きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

検証 超円高④ 対米従属から抜け出て

2012-12-23 16:46:44 | 経済・産業・中小企業対策など
検証 超円高④ 対米従属から抜け出て

国民の利益を守る立場から、自国の通貨を為替の投機的変動から守ることは、各国の主権に属する問題です。
日本同様、自国通貨高に悩むスイスでは2011年9月、中央銀行がスイス・フラン防衛のため無制限の為替介入を行うことを決定。1ユーロ=1・20スイス・フランを超えるスイス・フラン高は許容しないことを宣言しました。自国の利益のために通貨を断固として守る姿勢は日本と違います。
しかし、日本政府は日米安保体制のもとで、米国との関係を何よりも優先させ、ドル基軸通貨体制を支えてきました。その一方、日本国民の経済的利益を守るために必要な手立てをとってきませんでした。日米安保条約を廃棄し、従属関係から抜け出せば、日本経済を立て直す展望が生まれます。



東京都内の工場(ロイター)

■内需主導に
日本が円高危機を繰り返し、そのつど労働者や中小企業が犠牲にされてきた原因は、輸出依存の経済構造でした。それを改めるには、国民の生活を中心にした内需主導の経済に転換することが不可欠です。そのためにも安保条約の廃棄が必要です。
日本は1960年代、米国の技術をもとに対米輸出を拡大し、高度成長を遂げました。これが輸出依存の経済構造をつくり上げました。
安保条約第2条は、「国際経済政策におけるくい違いを除くことに努める」と定めています。
米国大企業はこれを根拠として、常に自国の経済ルールを日本に押し付けてきました。派遣労働の自由化や労働時間の規制緩和は、日本の財界の要求であるとともに、米国大企業の要求でした。
その結果、非正規雇用が増え、長時間・過密労働が深刻化。大企業が労働者を犠牲にしてコストを削減することがまかり通ってきました。これが円高をさらに加速させてきました。この悪循環を断つためにも、経済主権の回復が不可欠です。

■投機規制を
「超円高」を引き起こしているのは、米国を基盤とする投機筋です。巨額の投機が異常な円高を引き起こすことを防ぐには国際的に金融投機を規制する必要があります。
欧州連合(EU)は通貨取引税を創設して、金融投機を規制する道に踏み出しています。日本政府も通貨取引税を含め、国際的な為替投機の規制に向けて踏み出す必要があります。しかし、米国は国際的な投機規制に消極的です。経団連など日本の財界は、金融取引税の導入に反対。米国と財界言いなりの日本政府は導入にきわめて消極的です。
日本が米国への従属を断ち切ることは、自主的な投機規制を行う上でも欠かせません。
中央大学の今宮謙二名誉教授は、「自主的な政策を行うことによって円高対策も可能になる」といいます。
「円高対策の基本は日本が内需主導で安定した経済成長をすることです。そうすれば、投機筋の動きも活発化せず、為替相場も本来の水準になっていく可能性があります。日米安保条約を廃棄し、対等平等の日米友好条約を結んで、日本の経済主権を確立すべきです」と強調します。
(おわり)(この連載は山田俊英が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年12月21日付掲載



「儲かりさえすればどこで生産してもいい」って事じゃなく、やはり国内での生産と消費をメインに経済政策を転換していかないといけないですね。
地域の業者さんはもちろんですが、大企業にも巡り巡って良い方向になるんですがねえ。
そして大企業の260兆円もの内部留保のごく一部を労働者の所得や下請け単価に還元することにより経済が好転するとともに、投機マネーの規模自体を縮小させることにもなります。
上下(うえした)両方でいい方向にいくんですがねえ…


検証 超円高③ 多国籍企業化の果てに

2012-12-22 16:17:59 | 経済・産業・中小企業対策など
検証 超円高③ 多国籍企業化の果てに

大企業にとって「超円高」はもうけを増やすチャンスです。「超円高」を利用して海外に事業展開を進め、多国籍企業としての性格をいっそう強めています。円が他国の通貨に対して高くなれば、日本企業から見た海外企業の資産価値は相対的に下がることになり、企業合併・買収(M&A)が容易になります。
10月にはソフトバンクによる米携帯電話大手、スプリント・ネクステルの買収を発表し、話題を呼びました。1兆5709億円の巨額買収です。これも「超円高」の効果です。
M&A助言会社、レコフの集計によると、2011年の日本の企業買収額は、調査を開始した1985年以降で3番目の高水準でした。日本の大企業が円高を利用して海外企業を傘下に収めていることが示されました。アジア企業へのM&Aは198件と、これまでの最高を更新しました。



米携帯大手スプリント・ネクステルの買収について記者会見する孫正義ソフトバンク社長=10月31日、東京都内(ロイター)

■M&A支援
日本政府は「円高対策」と称して大企業のM&Aを支援しています。海外でM&Aを行う大企業に国の資金からドル資金を融通する「円高対応緊急ファシリティ」という事業です。外国為替資金特別会計から1000億ドル(約8兆円)を使って、財務省所管の国際協力銀行(JBIC)がドル資金を低利で融資します。
ソニーによる携帯電話会社買収に656億円相当、東芝による電力メーター等製造・販売会社の買収に480億円相当など、すでに内部留保をため込んでいる大企業に至れり尽くせりです。
M&Aを仕掛ける日本企業はドル資金を貸してもらえるので、手持ちの円を売ってドルを買う必要はなくなります。円高対策としてはまったく逆行した政策です。政府は当初、今年夏に終了する予定だったこの事業を年末まで延長しました。




国際協力銀行「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告」2011年度から作成

■国内空洞化
その上、大企業は「超円高」を口実に生産拠点の海外移転を進めています。国際協力銀行の調査によると、製造業の海外生産比率は、リーマン・ショックの年、08年度の30・8%から11年度には34・2%と急激に伸びました。
国内では首切り、リストラを強行し、犠牲を労働者、国民に転嫁。国内産業の「空洞化」を進めて雇用と地域経済を破壊してきました。政府の11年度「ものづくり白書」は「昨今の円高の継続は、さらなる国内事業環境の悪化を招き、企業の国内設備投資の縮小、海外への進出を一層加速させる可能性がある」と危機感を示しました。
トヨタ自動車は2011年度有価証券報告書で「生産施設が世界中に所在しているため、取引リスクは大幅に軽減されている」と述べています。同社の海外販売台数のうち11年には71%が海外生産です。生産を現地化することで円高による為替差損を避けることができます。海外に多くの生産拠点を置く大企業にしかできないことです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年12月20日付掲載



企業の生産を海外に展開、グローバル化は当然の方向です。大企業は円高による為替差損を避けることができますが、中小企業にはなかなか困難。
また、国内生産、内需を減らすことにより、ますます円高を加速することになります。

検証 超円高② 日本が支える衰退ドル

2012-12-21 22:03:27 | 経済・産業・中小企業対策など
検証 超円高② 日本が支える衰退ドル

経済は低成長、財政赤字も多い日本が投機筋から安全とみなされ、資金の“逃避先”として円を買う理由は何でしょうか。経常収支、外貨準備、対外純資産などが挙げられます。
2011年の経常収支は、貿易収支の赤字転落を受けて前年比44%減となりました。15年ぶりに10兆円を割ったとはいえ、9兆6289億円の黒字です。海外子会社からの配当や海外証券投資による収益を表す所得黒字が20%増の14兆296億円で、貿易赤字を穴埋めしています。これに対し主要国の11年経常収支は米国が4734億ドル(約40兆円)の赤字、欧州連合が712億ユーロ(約7兆8000億円)の赤字です。
外貨準備高は9月末時点で1兆2770億ドルで、過去8番目の高水準。中国に次ぐ世界2位は揺らぎません。
11年末の対外資産・負債残高は253兆100億円(前年末比0・6%増)。2位中国の138兆円を大きく引き離し、21年連続で世界一です。対外純資産残高は、政府、企業、個人が海外に保有する資産から海外勢による対日投資(負債)を差し引いたもの。国としての余剰マネーを意味します。



東京証券取引所に表示された各国市場の株価と為替相場(ロイター)

■従属の構造
今宮謙二中央大学名誉教授は、世界経済が下向きのときに円が買われる根本的な理由として日本の対米従属を指摘します。
「日本は日米安保条約第2条で米国経済と一体化しています。日本は何があっても基軸通貨ドルを守るということは世界に知られています。だから投機筋は円を買っておいたほうがいいと考えているのです」
安保条約2条は日米両国が「国際経済政策におけるくい違いを除く」と定めています。軍事、政治だけでなく経済政策でも日本が米国に従属した経済政策をとる根拠となっています。
米政府は1971年、金とドルの交換を停止しました。もともと金と固定レートで交換できる唯一の通貨であったことが基軸通貨の前提でしたが、それを米国自らやめてしまいました。

■“安全”通貨
それから41年、世界の基軸通貨ドルの地位は揺らぎ続けています。71年当時と今を比べると、円との交換レートは1ドル=360円から80円程度に、金価格は1オンス(約31グラム)が35ドルから1700ドル台になり、ドルの値打ちは大きく下がりました。国連やG20(主要20力国・地域)の場でドルが基軸通貨としてふさわしいかが議論されるまでになっています。
にもかかわらず、日本は輸出でためこんだドルで米国債を購入することによって、ドルを米国に還流させています。10月末時点で1兆2742億ドルの外貨準備のうち93%は米国債を中心とする外貨証券です。米国債保有高は中国に次いで世界2位。
基軸通貨の地位が大きく揺らいでいるとはいえ、ドルにとって代わる基軸通貨が見えてこないため、ドル体制は当分続かざるをえません。日本がドルを支える姿勢を変えないと、円高も続くことになります。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年12月19日付掲載



基軸通貨としてユーロが一時期期待されましたが、ヨーロッパの通貨危機などでとん挫しています。中国の元ですが、GDPこそ世界第2位になりましたが、国民一人当たりの所得から見れば「発展途上国」の域をでていません。まだまだ、基軸通貨への道は遠いです。
日本はどうかと言えば、政治も経済もアメリカ言いなりで、とてもとても基軸通貨たる権威はありません。


日本が、アメリカ言いなりから脱却して、自分の言葉で世界に語り、経済活動をするようになれば、投機マネーが日本に集中することがなくなり、円高も解消されるでしょうね。


検証 超円高① 金融緩和競争で円買い

2012-12-20 21:51:28 | 経済・産業・中小企業対策など
検証 超円高① 金融緩和競争で円買い

円相場は一時期より円安傾向ですが、2008年のリーマン・ショック以来、「超円高」と呼ばれる事態が日本をさいなんでいます。

11年10月にはドルに対して最高値を連日更新。31日には海外市場で75円32銭をつけました。11年度版「ものづくり白書」によると、約2000社の企業のうち、為替レートで減益したと答えた企業は47・2%でした。特に中小企業には深刻な打撃です。



東京港で貨物船に積み込まれるコンテナ(ロイター)

■余剰な資金
08年以降、円高は常に、製造企業の想定を超える水準で推移しています。購買力平価で算出した円ドルレートと実際の円相場の差は開く一方です。購買力平価は、各国通貨でどれだけの物を買えるかを基準にして通貨の実力を評価します。経済協力開発機構(OECD)によると、11年は1ドル=107円。同年の円相場は約80円。実力に比べて3割以上も割高です。
「超円高」は、欧米諸国による金融緩和競争によって引き起こされています。
欧州中央銀行(ECB)は今年7月5日、政策金利を0・25%引き下げ、9月6日には南欧などの国債を無制限に購入する政策を決めました。米国は連邦準備制度理事会(FRB)が9月13日、2年ぶりに量的金融緩和第3弾を決定しました。相次ぐ金融緩和で生じた余剰マネーが日本に流れ込み、異常な円高を引き起こしています。
背景には、世界的な経済危機を打開できない行き詰まりがあります。
欧州は、政府債務危機で先行きが不透明です。米国では雇用情勢が改善しません。欧米とも財政がひっ迫しているため、財政支出で景気刺激策をとることができず、金融緩和に依存しています。内需が冷え込んでいるので緩和マネーは生産に回らず、投機資金となって新興国市場に流れ込んでいます。
投機マネーは、先進国の中で相対的に安全と見られる日本の金融資産を買って一時避難。これが円高を招いています。




■犠牲の循環
円高危機を繰り返す大もとにあるのが、輸出に依存して成長してきた日本経済のゆがんだ体質です。
ごく少数の輸出大企業が、労働者と中小企業の犠牲のうえに、コスト削減を進め、「国際競争力」を強めて、外国市場への輸出を増やしてきました。
日本の貿易は、ドル建て(ドルによる決済)が高い割合を占めるので、輸出が増えれば、ドルの受け取りが増えます。ドルは日本国内で使えないので、輸出企業は手持ちのドルを売って円を買います。外国為替市場ではドル売り、円買いの圧力が高まるので円高が進みます。
円高が進めば、ドル建ての輸出価格が上がり、輸出大企業に売り上げ減の圧力が働くことになります。そこで輸出大企業は円高のたびに、労働者と中小企業を犠牲にし、さらにコストを下げることで「国際競争力」をつけ、円高のもとでも輸出を増やしてきました。そのことがいっそうの円高を招き、労働者や中小企業の犠牲がさらに増える悪循環に陥ってきました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年12月18日付掲載



輸出大企業が儲ければ儲けるほどに円高が進み、その犠牲を下請け企業や労働者に転嫁。
ますます大企業は儲かる。
輸出で儲けるってことの発想の転換が必要ですね。

今回の総選挙 共産党は残念ながら1議席減の8議席 対話力の不足でしょうか

2012-12-17 21:22:54 | 総選挙(2012年)
今回の総選挙 共産党は残念ながら1議席減の8議席 対話力の不足でしょうか

12月16日に投開票された、第46回総選挙。日本共産党は、財界中心、アメリカ言いなりの「自民党型」政治を転換するため、比例で650万票、議席倍増をめざして闘いました。しかし、残念ながら、前回総選挙より得票も率も減らし、9議席から8議席への後退となりました。

自民・公明両党が320議席(参議院で否決された議案を衆議院で再議決できる2/3以上の議席)を超える議席を獲得しましたが、自民党幹部が認めているとおり、自民党の公約が支持されてのものではなく、あまりにも民主党が国民の期待を裏切ったからの「消極的な」支持だのです。

「デフレ不況」から、いかに脱却するかは、日本共産党は「消費税にたよらない別の道がある」と、負担能力に応じた税制改革と国民の所得を増やす政策を提案しました。
その中で、消費税増税が本当に実施されるとすれば、自民党や民主党、維新の会などにしても、「デフレ不況」からの脱却から真っ向から矛盾することに突き進むことになります。

自民や維新の会が進めている、憲法9条を変えて戦争ができる国にするってことも、アジア諸国との友好と、さらに矛盾をきたすことになります。

今回の選挙戦では、以前よく使った「テレデータ」から卒業して、自らの結びつきを重視して、党員・読者・後援会員・結びつき名簿にこだわって働きかけました。
声がかかったところでは、消費税増税ストップ、原発即時ゼロ、TPP阻止などで共感と日本共産党への支持が広がりました。

しかし、従来の「声かけ運動」にとどまっていて、結びつきに「ひと回り、ふた回り広めてくれ」との働きかけが弱かったように思えます。

その声かけも、広範な有権者からすればごくわずかな部分にとどまっているのが現在の党の力量です。



以下、党中央常任幹部会の発表の文書からの抜粋です。

 「党の力の根源は、何よりも、さまざまな困難に直面しその解決を求める各層の広範な国民に溶け込み結びつく力にこそあります。日本共産党が持つ「草の根の力」は、他党と対比するならば、抜群のものがあります。しかし、それも、いま情勢が求めているものに比べればまだまだ小さいし、これまでより弱まっている面も少なくないのです。
 行き詰まった古い政治のもとで、苦しめられている多くの国民と結びつき、その苦難を軽減するために活動し、現状を打開する展望を語りあう――国民に根を張った不抜の党をつくりあげるうえでは、私たちの取り組みは、まだまだ不十分です。
どこをどう改善すれば強く大きな党をつくれるかについて、中央自身も、苦労して奮闘しておられる現場のみなさんの実態をふまえた方策を探求し、開拓と努力をはかる決意です。

 現状を、大局的な視野で見れば、60年間続いた自民党型政治がいよいよ行き詰まり、日本が新しい政治を求める、新しい時代に入っていることは疑いありません。
 新しい政治を求める国民の探求も、さまざまな政治的体験を積み重ねるなかで、発展しています。この総選挙で、最後まで、「どの党に入れたらいいか、迷っている」との声が、たくさん聞かれ、実際に、投票率は戦後最低を記録し、前回よりも1千万人もの多くの人々が棄権しましたが、ここにも、国民のあいだでの、新しい政治を求める模索の過程があらわれています。」


捲土重来、がんばりましょう。