クラブW杯の3位決定戦は、G大阪対パチューカというカードでした。ただ、マンU相手に互角のパス回しを演じたG大阪には、不利な要素もありました。それは相手のパチューカに比べて1日試合の間隔が短かったことです。
また、佐々木、二川の負傷者を出しているG大阪は、多少チーム全体の疲れもあったようです。そのため、G大阪とよく似た攻撃サッカーのパチューカ相手に、ボールを支配されてしまいます。
ただ、パチューカというチームは、アルバレスという個人技のあるゲームメーカーはいますが、決定力不足が泣き所というチームです。この試合では、センターFWをスピード型のマリオニからポストプレイヤーのクリスチャンに変えてきました。
そういう相手に対してG大阪が取った戦略は、現実主義に徹して、攻守の切り替えの早さで勝負するサッカーでした。パチューカの得点の多くがFKという点は意識して、しっかり守る狙いだったのは遠藤のボランチ起用である程度想像がつきました。
また、パチューカの3バックが変則的な動きをすることも、G大阪には狙い所でした。左ストッパーのロドリゲスが左アウトサイドのカルデナスを追い越して上がってきたり、右ストッパーのアギラルが最終ラインに入ったりしていました。ただ、この入れ替えは必ずしもシステマティックには行われておらず、最終ラインが2バックのこともありました。
この相手なら、無理に前からプレスを掛けるより、どこかでボールを奪って速い攻めをした方が有効と思われますし、西野監督もクラブW杯3試合目ということもあって、現実策で来ました。その結果、播戸のスルーパスから山崎が抜け出して、見事G大阪が先制ゴールを決めます。
事実、ボール支配率は60%以上パチューカに支配されたG大阪も、シュート数ではパチューカを上回りました。そんな効率重視のサッカーが、この試合を勝てた要因だと思います。楽しみだった遠藤のFKが、ことごとく壁に跳ね返されたのは残念でしたが、G大阪の「世界3位」には素直に祝福をしたいと思います。
もちろん、いつかは日本のクラブに、欧州か南米の壁を突破して決勝に進んで欲しいとは思っていますが、今の時点では3位は日本のクラブが立てる最高地点でしょう。来年は開催国がUAEになるので、ACL優勝がクラブW杯出場の絶対条件になる厳しさはありますが、是非どこか日本のチーム(レッズは来季ACLに出られないのでありえませんが)にクラブW杯を戦ってもらいたいものです。