朝鮮半島の激動と北東アジアの平和② 始まった平和プロセス 「膠着」打開へ南北動く
平和プロセスは始まったばかり。困難も曲折も予想されます。
7月初めにポンペオ米国務長官が訪朝して米朝高官級協議が行われました。協議の内容は明らかにされていませんが、核廃棄の実行を迫る米国と経済制裁の緩和や朝鮮戦争終結の政治宣言の早期履行を求める北朝鮮側との間で膠着状態になっていると報じられています。終戦宣言の年内履行は、南北間の板門店宣言に明記されています。
こうした中、北朝鮮が唯一参加する多国間対話の枠組みであるASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)外相会議が4日にシンガポールで開催されました。会合には韓国の康京和(カンギョンファ)、北朝鮮の李容浩(リヨンホ)、米国のポンペオの3外相が参加。南北米3力国外相会談が実現するかどうかが注目されましたが、実現しませんでした。

8月13日、板門店の北朝鮮側施設「統一閣」で開かれた南北閣僚級会談で握手する北朝鮮の李善権・祖国平和統一委員会委員長(左)と韓国の趙明均統一相(AFP時事)」
国際的注目
日本の元外務省高官の一人は「終戦宣言が出ても平和条約に至るかは非核化の実行にかかっており決定的な意味はない。米国は、政治宣言が制裁緩和に利用されることを嫌っている」と語ります。
他方、同会合で北朝鮮の李外相は「朝米共同声明を誠意と責任をもって履行する決意を堅持している」と表明。また参加各国が、李外相との会談を希望し、次々と会談が開かれるなど、平和プロセスの開始への国際的注目の強さを示しました。
13日には南北の高官級協議が急きょ行われ、9月に韓国の文在寅大統領が訪朝し今年3回目となる南北首脳会談の開催が決まりました。また文大統領は15日の演説で「北朝鮮の完全な非核化履行、それに相応する米国の包括的な措置が迅速に推進されるよう願う」とのべ、米朝の歩み寄りを促しました。「膠着」状態打開に向け南北の積極的な動きが続きます。ポンペオ米国務長官の再訪朝準備も報じられています。
非核化の道
7月29日に都内で開かれた原水爆禁止2018年世界大会・科学者集会で発言した韓国キョレハナ平和研究センターの李俊揆(イジュンギュ)研究員は、「北に核を放棄させるためには、もっと米国の方が体制安全保証の方法を提示すべきだ」と強調。韓国政府が9月の国連総会での終戦宣言を目指す報道があると紹介し、「韓米日の核同盟が北を囲んでいる情勢をどう変えるのかのロードマップを北に示しながら北に対し非核化のタイムラインを要求するのが基本」だと述べました。北朝鮮は北東部・豊渓里(プンゲリ)の核施設の一部を爆破し、東倉里(トンチャンリ)のミサイル実験場を解体するなどの措置をとっています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月16日付掲載
朝鮮半島の非核化と平和条約、朝鮮戦争の終結を並行して進めていくことが大事。
平和プロセスは始まったばかり。困難も曲折も予想されます。
7月初めにポンペオ米国務長官が訪朝して米朝高官級協議が行われました。協議の内容は明らかにされていませんが、核廃棄の実行を迫る米国と経済制裁の緩和や朝鮮戦争終結の政治宣言の早期履行を求める北朝鮮側との間で膠着状態になっていると報じられています。終戦宣言の年内履行は、南北間の板門店宣言に明記されています。
こうした中、北朝鮮が唯一参加する多国間対話の枠組みであるASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)外相会議が4日にシンガポールで開催されました。会合には韓国の康京和(カンギョンファ)、北朝鮮の李容浩(リヨンホ)、米国のポンペオの3外相が参加。南北米3力国外相会談が実現するかどうかが注目されましたが、実現しませんでした。

8月13日、板門店の北朝鮮側施設「統一閣」で開かれた南北閣僚級会談で握手する北朝鮮の李善権・祖国平和統一委員会委員長(左)と韓国の趙明均統一相(AFP時事)」
国際的注目
日本の元外務省高官の一人は「終戦宣言が出ても平和条約に至るかは非核化の実行にかかっており決定的な意味はない。米国は、政治宣言が制裁緩和に利用されることを嫌っている」と語ります。
他方、同会合で北朝鮮の李外相は「朝米共同声明を誠意と責任をもって履行する決意を堅持している」と表明。また参加各国が、李外相との会談を希望し、次々と会談が開かれるなど、平和プロセスの開始への国際的注目の強さを示しました。
13日には南北の高官級協議が急きょ行われ、9月に韓国の文在寅大統領が訪朝し今年3回目となる南北首脳会談の開催が決まりました。また文大統領は15日の演説で「北朝鮮の完全な非核化履行、それに相応する米国の包括的な措置が迅速に推進されるよう願う」とのべ、米朝の歩み寄りを促しました。「膠着」状態打開に向け南北の積極的な動きが続きます。ポンペオ米国務長官の再訪朝準備も報じられています。
非核化の道
7月29日に都内で開かれた原水爆禁止2018年世界大会・科学者集会で発言した韓国キョレハナ平和研究センターの李俊揆(イジュンギュ)研究員は、「北に核を放棄させるためには、もっと米国の方が体制安全保証の方法を提示すべきだ」と強調。韓国政府が9月の国連総会での終戦宣言を目指す報道があると紹介し、「韓米日の核同盟が北を囲んでいる情勢をどう変えるのかのロードマップを北に示しながら北に対し非核化のタイムラインを要求するのが基本」だと述べました。北朝鮮は北東部・豊渓里(プンゲリ)の核施設の一部を爆破し、東倉里(トンチャンリ)のミサイル実験場を解体するなどの措置をとっています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月16日付掲載
朝鮮半島の非核化と平和条約、朝鮮戦争の終結を並行して進めていくことが大事。