地味なブラジルは強い？(ドゥンガ)

元磐田で、今や世界トップレベルのチーム、ブラジル代表監督のドゥンガの思い出です。磐田加入当時、ドゥンガはブンデスリーガのVfbシュトゥットガルトに在籍していました。今は欧州のトップレベルの年俸は10億円を超え、Jリーグの予算では獲得は不可能ですが、当時は年俸もまだ安くヤマハグループの宣伝効果として、赤字を覚悟すれば採ることができました。

しかし、残念なのは、当時は私がサッカーを理解しておらず、ドゥンガを駒場スタジアムで見た経験はあるのですが、浦和を応援しながら相手チームのボランチをチェックすることができず、ドゥンガの良さを実感していないのが残念です。

ただ、なぜドゥンガの印象が薄いかの理由はだいたい想像できます。ブラジルの国民性で、トニーニョ・セレーゾやファルカンのような派手なボランチを好む傾向がありますが、ドゥンガはその反対で、守備的で地味なタイプでした。

そのドゥンガがブラジル代表監督に決まったときは、正直「ブラジルにはもっといい監督はいるはず」と思っていました。なぜなら当時のドゥンガには監督経験がなかったからです。しかし、ブラジル代表監督の地位は、世界トップレベルの名将には意外と人気がありません。勝って当たり前、しかも華麗なサッカーをしろと国民の要求が厳しい理由もあるでしょう。

そんな理由で、代表キャプテンを務めたドゥンガのカリスマ性に賭けたのがブラジル協会の決断でしたが、南米選手権優勝、W杯予選トップ通過、コンフェデ杯優勝と、今のところうまく行っています。

ブラジル代表の試合を見たのは、コンフェデ杯決勝だけですが、この試合だけ見てもドゥンガが地味なサッカーをしている印象はあります。ダブルボランチはジウベルト・シルバとフェリペ・メロという守備的なコンビで、チームのカリスマのカカも左サイドに固定されて、ドリブルも狭い範囲に限定されていました。

しかし、ブラジルが派手なサッカーを捨てたときは強いと、歴史は物語っています。本当にドゥンガサッカーは世界を制するか、答えはまもなく出ます。