昨年から今年にかけて、免疫学者・多田富雄さんの著作を読み、感銘を受けてきた。
読売新聞には、月一回のペースで、多田さんの「落葉隻語」が連載されている。
ぜひ、お勧めの文章である。
バックナンバーは,読売新聞のHPから、「落葉隻語」で検索するとご覧になれる。
7月6日夕刊の「落葉隻語」の、“「医の心」をどう伝える?”は、読み応えがある。
現代の医療現場は、ご存知のように、医師不足、救急車のたらい回し、産科・小児科・救急科・麻酔科などの肉体的にきつい診療科を志望する医師の激減等々、問題山積である。
昔の医局の在り方が完璧とは言わないが、医局の中で先輩医師から後輩に研修医に「医のこころ」が伝えられた様子を次のように言及している。
昔の医局では。先輩の失敗談が聞けた。医療過誤の情報を共有し、後輩に伝承できたのだ。医者がいない病院は、駆り出されて派遣された。一番大事なこと、患者の悩みを聞き、それに対処する「医の心」が伝えられてきたのだ。研修は技術だけではないのだ。
このような文に接すると、教育現場でカウンセリング現場で、「教育の心」「カウンセリング・マインド」が本当に伝承されているのか心配になる。
日本の文化は、それぞれの領域で「その領域の心」を伝承するのが上手であった。
ところが、この頃は、「心」の伝承が実現しにくくなているように思う。
「伝承」の大切さ!