この正月、林竹二の本を二冊読んだ。
『授業による救い 南葛飾高校で起こったこと』 林竹二 径書房 1993年
『教えることと学ぶこと』 林竹二 灰谷健次郎 倫書房 1996年
林竹二(1906.12.21~1985.4.1)は、教育学者。宮城教育大学学長。斉藤喜博の影響を受け、全国各地の小学校を回って、自ら対話による授業実践の全国行脚をされる。
この頃の若い先生は、斉藤喜博 林竹二 大村はま といった教育実践に取り組まれた先人の名前を知らなくなった。
若い先生方を責めるつもりはない。
大学でも教育現場でも、我々の年代の者が、若い先生方にきちっとバトンタッチして教えてこなかったのだから…。
でも、落胆ばかりはしてはいられません。
身近な若い先生には、きちっと話をして、先人の著作にふれてもらおうと思っている。
『教えることと学ぶこと』の中で、林竹二は日本の教育について述べている。
私はもう日本の教育は破産してしまったと思っています。懺悔と洗礼がなければよみがえることはないでしょう。根本から変わらないかぎり、だめです。学校教育の閉塞状況のなかで、子どもが自殺したり、荒れたりしているわけです。これは子どもたちに責任があるのではない。そういうところに子どもを追い詰めている教育の責任が大きい。これは、国家、社会全体の問題ではあるけれども、学校は何といっても当事者です。学校教育がその質と方向を変えることに全力を傾けないかぎり、教育が破産しただけではなく、社会そのものが解体せざるを得なくなると感じています。
十数年前の林竹二の感想である。
この十年、林竹二が懸念したことは解消されてのだろうか?
残念ながら、十数年よりも悪くなっているようの私は感じている。
教職は引退の身だが、スクールカウンセラーとして出かけている小学校の先生方とはコンタクトができる。
細々としたアプローチになるが、若い先生方に「呼びかけ」を続けていこう。