には中国、ロシアも含めて北東アジアの新しい平和のルールを話し合う展望が開けます。
記念講演する志位和夫委員長=7月11日
自衛隊ヘリ空母へのオスプレイの発着訓練も行われた日米共同訓練=2013年6月、自衛隊ホームページから
対話と行動
日本共産党の志位和夫委員長は党創立96周年の記念講演(7月11日)で、そのルールとして紛争があっても武力で解決しないという規範を諸国間で締結すると提案(北東アジア平和協力構想)。志位氏はその先に、「北東アジア地域全体が戦争の心配のない地域になったら、日米安保条約と在日米軍は果たして必要なのか。その存在が根本から問われることになる」と訴えました。本当に独立した日本、軍事同盟のない北東アジアへの大展望を提起したのです。
軍事同盟の根源は、敵意と不信です。対話と行動によって敵意を抑え、信頼をつくりだすことこそ真の平和戦略だという確信が、世界の民衆に広がって国際政治を動かしています。
韓国の文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は6月12日の米朝首脳会談の後、ソウルで開かれたシンポジウムで、トランプ大統領と金正恩国務委員長による米朝共同声明について、日中韓も含めた「全ての関係国が勝者だと言える」と評価したうえで次のように述べました。
「平和というものは銃口から生まれるものではない。信頼から生まれるものだ。信頼は互いに交流し、互いに理解し合うところから生まれる」(おわり)
(この連載は中祖寅一が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月25日付掲載
南北、米朝、日朝の対話が進み、北東アジアが戦争の心配のない地域になったら、日米安保条約と在日米軍が果たして必要か問われるという。
「朝鮮戦争の勃発で日本の再軍備は早まった。米国務省の予想が外れ1948年に中国が共産化し次々と思いがけないことが起こり、最後に朝鮮戦争が起き“ソ連”が目の前まで来た。日本にいた米軍が朝鮮に出兵し、その空白を埋めるため再軍備(警察予備隊)に踏み切り、日本の独立を早めて日米安保条約を結ぶ。米国の当時の決断がいまのこの地域の基礎をつくっている」
平和ルール
日米同盟派の安保研究者はこう述べます。
日米安保体制は米国の反ソ反共の封じ込め世界戦略の一環でしたが、同時に、直接の動機は朝鮮半島の軍事緊張に対処するものでした。53年に朝鮮戦争は休戦しましたが、終戦することなく休戦ラインを境に南北そして米ソ、米中が対立する構造が維持されました。
91年のソ連崩壊後も、北東アジアでは日米同盟、韓米同盟が維持されます。核使用を含む米国の敵視政策に対抗するためとして、北朝鮮は核開発を進めます。米国が91年に韓国に配備していた戦術核を撤去し、その後北朝鮮が非核化に合意したことも何度かありましたが、いずれも実行が途中でとん挫。核問題は深刻化してきました。
昨年、核・ミサイル開発を加速させた北朝鮮に対し「北朝鮮を完全に破壊する」などとした米国1。戦争の危機に直面し、米朝の敵対関係を終結させて非核化を実現するという決断に至りました。
戦争終結へのプロセスが進み、南北、米朝、日朝が互いに認め合う。その先には中国、ロシアも含めて北東アジアの新しい平和のルールを話し合う展望が開けます。
記念講演する志位和夫委員長=7月11日
自衛隊ヘリ空母へのオスプレイの発着訓練も行われた日米共同訓練=2013年6月、自衛隊ホームページから
対話と行動
日本共産党の志位和夫委員長は党創立96周年の記念講演(7月11日)で、そのルールとして紛争があっても武力で解決しないという規範を諸国間で締結すると提案(北東アジア平和協力構想)。志位氏はその先に、「北東アジア地域全体が戦争の心配のない地域になったら、日米安保条約と在日米軍は果たして必要なのか。その存在が根本から問われることになる」と訴えました。本当に独立した日本、軍事同盟のない北東アジアへの大展望を提起したのです。
軍事同盟の根源は、敵意と不信です。対話と行動によって敵意を抑え、信頼をつくりだすことこそ真の平和戦略だという確信が、世界の民衆に広がって国際政治を動かしています。
韓国の文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は6月12日の米朝首脳会談の後、ソウルで開かれたシンポジウムで、トランプ大統領と金正恩国務委員長による米朝共同声明について、日中韓も含めた「全ての関係国が勝者だと言える」と評価したうえで次のように述べました。
「平和というものは銃口から生まれるものではない。信頼から生まれるものだ。信頼は互いに交流し、互いに理解し合うところから生まれる」(おわり)
(この連載は中祖寅一が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月25日付掲載
南北、米朝、日朝の対話が進み、北東アジアが戦争の心配のない地域になったら、日米安保条約と在日米軍が果たして必要か問われるという。