昨日から、次の一冊を読み始めました。
〈もっと好きになる『日本の童謡』〉 池田小百合著
実業之日本社 1600円+税
現職時代お世話になったK校長先生は、国語が専門の先生であった。
ある時の雑談で、読書録の書き方が話題になった。
その時の、K校長先生の読書記録に対するワンポイントアドバイスは、「最初の一行を書いておきましょう」とのことであった。
そのご指導に従って、本書の最初の一行は次の通りである。
「あなたの好きな歌は何ですか」
童謡を歌う会でこうきくと、参加されている方があげる曲に大正時代の初めに作られた文部省唱歌『故郷』『朧月夜』『冬景色』があります。ところが、この文部省唱歌を歌った当時の子どもたちは、口々に「つまらない」と言ったそうです。そこで、文部省唱歌に対する批判から新しい創作童謡が作られました。「子どもには子どもの歌を」をモットーに一流の詩人、音楽家が競って創作童謡を作りました。というのが音楽史の教えるところです。
しかし、ことはそう単純ではありません。子どもたちが批判した文部省唱歌のいくつかが、その後も長く定着して歌われ続けるのは、いったいなぜでしょうか。また、創作童謡でも、すたれていった数多くの曲があります。現代の新作童謡が根づかないのも理由がありそうです。
そうだろうと思います。
「子どもには子どもの歌を」のモットーは、その通りではありますが、現実はその通りにはいかない。
教育には、よくあることです。
「子どものために」と金科玉条のごとく言われ、それが教育の王道のように主張する人々が多くいますが、現実の展開はそのようにはいきません。
「不思議」を共有できる大人の智慧が出し合えることが大事だと思います。