きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

変貌する経済 政府開発援助(ODA)⑤ 腐敗助長する「共犯」

2014-08-29 13:18:57 | 国際政治
変貌する経済 政府開発援助(ODA)⑤ 腐敗助長する「共犯」

日本交通技術株式会社(JTC)が設置した第三者委員会の調査報告書によると、JTCからベトナム鉄道公社(VNR)への贈賄は、VNR側の要求で行われました。
調査報告書は、ハノイへ運ばれたとみられる現金の総額を7220万円としました。そのうち、VNR側へ渡されたと認定したのは、①契約締結に伴う賄賂4500万円②会議費・外注管理費の一部の還流300万円③契約変更に伴う賄賂1200万円④契約変更後の賄賂300万円⑤人件費増額の一部の還流300万円―の合計6600万円です。

職員が現金運び
その都度、VNR側から要求額などの提示があり、それに基づき金額や支払い方法などを交渉し、合意しました。支払いは、受け渡しの経路を隠し、またJTCの財務状況に合わせ、分割して円の現金で行われました。JTCは、本社で仮払いし、現地へ出張する役員や職員が現金で運びました。この異常な仮払いが、東京国税局が不正支出を摘発するきっかけになりました。
調査報告書は、贈収賄のVNR側の窓口として3人(匿名)を認定しました。ベトナムでの報道と付き合わせると、ベトナム側ですでに逮捕されている6人の中の3人と符合します。VNR側は、賄賂や資金還流を要求し、その捻出方法や受け渡し方法まで指定するなどしていました。
第三者委員会の聴取に対し、JTCの関係者たちは次のように答えています。
「現地のクライアントは鉄道分野ではJTCの唯一のお客であり、今後もビジネスを継続したいという思いから、話を進めた」
「どこのコンサルタントもやっているというような理解であったので(リベート提供について)違和感はなかった」
「社内で是正できるのであれば、そのようなこと(リベート提供)はしたくなかった。しかし、JTCには既にそういう風土ができていて、しかも、それがなければ仕事が前に進まないという状況だった」
VNR側の要求に応じたとはいえ、JTCは、調査報告書が指摘している通り、「『被害者』と見られるべきではなく、相手国の腐敗を助長する『共犯』としての立場」にありました。



VNR幹部6人の起訴を報じるベトナムのインターネット新聞=5月9日

新規を一時停止
日本政府は、ベトナム向け円借款(有償資金協力)の新規案件の採択を一時停止し、両国政府開発援助(ODA)腐敗防止合同委員会を開き、腐敗防止策を協議。その結果、7月18日、腐敗防止の新たな措置で合意したとして、VNRが関係する新規案件の採択を引き続き停止するものの、その他の案件は、採択の検討を開始するとしました。JTCに対しては、前・現役員3人の起訴を受け、ODA関連業務の停止期間を既に決定した18カ月から36カ月へ延長しました。
ODAは、日本国民の税金を使って、発展途上国の経済社会発展や福祉向上に貢献する援助です。そのうち、低利で長期の融資を行う円借款は、将来的には受け入れ国の国民の税金で償還されます。
安倍晋三政権は、今年中にODA大綱を見直そうとしています。憲法を踏みにじる安倍政権のもとで、ODAすら軍事的な目的のためのものに変質する危険性が高まっています。不正・腐敗も引き続き発生しています。
往々にして、アメリカの世界戦略のため、さらには大企業の海外進出のために使われてきたODAを、憲法の精神を生かし、世界の平和のため、また貧困と飢餓に苦しむ人びとのために役立てることが求められています。
(この項おわり)(金子豊弘、北川俊文が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月27日付掲載


リベートの要求が常態化していて、日本の企業の側もそれ無しに仕事がでないくらいマヒしていた。
この摘発は、氷山の一角でしょう。お互いの国の税金へ運営される、政府開発援助や円借款。
徹底した運営が求められます。

変貌する経済 政府開発援助(ODA)④ 発覚した贈収賄事件

2014-08-27 22:16:07 | 国際政治
変貌する経済 政府開発援助(ODA)④ 発覚した贈収賄事件

ベトナムにおける日本の政府開発援助(ODA)事業をめぐり、贈収賄事件が発覚しました。ハノイ都市鉄道1号線第1期事業を受注したコンサルタント会社、日本交通技術株式会社(JTC)(東京都台東区)が、発注者であるベトナム鉄道公社(VNR)の幹部へ賄賂を贈っていたのです。

海外業務に社運
東京地検特捜部は7月10日、JTCの前社長、前常務、取締役の3人を不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)の容疑で在宅起訴。法人としてのJTCも同じ容疑で起訴しました。
東京国税局は2013年4月、JTCの税務調査で不正支出を指摘していました。JTCが設置した第三者委員会の調査報告書によると、JTCはODA事業受注のため、ベトナム、インドネシア、ウズベキスタンの政府関係者へ合計約1億6500万円の賄賂を贈ったとされます。
調査報告書によると、JTCは、国内における新規大型鉄道事業の先細りのために、海外業務に社運をかけていました。海外事業の受注のための利益提供が常態化していきました。海外案件を担当する国際部と本社経理課が結託し、一部役員も了承していました。
ベトナムでの事業では、コンサルタント契約を円滑に運ぶため09年12月~14年2月、VNRの鉄道事業管理局次長らに現金で合計約7000万円を支払ったとされます。



JTC本社ビル=東京都台東区

日本企業に限定
日本側での捜査を受け、ベトナム側も捜査に乗り出し、これまでにVNR副総裁をはじめ、VNR鉄道事業管理局の局長、前局長、次長2人、課長の6人を逮捕しました。
ハノイ都市鉄道は首都圏鉄道網で、全体で8路線、全長約300キロにおよびます。1号線は、ハノイ市の北東から市の中心を通り南へつながる約30キロの路線です。その第1期事業は、2区間約15キロの詳細設計を内容とする国際協力機構(JICA)のODA円借款案件です。日本の技術やノウハウを用いる本邦技術活用条件(STEP)が適用され、幹事の契約者は日本企業に限定されました。JTCが幹事となり、日本企業4社と現地企業3社の間で共同事業体を組成し、VNRと契約しました。契約総額は42億6500万円で、そのうちJTC単体の契約金額は27億6700万円でした。
JTCは鉄道建設コンサルタント会社で、JR系コンサルタント会社3社が合計35%の株を保有しています。そのうち2社が15%を保有する筆頭株主。一方、VNRは、ベトナム鉄道総局が前身で、有限会社化され、現在も、国家(政府)が唯一の出資者です。
日本のODA事業をめぐるベトナムでの汚職事件は、08年に発覚したパシフィックコンサルタンツインターナショナル(PCI)による贈収賄事件以来、2件目です。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月26日付掲載


絶対儲かる、取りはぐれのない公共事業。インフラの整備が急がれるベトナムなど開発途上国。
そこに群がる贈収賄事件。日本にしてもベトナムにしても税金の無駄遣い。
儲かるのは両国の民間企業。

変貌する経済 政府開発援助(ODA)③ 「モデル事業」 住民が異議

2014-08-26 22:14:22 | 国際政治
変貌する経済 政府開発援助(ODA)③ 「モデル事業」 住民が異議

2013年5月25日、日本・ミャンマー経済セミナーがヤンゴン市内で開かれ、ホールは540人の参加者であふれました。ミャンマーは「アジアのラスト・フロンティア」として注目を集め、日本政府も経済関係の強化に力を入れています。

ミヤンマー訪問
日本の首相として36年ぶりに同国を訪問した安倍晋三首相は、経済セミナーであいさつし、ミャンマーの国づくりを官民一体となって支援すると表明しました。
この中で首相は、ある進行中の開発事業を挙げ、積極的な支援を表明しました。ティラワ経済特別区開発事業です。ヤンゴン中心市街地から約23キロ南下したティラワ地区での総合開発計画です。約2400ヘクタールの開発面積には、工業団地ばかりでなく、商業区域、住宅地域などの開発も予定されています。
「ティラワ開発は、日本とミャンマーの協力の象徴であり、ミャンマーにおける雇用創出の起爆剤です。絶対に成功させなければなりません。日本政府も全面の支援を惜しみません」。安倍首相は、現地も視察し、積極的推進姿勢をアピールしました。安倍首相のミャンマー訪問には、約40の日本の大企業・団体が同行しました。
ティラワ経済特別区開発事業について、13年版のODA白書は、「まさに開発途上国におけるインフラ支援のモデルケースといえ、日本の経済界も大きな関心を寄せています。この事業は、日系企業を含む外資企業の進出の基盤となる」と指摘しています。三菱商事、住友商事、丸紅という日本の大企業も出資した企業体が開発事業を進めています。日本政府は、インフラ整備事業などに低利で長期のODA有償資金を提供しています。



ティラワ経済特別区開発事業の開発地域=ミャンマー(メコン・ウォッチ提供)

立ち退きを強要
ところが、日本政府が「モデルケース」と持ち上げるこの事業は、ある深刻な問題をはらんでいました。
ティラワ経済特別区開発で立ち退き対象となった住民たちが6月に来日。ODAの実施機関である国際協力機構(JICA)に対し、開発に伴う農地喪失や生活手段の喪失などの被害を訴え、解決策を求める異議申立書を提出したのです。
当初、用地取得や移転の対象となる住民たちには、移転や補償への合意文書の署名の強要や脅しが行われました。
メコン川流域国における開発事業や開発政策の影響を監視している環境NGO(非政府組織)のメコン・ウォッチは、次のように伝えています。
「(移転・補償に関する合意文書への)署名をしなければ、一切補償を受け取ることはできないだろう」「署名しなければ、今の家をブルドーザーで壊される」「(農地の補償については)ヤンゴン管区政府と裁判所で話し合う」などの脅しともとれる発言により、補償への合意を強要された住民が多数出た―。
この事業の第1段階は、13年11月に着工。68家族(約300人)がすでに移転を強いられました。68世帯が暮らす移転地では、農地や日雇いの仕事などを失ったまま、生計手段を見つけることができない住民が困窮。受け取った補償金を使い切り、借金を余儀なくされている世帯や、家屋を売却して移転地を後にする世帯も出ています。
今後の開発事業が進めば、さらに1000家族以上(約4000人)が移転を迫られることになり、同様の影響を受けることが懸念されています。
ODA事業には、開発に絡んだ地元住民への生活基盤をも奪う深刻な影響ばかりではありません。不誠実・不正行為などで、大成建設、鹿島建設、丸紅など大企業がODA事業から一定期間排除される事例も後を絶ちません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月23日付掲載


ミャンマーのインフラ開発。それにともない、農地を失う農民。
同じ事が経済発達の進んでいるお隣中国でも起こっています。

「NHKスペシャル」で、2013年10月6日放送の「中国激動 空前の農民大移住」。

世界第2位の経済大国へと成長を遂げた中国――。しかし今、成熟期を迎えたがゆえのさまざまな課題に直面している。中国では、今一体何が起きているのか――。これから中国はどこへ向かうのか――。習近平国家主席が率いる新体制下で進められる対策とその課題、そして人々の葛藤を、徹底した長期ルポを通じて克明に描写。2週連続で、次なる中国の姿を探る。
1回目の舞台は、中国内陸部の都市・重慶。郊外に林立する高層マンションでは、くわやかごを背負った住民が行き交う。彼らは住み慣れた農地を離れ、マンションに移住してきた元農民だ。中国では今、農村の都市化が進められており、重慶はその政策が最も進む最前線の街である。
これまで中国では、戸籍制度によって都市民と農民を分け、待遇に違いを付けてきた。その結果、人口の多数を占める農民は経済発展から取り残され、広がる格差に不満を募らせてきた。“格差是正”を掲げる共産党新執行部にとって、農民を都市民に変え、豊かさをひとしく享受できる社会を実現することは、避けて通れない課題となっている。
ところが、中国経済の減速が、重慶の“農村都市化”に影を落とし始めている。元農民の雇用を確保するための企業誘致が、思惑通りに進まなくなっているのだ。憧れの都市民になったはずが、厳しい現実を突きつけられている元農民たち。揺れる農村の都市化の現場をルポする。

オンデマンドで今でも視聴できるようです。

開発の後は、「野となれ山となれ」では、駄目です。

変貌する経済 政府開発援助(ODA)② 大企業の「安心」に活用

2014-08-25 19:29:58 | 国際政治
変貌する経済 政府開発援助(ODA)② 大企業の「安心」に活用

憲法を具体化し、「国是」として武器輸出を禁じてきたのが武器輸出三原則です。しかし、歴代政権は次々と例外を認め形骸化を進めました。ついに安倍晋三政権は今年4月、三原則を解体し、海外への武器輸出を解禁したのです。
政府開発援助(ODA)の案件で、武器輸出三原則の例外化をおこなった初めての事例が、インドネシアへの巡視船艇の無償供与です。2006年6月のことでした。供与された巡視船艇は3隻。総額19億円をこえる案件でした。通常、海上保安庁の巡視船艇は、機銃を船首に設けています。供与される船艇には、機銃こそなかったものの、防弾ガラスを装備し、装甲を厚めにしたため、貿易管理令上の武器にあたりました。
このとき政府は、供与を止めるという選択ではなく、官房長官談話を発表して、武器輸出三原則の例外として認めたのです。
「巡視船艇がわが国の政府開発援助の対象であるテロ・海賊行為等の取り締まり・防止に限定して使用されること及び当該巡視船艇をわが国政府の事前同意なく第三者に移転しないことが担保されることを条件として、武器輸出三原則等によらないこととする」



ベトナムに巡視艇供与を決めた日本政府(左)とベトナムとの会談=ハノイ、8月1日(ロイター)

名目はテロ対策
巡視船艇供与の名目は、「テロ・海賊対策」。このときの官房長官こそ、後の首相となる安倍晋三氏その人でした。
インドネシアへの巡視船艇供与の問題は昨年6月、外務省のある会議で改めて議論になりました。
ODA事業を進めるために専門家らとの意見交換する開発協力適正会議。日本国際ポランティアセンターの高橋清貴(きよたか)氏が問題提起しました。
「機銃の装備がないのであれば、より一層抑止力をある程度見せるためには軍隊との一体的な運用があった可能性が高いのではないか」
外務省側は「(軍との)一体的に活用されている件は明示的に確認されていないということで乙ざいます」と回答したにとどまりました。
安倍政権は、アフリカのジブチ政府に対しても巡視艇2隻を無償供与することを決めています。海賊行為、麻薬などの密輸、人身売買などを取り締まるジブチの沿岸警備隊の能力向上を目的にしたものです。同国の沿岸警備隊は、11年に海軍から独立して設立されたもの。今回の日本政府の供与は、沿岸警備隊の機動力拡充のために行うとされています。ベトナムへの巡視船供与も決定しています。
日本の財界は、このような支援策に積極的です。経団連の会員企業でもある海運業界からはこうしたプロジェクトを進めるよう要望が出ています。
安倍政権はさらに、チュニジア、アルジェリア、モロッコの3力国の空港などにテロ対策を目的とした顔認証システムの無償供与の準備を進めています。さらには、指紋認証システムの供与も候補の一つとなっています。
空港でのテロ対策が強化され容疑者の拘禁に至った場合、拷問や虐待などの人権侵害が生じる場合も想定されます。日本政府の対応が鋭く間われることになります。

財界の強い要求
経団連は、ODA大綱見直しに対する意見を5月に発表。次のように強調しました。
「治安維持への協力、テロ対策、シーレーン防衛、サイバーセキュリティ等、『安全』という国際公共財を提供することで国際社会に貢献すると共に、日本国民や企業が安心して国際的に活動するための基盤づくりを行う上で、ODAやその他の公的資金を活用することが求められている」
安倍政権の動きは、企業の「安心」のためにODAの安全保障分野への積極的な活用を求めた財界の強い要求に後押しされています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年8月22日付掲載


元々、政府開発援助(ODA)は、税金として開発途上国に投入され、そこでのインフラなどの開発に日本の大企業が参入。利益が還流される仕組みになっています。
それが、ODAでテロ対策までして、「安全」に日本企業が経済活動ができるようにしようってことです。

辺野古 新基地着工! 世論無視 国が強行! 沖縄タイムスより

2014-08-24 13:17:30 | 平和・憲法・歴史問題について
辺野古 新基地着工! 世論無視 国が強行! 沖縄タイムスより

「沖縄タイムス」2014年8月15日付で報道
辺野古 新基地着工_01
辺野古 新基地着工_01 posted by (C)きんちゃん
防衛局ブイ設置 近く掘削調査

辺野古 新基地着工_02
辺野古 新基地着工_02 posted by (C)きんちゃん
世論無視 国が強行
海と陸 抗議の波


辺野古 新基地着工_03
辺野古 新基地着工_03 posted by (C)きんちゃん
サンゴの海 緊迫
国 大量動員で抗議排除
反対派 「過剰警備」「弾圧だ」


辺野古 新基地着工_04
辺野古 新基地着工_04 posted by (C)きんちゃん
基地阻止 諦めぬ
力ずく 民主主義を否定
大浦湾の自然「子や孫へ」


「新基地建設NO!」は、「オール沖縄」の世論です。