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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

地球温暖化の今 IPCC報告書を読む② 将来予測 CO2削減が前提

2013-11-05 20:23:59 | 環境問題・気候変動・地球温暖化について
地球温暖化の今 IPCC報告書を読む② 将来予測 CO2削減が前提

リモート・センシング技術センター特任首席研究員 近藤洋輝さん
こんどう・ひろき=1941年生まれ。気象研究所気候部長などを経て現職。著書に『地球温暖化予測の最前線』など

今回の報告書では、温暖化予測について、これまでと違う迫り方をしています。
これまでの予測シナリオは、人間社会の将来のありようがあって、二酸化炭素(CO2)がどのくらい排出され、その結果、気温上昇などはどうなる、という道筋でした。
今回の予測シナリオは、まず将来のCO2濃度があり、そのもとでの気温上昇を示しました。人間社会が対策をとることを前提にしています。
また「CO2の累積排出量と世界の平均地上気温の上昇はほぼ比例関係である」という新しい見解を示しました。
新シナリオによれば、今世紀末の気温上昇を産業革命から「2度未満」に抑えることを、66%の確率で実現するためには、CO2の累積排出量を3兆6700億トンに抑える必要があるとしています。すでに2011年までに約2兆トンが排出されています。「累積排出量」という観点でみれば、新興国の排出量も無視できなくなっています。
現在、すべての国が排出削減に参加する枠組みづくりの国際交渉が始まっています。報告書は、交渉を科学的に促進するものとして大きな意味があります。
予測の分野では、スーパーコンピューターを使った日本の気候モデルは最先端にあります。今回も多くの論文が引用され、貢献できたと自負しています。
一方、日本の書店には、温暖化と懐疑論の本がともに並ぶという特異な光景があります。学術上では「温暖化していない」という議論は全くありません。
ここ十数年、世界の平均気温の上昇が鈍っています。それを理由に「温暖化は違う」という意見があります。この問題も報告書では扱いました。気候には大気や海洋などの相互作用による内部変動があり、気温の鈍化はその一種と考えられること、10年規模の変動は「長期間の気候の変化傾向を反映しない」のです。
台風の強まり、局地的豪雨、猛暑日など日常の極端現象の背景に、温暖化という大きな流れがあること、IPCCのメッセージにぜひ関心をよせてほしいと思います。
(談)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年11月4日付掲載


予測の分野で、スーパーコンピューターを使った日本の気候モデルは最先端にあるのなら、実際にCO2の排出量を減らす取り組みの分野でも、日本は最先端の立場に立ってほしいですね。

地球温暖化の今 IPCC報告書を読む① 海面上昇 日本にも脅威

2013-11-04 20:34:12 | 環境問題・気候変動・地球温暖化について
地球温暖化の今 IPCC報告書を読む① 海面上昇 日本にも脅威

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が新たな知見をまとめた「第5次評価報告書」の発表を始めました。第1弾は第1作業部会が9月に出した「自然科学的な根拠」で、温暖化の原因は人間活動による「可能性が極めて高い」と警告しています。参加した環境NGOのメンバーと科学者に聞きました。
(君塚陽子)

WWFジャパン(気象予報士) 小西雅子さん



IPCC第1作業部会の会場119月、スウェーデン(ストックホルム)=小西さん提供

報告書は、温暖化がより深刻になり、温暖化の影響に本格的に備えることを求めています。
ポイントの一つは、「海面水位の上昇」です。上昇幅の予測が、今世紀末に最大82センチと、前回の報告書の同59センチを上回りました。海面上昇に直結する南極やグリーンランドなど陸地の氷の溶ける影響が今回はっきり計算できたからです。
東京をはじめ、名古屋や大阪、ロンドン、ニューヨークなど世界の大都市の多くが沿岸部にあります。海面上昇の脅威が太平洋の島々だけでなく、先進国、日本にとっても脅威になるとの警鐘です。
もう一つは、「海洋酸性化」です。初めて政策決定者向け要約(「要約」)に記されました。
異常気象などと違い、実感しにくいかもしれませんが、『酸性化によるサンゴ礁や海洋生態系へ』のダメージは、食料などを海に依存する海洋国家、日本にも大きな被害をもたらします。
会議では「要約」の一文一文をめぐって、各国代表が非常に活発にやりとりしました。科学の報告書を、自国の大臣にいかに分かってもらうか、表現や言葉を選び、仕上げていく作業は、いつもの国際交渉での対立を見慣れている身としては新鮮な驚きがありました。
報告書には日本人の研究が多く生かされています。それだけに日本政府が、温室効果ガスの排出削減にあまりにも後ろ向きというのは残念でなりません。
「要約」をぜひ多くの人に読んでほしいと思います。「政策決定者」はほかならぬ私たちで、
すから。

国際交渉の土台
IPCCは、195力国の政府が指名する科学者と政府代表団で構成し、地球温暖化について最新の科学の成果を評価してきました。
1988年に世界気象機関と国連環境計画が設立し、これまでに4回の報告書を発表してきました。地球温暖化は人間活動によるものかについて、「多くの不確実性がある」(90年)、「示唆される」(95年)、「可能性が高い」(01年)、「ほぼ断定」(07年)と指摘しています。
今回は「可能性が極めて高い」(95~100%の確率)とさらに明確にしました。報告書は、各国代表が承認してから発表するため、国連での国際交渉の土台となります。
温室効果ガスの削減目標を見直ししていた安倍政権は、ll日から始まる国連会議(COP19)を前に、2005年3.8%減という1990年比ではプラスに転じる目標を調整しているといわれ、環境団体から批判がでています。
今後、地球温暖化の影響や削減策などを検討する作業部会を開き、来年10月に「第5次評価報告書」の統合版を発表します。
政策決定者向け要約は、気象庁のホームページで日本語訳が公開されています。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年11月3日付掲載



海面水位の上昇は海岸線に都市を造ってきた日本にも大きい影響があると思います。
水位と言えば、南海トラフによる東海、東南海、南海地震による津波の影響が主に論じられていますが…。
普通の台風などによる高潮でも、普通ならなんでもないところが海面水位の上昇により大きな被害をこうむることがあります。
2004年16号台風の影響でした。神戸市でも高潮で、神戸市中央区を走る国道2号線の下に埋まっている共同溝が被害を受けたことがありました。
地球温暖化は、南の島国の事として楽観視できないのです。

http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0268pdf/ks026806.pdf

「農地中間管理機構」法案の問題点② 農家・農業委を排除

2013-11-02 21:39:09 | 経済・産業・中小企業対策など
「農地中間管理機構」法案の問題点② 農家・農業委を排除

地域の権限奪う
「農地中間管理機構」法案の問題点の第三は、事業の推進にあたって「農業の競争力強化」という政府や県の方針が優先され、地域の実態に即した判断や市町村・農業委員会の意見を反映させる保障がないことです。
この事業による農地の貸借は、「機構」が、対象となる農地の地番や面積、借り手の名前などを「農用地利用配分計画」にまとめ、知事が認可し、公告することで権利が発生します。この手続きによって、一般の農地の貸借契約では必要とされる農地法にもとつく農業委員会の許可は不要になります。
そして、この「計画」の作成・決定にあたって「機構」は市町村に案の提出を求め、「必要があれば農業委員会の意見を聴くものとする」とされました。しかし、農地貸借についての最終的な判断は知事にゆだねられ、地域の農業委員会や市町村関係者は排除されています。
これは、度重なる規制緩和でもかろうじて維持されてきた、農地にかかわる農業委員会の許可・関与の仕組みに決定的な風穴を開け、農地にかんする権限を農村の現場から奪うものにほかなりません。



地域の共同で管理する水田の用水施設=千葉県

企業利益が優先
農地は個々の生産者の経営基盤であるとともに、地域社会の貴重な資源です。水田が中心で傾斜地も多い農村で農地を持続的に利用し、農業を維持していくには、大小多様な家族経営による共同が欠かせません。零細で分散した農地の集積にも所有者や住民の理解と共同が不可欠です。
農地法が、農村に定住し、みずから農作業に従事する農民(その共同を含む)の権利を最優先にしてきたのはそのためです。農地の管理を、地域の農業者から選ばれた委員が多数を占める農業委員会にゆだねてきたのも、農業者や住民による自治的な取り組みがふさわしいからです。
このような農地の実態や特徴を無視し、それに精通した農業委員会を排除して、農地の集積や有効利用が進むはずはありません。
「機構」法案は、地域の共同で維持されてきた農地・農業・農村に、もうけを最優先する企業論理を持ち込み、農村の崩壊を決定的に広げずにはおきません。それは、食料の安定供給や農業の持続的発展、多面的機能の発揮を脅かし、大多数の国民の願いに逆行するものです。
(おわり)
(日本共産党国民運動委員会 橋本正一)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年11月1日付掲載


地域性や気候性、農地の地形、農業に従事している農家の方々の生活実態に即した農業施策でなければならないところ、「競争力の強化」を優先されるような施策であってはいけませんね。

「農地中間管理機構」法案の問題点① 企業の農業参入優先

2013-11-01 21:57:49 | 経済・産業・中小企業対策など
「農地中間管理機構」法案の問題点① 企業の農業参入優先

安倍内閣は環太平洋連携協定(TPP)に“対応”する農政「改革」の第一歩として、農地の集積による競争力ある農業の確立をめざす農地中間管理事業を創設する関連法案を25日、国会に提出しました。その内容は、財界代表の委員が多い規制改革会議などの議論を色濃く反映したもので、農業や農地のあり方を根本から揺るがす問題があります。
農地中間管理事業は、離農者などの農地を借り受け、必要な場合には基盤整備を行い、その農地の利用を希望する農業経営者に貸し出すことが主な内容です。都道府県に設置される農地中間管理機構(以下「機構」)が実施します。
政府はこの事業で農業の大規模化や農地利用の効率化・高度化を促進するとして、来年度の農水予算概算要求の目玉に掲げるなど、当面の農政の最重点に位置づけています。



整備された水田で稲刈りする農家=千葉県

地域農家を排除
第一の問題は、農地の貸出先について、地域の農業者と農外からの参入企業などで“公平”な扱いを求めていることです。
農水省は当初、地域の農業者が話し合って決める「人・農地プラン」で位置づけられた大規模農家や集落営農が中心になると想定していました。ところが、外からの参入者が不利になるという規制改革会議の議論を受け入れて希望者を「公募」する方法に修正しました。
一方、法案では事業目的の一つとして「農業への参入の促進」を明記しています。これを公募によって選定することになれば、「競争力」が企業より劣るとして地域で頑張っている大規模農家などが排除されることになりかねません。
農業への新規参入者の確保はどの農村でも切実な課題です。しかし、この事業による「参入の促進」で、増加している都会青年の就農希望者などより、「販売力」「資金調達力」ある企業経営が優先されるのは目にみえています。

耕作放棄地外す
第二に、農地の借り入れにあたって条件の悪い農地を切り捨てようとしていることも問題です。
当初、この事業による農地の借り入れが中山間地域などで増えている耕作放棄地の解消に役立つかのように説明され、現場の関係者からその役割に期待する声も出ていました。
ところが、貸出先が見込めない農地を抱えれば財政負担が増えるとして借り入れの対象から排除し、引き受けた農地も一定期間、貸出先が見つからない場合には所有者に戻すことも、法案で打ち出しました。耕作放棄地の解消は、目的から消えてしまったのです。
それどころか、優良農地を希望する企業に差し出すという地域農業振興とは無縁の役割を「機構」が担わされることになりかねません。制度を検討した産業競争力会議で、農業進出をねらう大手コンビニチェーン社長は、優良農地を優先すべきと声高に主張しています。
(つづく)
(日本共産党国民運動委員会 橋本正一)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年10月31日付掲載


離農農家の農地の有効活用の様に見せかけて、大規模生産のできる効率的な農地をアグリビジネスに売り渡すことが目的なのですね。中山間地などの耕作放棄地は対象から外されているのですね。