今週から10月も後半に入った。何かと理由を見つけては億劫にしているために、私達は紅葉の山を歩くチャンスを失ってしまいそうである。ところで、赤城山ではアカヤシオの花の時季などに、私達は雲海の場面を撮ってきた。今回アップする画像は8年前に撮った晩秋での雲海である。
雲海の彼方に富士山、南アルプス、八ヶ岳連峰、北アルプス、浅間山、四阿山などが見える景色を、私達はいまだに記録メディアから消去することができないでいる。このときは、赤城山は東、南そして西側の三方が雲海で囲まれた。一方、北側には雲海が見あたらず、谷川岳、燧ヶ岳、至仏山などの姿がくっきりとしていた。赤城山・地蔵岳にて(標高 1674 m、山内では黒檜山(1828 m)に次いで高い)。
東方向
山頂に登る途中で、初めて見る大気現象に出会った。高さ1000 m付近に、ベルト状の界面が直線状に伸びていた。これは、逆転層の存在を強く示唆するものであった。蜃気楼でも見えるのかと半ば唖然としつつ、ベルトが山頂に着くまでは消えないようにと願いながら、私達は山頂へと急いだ。
ベルトの下に見える山々。矢印で示した山は、左から加波山、鳴神山、筑波山である。逆転層の彼方に100 kmほど離れた筑波山が見えるではないか。私達は感動を覚えざるをえなかった。なお、鳴神山(980 m)は私達にとって近所の山である。
南方向
山頂に着いたとき、同伴者へのかけ声は「雲海の対岸に富士山がくっきりと見えるぞ。急いで。」であった。富士山の手前の山並みは奥秩父連山である。赤城山と富士山との距離は160 kmほどである。
富士山がどの位の大きさで見えるだろうか。尺度となりそうなもの(者)を入れてみたが。右(山腹)の道は山頂への経路だ。
南西方向
雲海の対岸は南アルプスと八ヶ岳連峰である。矢印を付けた山は、左から間ノ岳、北岳、御座山、甲斐駒ヶ岳、そして赤岳である。南アルプスまでの距離は約140-150 kmだ。赤城山で、これらの山頂がくっきりと遠望できる機会は、雪山シーズンを除いて多くない。
赤城山との位置関係をはっきりとさせるために、山内の山頂、荒山と鍋割山を入れてみた。
雲海の彼方に八ヶ岳連峰が見える景色は詩情をそそるような気がする。赤岳(南八ヶ岳、左側の矢印)から蓼科山(北八ヶ岳、右側の矢印)に加えて、荒船山(テーブル状)と妙義山(岩峰)が見える。両山の高さ(それぞれ、1300、1100 m)から判断すると、雲海の高さは1000 m程度であろう。
西方向
雲海に浮かぶ、浅間山、蛇骨岳、籠ノ登山(東と西の二峰)そして湯の丸山(なだらかな山頂)が美しかった。これらの手前に見える榛名山なども魅力的に見えた。
私達にとって、山頂での褒美は篭ノ登山の右に奥穂高岳(推定)と湯の丸山の右に槍ヶ岳がかすかながらも視認できたことであった。
矢印は、それぞれ奥穂高岳、槍ヶ岳、北アルプスの稜線である。
パノラマ画像。浅間山の左側には乗鞍岳が見える。
地蔵岳で見る四阿山の裾野は伸びやかだ。四阿山の両側には北アルプス連峰が見える。右側の雪を被った岩峰は鹿島槍ヶ岳である。
西北から北方向
こちら側には雲海がなかった。そして、苗場山から、谷川岳、巻機山、武尊山、至仏山、燧ヶ岳などまでが稜線の景色を構成していた。
パノラマ画像
苗場山から谷川岳まで。
撮影、2008年11月中旬、赤城山地蔵岳にて、Canon、Powershot G7(1000万画素)、画像処理ソフト Adobe Lightroom CC(2015)
(2016年10月16日、再処理)。
カシミール 3D のホームページ(パノラマ展望図集(全国の山頂から))には、つぎの説明がある。「黒檜山は展望の名山である。国内3000 m峰14座のうち12座までが見えることが確認されている。」
地蔵岳からは何座が見えるだろうか。