年末、図書館から借りてきた『ふたりの秘密』を読んだ。
『ふたりの秘密』 永六輔+矢崎泰久著
ソニー・マガジンズ 2009/07/25 初版第1刷発行
本書の中で、永六輔さんは、岸田今日子さんのエピソードを紹介している。
永
今日子ちゃんは、小学生のころ、ずっと不登校。たてこもり、じゃなかった、ひきこもり(笑)。
お母さんがどんなに「行ってくれ、行ってくれ」って言っても、学校へ行かなかったそうで、3年の夏休みが終わった日のこと。お母さんは今日子ちゃんに言いました。
「夏休みがあって、しばらく皆が会ってないわ。その日に行けば、みんな自然に迎えてくれるから、行ってちょうだい。嫌だったら帰ってきていいから」。
その日、しぶしぶ今日子ちゃんは学校に行ったそうです。先生は言いました。
「はい、みなさん、夏休みの宿題を出して。今日子ちゃんも宿題もってらっしゃい」
でも今日子ちゃんは、何もしていない。自分の机を開けたら、そこに絵日記から何から夏休みの宿題が手付かずで入ってる。今日子ちゃんはその場から逃げようとするんですね。
そのとき先生は言いました。「今日子ちゃん、絵日記持ってらっしゃい」。今日子ちゃんは何も書いてない白紙の絵日記をもって行くんですね。
先生はページをめくりながら、微笑みながら言いました。
「絵になんか描けないほどおもしろかったんだ。よかったね」
そして、全部に丸をつけてくれたんですね。それを見て、今日子ちゃんは、「この先生のところへ明日から来よう」と思い、翌日からちゃんと登校したそうです。
それから20年後、今日子ちゃんと先生は同窓会で再会しました。
この後に、「オチ」が続くのですが省略します。
岸田今日子さんの思い出の伝聞話ですすから、少々疑問点のある文章です。
一つ、教師経験者として言わせてもらえば、夏休みの宿題が手付かずで入っているなんてことは考えられませんねー。
担任の先生は、家庭訪問をして子どものところに夏休みの宿題を届けるでしょうから…
私が面白いと思ったのは、白紙の絵日記に対して先生が、「絵になんか描けないほどおもしろかったんだ。よかったね」と、全部丸をつけてくれたところです。
なかなか、すてきなレスポンスですよね。
実は、この時の丸は、丸でなくて…とのオチがあるのです。
私がこのエピソードを読みながら思ったのは、教師が予想できないような子どもの言動に直面したときに、どのように対応する場面が「教師の醍醐味」だと思った次第。
子どもの言動に、決まり切った反応しかできない教師は、二流の教師ですね。
子どもの言動に対し、自分自身(教師)が「ハッ」とするようなレスポンスができるようになったら一流の教師の仲間入りと言えるのではないでしょうか!