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きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

資本主義の病巣 君臨するアマゾン⑨ 生産ラインで倒れ涙

2018-08-17 21:04:11 | 経済・産業・中小企業対策など
資本主義の病巣 君臨するアマゾン⑨ 生産ラインで倒れ涙
製造委託方式―。情報技術(IT)企業をはじめとした多国籍企業は、自社では製造しないでサプライヤー(供給者)と呼ばれる企業に製造を委託し、雇用者としての責任を回避する方式で利益を吸い上げています。
ネット通販にとどまらず、自社製品の生産に乗り出したアマゾンも同じです。音声で操作するスマートスピーカー「エコー」や電子書籍の「キンドル」などの製造を海外に委託しています。委託先である台湾・鴻海精密工業の中国工場(湖南省の衡陽工場)では、深夜の長時間労働によって最先端機器の組み立て作業が行われていました。
工場の過酷な実態を告発したのは、米ニューヨークを拠点とする人権団体「チャイナ・レイバー・ウオッチ」(CLW)です。
約4500人の労働者が働くこの工場では従業員の44%が派遣労働者でした。中国で定められている上限の10%をはるかに超えていました。繁忙期に月間の残業が100時間を超え、中国の法律が定める36時間を大幅に上回り、連続14日間働き続けたという例も。
製品の組み立て作業は単純な反復作業です。長期間労働に疲れ果て、わずかな休憩時間には道端にしゃがんでまんじゅうや即席めんを食べるなどで空腹をしのぎます。



アマゾンの電子書籍の専用端末「キンドル」

医者もいない
工場に潜入したCLWの調査官の日誌には、工場内の生々しい実態が描かれていました。
2018年3月。スピーカーのほこりをブラシで取り除く作業場では―。

午前2~3時 時間のたつのがとても遅く感じる。目の前に製品が積みあがる。ライン技術者がやってくる。「もっと早く。作業がのろすぎる」
午前4時 もう目を開けていられない。(ほこりを取り除く)ブラッシングがますます遅くなる。
午前5時30分 包装部門の人々は、まだ働いている。私は疲れ果て、頭を生産ラインにもたせかけるしかなかった。

派遣労働者たちは、先端産業で働いていても、そこで技術を身につけて昇給昇進し安定した生活を実現することなどは夢物語です。むしろ長期にわたる深夜作業は健康な身体すらもむしばんでいきます。

4月6日 派遣労働者が腹痛のため生産ラインで倒れた。涙を流していた。私はとても心配になった。この工場に医者はいないのかと、隣の労働者に聞いた。答えは「いない」。
この工場には、基本的な医療設備や健康センターすらなかったのだ。

これが世界のデジタル革命を支える製造工場の現場です。

基本給が低い
派遣労働者には、社会保険はありません。しかし、派遣労働者は正社員になることを望みません。長時間の残業ができなくなるためです。作業ミスをした時などの罰則は、残業をさせないことでした。基本給が低すぎて、残業がなければ生活に必要な賃金が得られないのです。
正社員の中には派遣労働者になることを望んでいる人さえいます。正社員の賃金があまりに低すぎるからです。
一方、工場は仕事の閑散時にも、彼らを直接解雇することはありません。ただ、休暇を与えるだけです。休暇中は賃金が得られないため、休暇が2カ月にもなれば、彼らは自ら辞めていかざるを得なくなるのです。
CLWは指摘します。
「ぞっとするような労働条件で働き、生活を維持するためには、過重な残業をする以外に選択肢がない労働者たち。アマゾンの利益は、その労働者の犠牲の上になりたっているのだ」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月11日付掲載


紙媒体や電子媒体の販売でも独占的に利益をあげるアマゾン。
電子媒体を供給する端末の製造現場でも労働者が使い捨てに。
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